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37 団結、決戦の時 三人称視点
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ステラが考案した作戦に基づき、各自奮戦を期待する。
半ば精神論に近いものだった。
それも仕方ないことだろう。
ステラには日本人の美心という十九歳の女性の知識と経験があった。
しかし、本を読むのが好きだった美心はそれでも僅かにかじった程度の歴女の端くれに過ぎない。
彼女の見知った知識が総動員されようとも全て、机上の空論に近かったのだ。
それに加えて、『鋼鉄の聖女』の中でのステラも大概なものだった。
ニューリーダーを気取り、ルクシオン王を追い落とそうと画策し、時に頂点の座に就きながらもうまくいった試しがなかった。
指揮能力の欠如と高すぎる自意識のせいで軍師気取りの軍死になっていたのだ。
だが悪いことばかりでもない。
現在のステラは美心という前世を持ち、有能な叔父サテレスと優秀なサポートデバイス・アンドラスのサポートがあった。
あくまでシミュレート上とはいえ実戦に際し、的確な判断を下せる素養が育ったのである。
これまで実戦経験のないステラだったが、土壇場で考えついた戦術は実は強ち、間違っていなかったのだ。
撹乱すべく動き出したヴィーとクロミアの動きは素早い。
自分がどのように動けばいいのかを理解した者の動きだった。
実戦経験が乏しい面々しかいない中、この二人は明らかに違う。
これまでに幾度も過酷な状況を経験しているがゆえの経験則に基づき、正確に動いていた。
ヴィーとクロミアの相性は甚だ悪い。
ステラという潤滑油がいなければ、決して相容れない存在である。
そんな水と油のような二人が鏡合わせのように正確な動きで左右から、攻め立てるのは見事という他なかった。
三つ首の異形の竜クエレブレは苛立ちを覚えた。
左右でちょこまかと動き回る存在は実に癪に障る。
叩き潰そうと左右の首と腕を使ったが、捉えることができない。
苦し紛れに水流を放ったが、軽く避けられた。
クエレブレはステラの思惑通り、冷静さを失ったのだ。
敏捷性を武器に撹乱するヴィーとクロミアにすっかり、執着していた。
その為、ゆっくりと上空に上がっていく二人の人影を見落とした。
「もう少し、近寄れないか?」
「分かった。やってみる」
シエロの飛行能力はステラの見立て通り、それほど高くなかった。
小さな子供であれば、無理なく空を飛べたが同年代の少年ともなれば、勝手が違う。
自在に飛べるとは言い難く、ふらふらとどうにかこうにか、宙を浮くのを維持している程度だ。
シエロは並々ならぬ意欲を見せる。
自分の活躍に命運がかかっていると強く、感じていた。
もっともそれはシエロの大いなる勘違いに過ぎなかった。
各々の健闘が大事とステラが強調したのをいいように解釈しただけなのだ。
しかし、勘違いは強い力を引き出したので結果オーライである。
ブランカはシエロの奮闘により、絶好のタイミングと場所を得た。
「うおおお! 潰れろおおおお!」
クエレブレを射程内に捉えたブランカは両手をかざし、渾身の力を込めた重力魔法を撃った。
ヴィーとクロミアは頃合いよしと間合いを取っている。
文句なしに最大の威力で放たれた重力魔法である。
凄まじい重力場が形成され、クエレブレの周囲の空間が歪んだ。
強風を起こす翼の動きが止まった瞬間だった。
「今よ!」
「ロジャー」
ステラのラヨンとヴィトーのヴォルテックスが、クエレブレの翼を捉えた。
ラヨンから放たれた光条は狙い違わず、翼を貫いた。
光のカッターに近いラヨンの魔力波は刺突し、切断し、燃やすのだ。
ステラが狙った右の翼は見事に破壊された。
一方、ヴォルテックスも風の切断現象を起こしながら、左の翼を引き裂いている。
ヴォルテックスの起こす鎌鼬現象は凶悪そのものだ。
本来、クエレブレの鱗は弾丸さえも弾き返す強靭さが売りであり、鎌鼬では掠り傷がいいところだった。
しかし、ブランカの重力魔法を受けたのと比較的、弱い部位――翼だったのが大きい。
両翼を傷つけられたクエレブレは、これまでに感じたことのない痛みを受け、激怒した。
この恨み、如何にして晴らしてやろうかと怒りの炎を宿した瞳でクエレブレが偶然、捉えたのは間合いを取り、一息ついたヴィーの姿だった。
圧縮させた水流で粉々になる矮小な生物の姿を想像し、クエレブレの背から生える女がほくそ笑む。
