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第三章 セラフィナ十六歳
第46話 悪妻、目撃する
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モデストに絶縁宣言をしてから、駆け足のように時が過ぎた。
うん、絶縁は言い過ぎたかな。
目を逸らすし、変なところが多いけど、イディは気の置けない友人だと思ってた。
『構わないで』は距離を置いてって意味で言ったのに。
嘘を吐いてたのが許せないから、反省して欲しかったのは本当だ。
前世では私に興味を示さなかったモデストが急に距離を詰めてくる理由が分からなくて、怖かったからというのもある。
ただ、あの男は変なところが律儀というか、真面目というか。
構わなくなってきたどころか、完全な放置だよ?
これではまるで前世と同じ展開になってる気がする。
政略結婚としての婚約で無理矢理、押し付けられた二歳年上の婚約者。
一切、興味を示さない。
学園で会うこともなければ、定期的にお茶会で顔を合わせることもない。
イディとして、冒険者の活動にも絡んでこなくなってきたから、ないない尽くしもここまで来るといっそ、清々しいくらいだ。
そして、あっという間に二年が過ぎて、私達は卒業式を迎える。
卒業式で答辞を読み上げる代表に選ばれたのはチコ第二王子だ。
在学中、チコは王族の名に恥じぬよう弛まぬ努力を続け、成績一位を維持し続けた。
ただ、これにはちょっと裏がある。
私とシルビアはわざと手を抜いていたからだ。
変に悪目立ちしたくないから、わざと試験で間違えて、減点してもらって、常に五位以内をキープする。
だけど、一番頑張ったのはアリーだろう。
入学時は五級だったのに二年前に一級のクラス入りを認められた。
そこから、成績も十位以内をキープし続けたのだ。
五位以内をキープはさすがに難しかったらしいが立派だと思う。
あの子は実技だけなら間違いなく、トップ実力者なんだけど、紙での試験は苦手なのだ。
王子妃として内定してからは本格的な淑女教育が始まったせいもあるわね。
それなのに諦めることなく、努力して、今では立派なレディになってるのだ。
卒業式の後は伝統行事ともなっている卒業生だけが出席できる卒業パーティーが開かれる。
「おめでとう。チコ、アリー」
「ありがとう、セナ」
「あなたとシルビアがいなかったら、この日を迎えられなかったよぉ。本当にありがとう」
チコとアリーが並んで立っているとまるでおとぎ話の王子様とお姫様みたいに見える。
四年前は頼りなくて、周りの大人に頼ることに慣れ切った甘えん坊な末っ子だったチコ。
今ではすっかり背も伸びて、大人びてきただけじゃなくて、しっかりした王子になった。
私とシルビアがアリーを通して、教育した甲斐があるというものだ。
何しろ、王太子のウルバノがあまり、頼りにならないんだから。
でも、チコとアリーが王族として、重きをなしてくれれば、エンディアが攻めてきても対処出来ると思うのよ。
「ねぇ。それより、皆様。あれは気付いてらして?」
シルビアが口許を羽根扇で隠しながら、流し目で優雅に見遣った先にはどこぞの令息と見知らぬ令嬢がやや無作法にも腕を組んで寄り添っている姿があった。
呼ばれてもいないのに壇上に上がっていく二人は一体、何をする気なんだろうか。
「あの御令嬢、パーティーの正式な招待者ではありませんの。在学生。それも二学年下の下級生ですもの」
「どういうこと? チコ?」
「い、いや。僕はそんな話を聞いてないよ」
チコの顔が気の毒なくらいに青褪めてるから、本当に知らなかったんだろう。
だとすれば、王族や高位貴族の子弟が出席するパーティーで大問題の発生だ。
警備責任者の首が飛びかねないわね。
「今、婚約破棄や断罪が民衆の間で流行しているのは御存知かしら?」
ロマンス小説や冒険活劇は好きでノエミに頼んで最新刊を欠かさず、購入しては二人でキャッキャするのが楽しみだったりする私だ。
しかし、そんなジャンルは聞いたことがない。
チコも同じだったらしく、首を捻っている。
「えー? もしかして、ざまぁなの? リアルざまぁをする気なんだぁ」
アリーは詳しいんだろう。
目を輝かせるのはいいけど、折角、身に付けた淑女はどこへ行ってしまったんだろう?
可愛いから、いいけど。
「見ているだけでいいのよね?」
三人の顔を窺うと二名は明らかにこれから、起こる事態に何かを期待してる表情を隠せてない。
チコだけが困ったように眦と眉を下げていて、見ていて可哀想なくらい。
仕方ないわ。
暫く、様子を見守るとしましょうか。
「エリザンナ・ドッセッタ! 君との婚約を今日、この場をもって破棄する」
「な、なぜでございますか」
壇上に上がった例の二人――ちょっと小太……いえ、少々、肉付きがいい令息と小柄で……えっと……そうですわ! 肉付きの豊かな令嬢。
私の記憶が確かなら、令息はブッターニ・タスケーノ伯爵令息で間違いない。
タスケーノ伯爵家の三男でどうにか卒業出来る程度の学力。
実技もぱっとしないだけではなく、あまり、いい噂を聞かない人物だ。
そりゃ、そうよね……。
同級生の婚約者がいるのにその前で別の令嬢の腰に手を副え、その顔を愛おしそうに見つめているんだから。
そのぶた……じゃなくて、ブッターニ令息に大声で名指しされたのは婚約者であるエリザンナ・ドッセッタ侯爵令嬢だ。
栗色の髪と夕焼けの色をした瞳のせいで『地味姫』なんて、呼ばれてるけどそれは彼女のことをよく知らないだけなんでしょうね。
学力は優秀。
実技でもアリーに匹敵する優秀さを見せてると評判の子だ。
入学時から、一級クラスを維持してるし、色合いがちょっと目立たないだけで彼女の美しさは同性から見ても羨ましいほどのものだ。
その妬みもあって、『地味姫』なんて呼ばれたのかしら?
おかしな話なのよね。
本来、令息は三男だから継ぐ家がないのだ。
格上である侯爵家に婿に入れて、おまけに賢くて、美しい妻なのよ?
それを自分から、捨てるなんて、解せぬことをするものだわ。
「デブ専なのね。本人もそうだから、お似合いじゃない?」
「どうせ、『真実の愛が』とか、言い出すのかしら?」
「きっと、そうよっ」
シルビアとアリーはこの状況でも盛り上がっているみたい……。
私、流行に乗り遅れてるわね。
うん、絶縁は言い過ぎたかな。
目を逸らすし、変なところが多いけど、イディは気の置けない友人だと思ってた。
『構わないで』は距離を置いてって意味で言ったのに。
嘘を吐いてたのが許せないから、反省して欲しかったのは本当だ。
前世では私に興味を示さなかったモデストが急に距離を詰めてくる理由が分からなくて、怖かったからというのもある。
ただ、あの男は変なところが律儀というか、真面目というか。
構わなくなってきたどころか、完全な放置だよ?
これではまるで前世と同じ展開になってる気がする。
政略結婚としての婚約で無理矢理、押し付けられた二歳年上の婚約者。
一切、興味を示さない。
学園で会うこともなければ、定期的にお茶会で顔を合わせることもない。
イディとして、冒険者の活動にも絡んでこなくなってきたから、ないない尽くしもここまで来るといっそ、清々しいくらいだ。
そして、あっという間に二年が過ぎて、私達は卒業式を迎える。
卒業式で答辞を読み上げる代表に選ばれたのはチコ第二王子だ。
在学中、チコは王族の名に恥じぬよう弛まