転生したら、最低の悪女でしたが死にたくないので頑張ります

黒幸

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20 ナニワの商人

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 スサナ? は「だが断る」を連発するから、全く脈がないのかと思ったら、そうじゃなかった。
 この子、かなりのやり手だ。
 十九歳女子大生に十三年分足した経験値では全く、足りない強敵だった。

「これは譲れないですん」
「う、うん。問題ないけど」

 多分、問題はないはず。
 叔父さんのお陰でプラッツ家の経済状況は悪くないどころか、良好。
 余程のへまをしない限り、傾きはしないと思う。
 だから、当初の予定よりも孤児院の規模が大きくなったとしても平気……なはず。

「ダイジョーブ、ダイジョーブ……」
「ステラー、本当に平気?」

 「あわあわ」と口に出して、あわあわしてるシオンと心配してくれるヴィー。
 クロミアの瞳はあらぬ方向を向いていて、何かと交信してるみたいだから、触れないでおこう。
 無表情のままなのがホラーぽくて、ちょっと怖いし。

 しかし、本当に大丈夫なのか、不安がないかと言えば、嘘になる。
 当初の予定ではこじんまりとした孤児院を運営するはずだった。
 『鷹(アルコン)隊』に関わりがあると考えられる少数人数を想定してたから……。

 まさか、やっと見つけた『鷹(アルコン)隊』のメンバーにその予定を崩されることになろうとは思いもしなかった。
 スサナ?
 ううん、彼女はやはり、スサナで間違いない。
 スサナと呼ぶことにしよう。

 このスサナ、普通の人間だと思ってた私が悪いんだろうか。
 『鋼鉄の聖女』の中で記述はなかったし、イラストでも分からなかった。
 彼女が実はエルフの血を引いてるなんて、分かるかっー!
 それも褐色の肌をした珍しいエルフ?
 そんな情報知らないんだけど。
 彼女の言い分はこうだ。

 彼女の一族はそれでなくても少ない。
 それなのに迫害されて、さらに数を減らした。
 このままでは滅びの道しかないので、貧民街に身を隠していた。
 そこに現れたのが私達だった。

 彼女は交渉上手だった。
 きっと前世はナニワの商人だったに違いない。
 「儲かりまっか」と聞いてみようか。
 「ぼちぼちでんな」と答えたら、前世確定だ。

 しかもだ。
 やり手でかなり、あくどいタイプの商人!
 あれよあれよという間に毟り取られたんだけど。
 彼女一人だけではなく、一族――デザートエルフの子供達全員を引き取ることになった。
 「だが断る」でいつの間にか、ヒートアップしてこちらが不利な条件を飲まざるを得ない。
 敵にしたら、恐ろしい子だ、アレ。

「でも、これで来てくれるのよね?」
「まぁ、いいですん。そういう約束ですん。きっひひひひひ」

 初めて、スサナが笑った。
 怖い。
 別の意味で怖い。
 笑っちゃいけない子だった。
 不気味過ぎるんだけど……。

 しかし、ようやく、私の延命計画に進捗が見られた。
 ちょっとずつだけど、一歩一歩大事に進んでいこう。
 今世は何と言っても友人がいるのだ。
 案外、何とかなりそうじゃない?
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