「いけない……ダメっ!」
この時、クエレブレの動きに気付いたのはステラ一人だった……。
半ば精神論に近いものだった。
それも仕方ないことだろう。
ステラには日本人の美心という十九歳の女性の知識と経験があった。
しかし、本を読むのが好きだった美心はそれでも僅かにかじった程度の歴女の端くれに過ぎない。
彼女の見知った知識が総動員されようとも全て、机上の空論に近かったのだ。
それに加えて、『鋼鉄の聖女』の中でのステラも大概なものだった。
ニューリーダーを気取り、ルクシオン王を追い落とそうと画策し、時に頂点の座に就きながらもうまくいった試しがなかった。
指揮能力の欠如と高すぎる自意識のせいで軍師気取りの軍死になっていたのだ。
だが悪いことばかりでもない。
現在のステラは美心という前世を持ち、有能な叔父サテレスと優秀なサポートデバイス・アンドラスのサポートがあった。
あくまでシミュレート上とはいえ実戦に際し、的確な判断を下せる素養が育ったのである。
これまで実戦経験のないステラだったが、土壇場で考えついた戦術は実は強ち、間違っていなかったのだ。
撹乱すべく動き出したヴィーとクロミアの動きは素早い。
自分がどのように動けばいいのかを理解した者の動きだった。
実戦経験が乏しい面々しかいない中、この二人は明らかに違う。
これまでに幾度も過酷な状況を経験しているがゆえの経験則に基づき、正確に動いていた。
ヴィーとクロミアの相性は甚だ悪い。
ステラという潤滑油がいなければ、決して相容れない存在である。
そんな水と油のような二人が鏡合わせのように正確な動きで左右から、攻め立てるのは見事という他なかった。
三つ首の異形の竜クエレブレは苛立ちを覚えた。
左右でちょこまかと動き回る存在は実に癪に障る。
叩き潰そうと左右の首と腕を使ったが、捉えることができない。
苦し紛れに水流を放ったが、軽く避けられた。
クエレブレはステラの思惑通り、冷静さを失ったのだ。
敏捷性を武器に撹乱するヴィーとクロミアにすっかり、執着していた。
その為、ゆっくりと上空に上がっていく二人の人影を見落とした。
「もう少し、近寄れないか?」
「分かった。やってみる」
シエロの飛行能力はステラの見立て通り、それほど高くなかった。
小さな子供であれば、無理なく空を飛べたが同年代の少年ともなれば、勝手が違う。
自在に飛べるとは言い難く、ふらふらとどうにかこうにか、宙を浮くのを維持している程度だ。
シエロは並々ならぬ意欲を見せる。
自分の活躍に命運がかかっていると強く、感じていた。
もっともそれはシエロの大いなる勘違いに過ぎなかった。
各々の健闘が大事とステラが強調したのをいいように解釈しただけなのだ。
しかし、勘違いは強い力を引き出したので結果オーライである。
ブランカはシエロの奮闘により、絶好のタイミングと場所を得た。
「うおおお! 潰れろおおおお!」
クエレブレを射程内に捉えたブランカは両手をかざし、渾身の力を込めた重力魔法を撃った。
ヴィーとクロミアは頃合いよしと間合いを取っている。
文句なしに最大の威力で放たれた重力魔法である。
凄まじい重力場が形成され、クエレブレの周囲の空間が歪んだ。
強風を起こす翼の動きが止まった瞬間だった。
「今よ!」
「ロジャー」
ステラのラヨンとヴィトーのヴォルテックスが、クエレブレの翼を捉えた。
ラヨンから放たれた光条は狙い違わず、翼を貫いた。
光のカッターに近いラヨンの魔力波は刺突し、切断し、燃やすのだ。
ステラが狙った右の翼は見事に破壊された。
一方、ヴォルテックスも風の切断現象を起こしながら、左の翼を引き裂いている。
ヴォルテックスの起こす鎌鼬現象は凶悪そのものだ。
本来、クエレブレの鱗は弾丸さえも弾き返す強靭さが売りであり、鎌鼬では掠り傷がいいところだった。
しかし、ブランカの重力魔法を受けたのと比較的、弱い部位――翼だったのが大きい。
両翼を傷つけられたクエレブレは、これまでに感じたことのない痛みを受け、激怒した。
この恨み、如何にして晴らしてやろうかと怒りの炎を宿した瞳でクエレブレが偶然、捉えたのは間合いを取り、一息ついたヴィーの姿だった。
圧縮させた水流で粉々になる矮小な生物の姿を想像し、クエレブレの背から生える女がほくそ笑む。
「いけない……ダメっ!」
この時、クエレブレの動きに気付いたのはステラ一人だった……。
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