光を求め、影は遠く~私が変身ヒロイン?そんな話、聞いてない!~

黒幸

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第一章 白銀の閃光

19 アイハブノットコントロール

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「西田。君にはこのまま、ここで見たこと聞いたことを忘れ、として生きていく選択肢がある」

 先生は深刻な顔つきのまま、言葉を続けた。
 とても重い言葉だ。
 普通に生きていくのなら、忘れろと言う。
 文字通り、何らかの処置を施される可能性もありそうだ。
 お姉ちゃんが言ってた。
 大人は妙な言い回しをするって。

「もう一つの選択肢って、何ですか?」

 どうせなら、こちらから聞けばいいのだ。
 二者択一法でこんな言い方をしてくるってことは次に提示される選択肢が、選ばせたい方じゃないだろうか。
 多分、そう考えて間違いないと思う。

「そうか。では率直に言おう。君の力を貸して欲しい」
「私の……力?」

 私に力なんて、あった?
 資格者(プレイヤー)と言ってもランクは一番下でその日暮らし程度の実力しかない。
 お姉ちゃんの言ってた強い人への道は限りなく、遠いのに力があるとでも言うんだろうか。

「君は適合者(コンパチブルパーソン)として、高いコンコーダンスを持っている」
「こんこーだんす?」
「調和値と言った方が分かりやすいかな。つまり、君にしかできないことがあるんだ」

 なるほど、何となく分かったようで分からない。
 何に高い適性を持ってるのかがさっぱりじゃない?

「あの……それをやると私に何か、いいことあるんですか?」

 あれ?
 何か、聞いてはいけないことを聞いてしまったんだろうか。
 指令室? みたいな部屋が静まり返ってしまった。
 爆弾発言だったんだろうか、まずいことをしたかも……。

「ある。君は確か、お姉さんを探しているね? うちの組織はそういうのも得意なんだ。どうかな?」

 意外なところから、返事が来た。
 変な鉄仮面のお兄さんだ。
 そう見えないのにあの人が一番、偉い人ってこと?
 意外過ぎる。
 それにその条件なら、飲むしかないと思った。
 お姉ちゃんも言ってた。
 ギブアンドテイクが大事だって。

「やります」



 あれ?
 「やります」と答えたのは確かに私だ。
 でも、どうしてこうなった? としか言いようがない。
 到着した時に入ったやたらと広いスペースに連行された。

 列車が入って来たホームがあって、車がたくさん置いてあるあのスペースだ。
 そして、気付いたのは人がほとんどいないってこと。
 機械類の整備をしてるのはロボットで……あれが多分、作業用ドローンみたいなものだと思う。
 だから、人が少なくてもどうにかなるんだろうか。
 不思議だけど。

「西田。ちゃんとベルトをしないと危ないからな」
「あ、はい」

 そう。
 私はなぜか、並べられてた車の一台に乗っている。
 なぜかは分からないけど、この車しかないと確信する一台だ。
 流線型でドアは二枚しかない。
 スポーツカーぽいけど、ちょっと違う気がする。
 一言で言うとスタイリッシュ。
 何か、外国ぽい雰囲気のある車だった。

 カラーはキラキラと輝くシルバーで赤と青のラインが入ってる。
 それがアクセントになってるのか、速そうに見える……。
 そして、これもなぜかは分からない。
 分からないけど、私が近づいたら、勝手にエンジンがかかった。

「君は不思議に思うかもしれない。だが、これだけは理解しておいて欲しい。これは君にしか、できないことだとね」

 先生が言うにはこの車、今まで動かなかったらしい。
 私が来たから、動いた。
 私にしか、動かせないってことなのだ。
 うん、よく分からない。

「先生、それでこの車って……」
「完全制御された人工知能が搭載されている。だから、勝手に……」
「動くってことですか!?」
「そうなるな」

 車のコンソール画面が勝手に付いて、ハンドルとかもひとりでに動いてる。
 急発進して、かなり荒っぽい運転だ。
 どこが完全制御された人工知能なのかって、言いたい。
 さらに何か、嫌なアナウンスが聞こえた……。
 さっきの部屋にいたお姉さんの声だと思う。

「カタパルト一番スタンバイ。ユーハブコントロール」

 外国の映画で聞いたことある台詞だった。
 こういう時、何て答えればいいんだろう?
 あー、あー、あいはぶ?

 そんなことを考える余裕すら、与えてくれなかった。
 何考えてるんだか。
 途端に物凄い衝撃が襲ってきた。
 これが重力加速……。
 死ねる……。
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