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第3章 茨の姫君
第24話 姫様御乱調
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そして、迎えた出立の日。
わたしはフードの付いたモコモコとしたロングローブを例の白ローブの上に羽織ってますの。
ロングローブは黒い毛皮で手触りが良く、さらに足首までしっかりと隠してくれる完全防御仕様ですわ。
レオと二人しかいないのだから、大丈夫! なんて、お母様の口車に乗せられて、酷い目に遭うところでしたわ。
「ねえ、リーナ。そんなもっこもこの厚着で大丈夫?」
「大丈夫ではないけど、仕方ないの。後で脱ぐから……」
レオと小声で会話をしつつも淑女然とした微笑みを浮かべ、総出で送ってくれる皆に挨拶。
我ながら、器用ですわね。
モニカとアグネスの淑女教育のお陰とも言えますわ。
「レオ君もスマイル。スマイルを忘れないでね」
「リーナ姫みたいには出来ないよ」
レオもニブルヘイムで新調した青を基調とするミスリル繊維で編まれた軽装に身を包んでますの。
凛々しく見えるだけで言動はいつも通りのレオ。
その装束が実は子供用ということは言わない方がいいかしら?
「それでは行ってきますわ」
付いてきたくて、ウズウズしているニールとガルムには少しの間だから、おとなしく留守番をするようにと言い聞かせておきましたけど、大丈夫かしら?
待ては出来るはずなのですけれど、既に自由ですわね……。
スカージもハンカチで目頭を押さえてますけど、大袈裟ですわ。
……と思って、辺りを見回すと皆がそのような感じでしてよ。
笑顔が引き攣りましたけど、スマイルだけは忘れずに!
レオと手を繋いで転移門に足を踏み入れましたの。
門を抜けた先は暗黒の森よりも遠く、鉄の森をも超えたところ。
北端に位置するニブルヘイムの中でもさらに極北の地。
やや霞んで見えるのは永久氷壁と呼ばれている決して、解けない氷に覆われた絶壁ですわ。
「あのさ。リーナ」
「どうしましたの?」
「手……」
「あっ」
手を繋いだまま。
いざ自覚してしまうと急に意識してしまい、顔が暑くなってきたのは気のせいかしら?
「どうしたの? もっこもこが暑い?」
「違いますわ」
レオは全く、気にしていないのか、涼しい顔をしているのですけど、どういうことですの?
わたしを意識していないのかしら?
それはショックなのですけど……。
手を繋いだのは転移門を抜けるにはある程度、魔力を制御する技術が必要という理由がありましたの。
レオは魔法もあまり見たことがないらしく、制御はどう見ても無理でしたから。
だから、わたしと手を繋ぐことでジャンプが可能になる。
大義名分ですわね。
それなのに意識すら、されていないこの現状。
どうすれば、いいのかしら?
そうでしたのね!
脱げば、いいのですわ。
黒いモコモコを脱いで、亜空間に放り込みましたの。
え? また、そんな適当にしまうと整理整頓が出来ない?
片付けなんて、いつでも出来ますわ!
今はそれよりもすべきことがありますもの。
「それだと寒くないの?」
「……ええ」
太腿までしか、裾の無い丈の短い白いシルクのローブにライトピンクのケープを羽織っただけのわたしを見ても無反応ですの!?
落ち着きましょう。
えぇ、そうですわ。
まだ、慌てるような時間ではありませんもの。
泉に辿り着く前に絶対、レオに意識させてみせますわ!
わたしはフードの付いたモコモコとしたロングローブを例の白ローブの上に羽織ってますの。
ロングローブは黒い毛皮で手触りが良く、さらに足首までしっかりと隠してくれる完全防御仕様ですわ。
レオと二人しかいないのだから、大丈夫! なんて、お母様の口車に乗せられて、酷い目に遭うところでしたわ。
「ねえ、リーナ。そんなもっこもこの厚着で大丈夫?」
「大丈夫ではないけど、仕方ないの。後で脱ぐから……」
レオと小声で会話をしつつも淑女然とした微笑みを浮かべ、総出で送ってくれる皆に挨拶。
我ながら、器用ですわね。
モニカとアグネスの淑女教育のお陰とも言えますわ。
「レオ君もスマイル。スマイルを忘れないでね」
「リーナ姫みたいには出来ないよ」
レオもニブルヘイムで新調した青を基調とするミスリル繊維で編まれた軽装に身を包んでますの。
凛々しく見えるだけで言動はいつも通りのレオ。
その装束が実は子供用ということは言わない方がいいかしら?
「それでは行ってきますわ」
付いてきたくて、ウズウズしているニールとガルムには少しの間だから、おとなしく留守番をするようにと言い聞かせておきましたけど、大丈夫かしら?
待ては出来るはずなのですけれど、既に自由ですわね……。
スカージもハンカチで目頭を押さえてますけど、大袈裟ですわ。
……と思って、辺りを見回すと皆がそのような感じでしてよ。
笑顔が引き攣りましたけど、スマイルだけは忘れずに!
レオと手を繋いで転移門に足を踏み入れましたの。
門を抜けた先は暗黒の森よりも遠く、鉄の森をも超えたところ。
北端に位置するニブルヘイムの中でもさらに極北の地。
やや霞んで見えるのは永久氷壁と呼ばれている決して、解けない氷に覆われた絶壁ですわ。
「あのさ。リーナ」
「どうしましたの?」
「手……」
「あっ」
手を繋いだまま。
いざ自覚してしまうと急に意識してしまい、顔が暑くなってきたのは気のせいかしら?
「どうしたの? もっこもこが暑い?」
「違いますわ」
レオは全く、気にしていないのか、涼しい顔をしているのですけど、どういうことですの?
わたしを意識していないのかしら?
それはショックなのですけど……。
手を繋いだのは転移門を抜けるにはある程度、魔力を制御する技術が必要という理由がありましたの。
レオは魔法もあまり見たことがないらしく、制御はどう見ても無理でしたから。
だから、わたしと手を繋ぐことでジャンプが可能になる。
大義名分ですわね。
それなのに意識すら、されていないこの現状。
どうすれば、いいのかしら?
そうでしたのね!
脱げば、いいのですわ。
黒いモコモコを脱いで、亜空間に放り込みましたの。
え? また、そんな適当にしまうと整理整頓が出来ない?
片付けなんて、いつでも出来ますわ!
今はそれよりもすべきことがありますもの。
「それだと寒くないの?」
「……ええ」
太腿までしか、裾の無い丈の短い白いシルクのローブにライトピンクのケープを羽織っただけのわたしを見ても無反応ですの!?
落ち着きましょう。
えぇ、そうですわ。
まだ、慌てるような時間ではありませんもの。
泉に辿り着く前に絶対、レオに意識させてみせますわ!
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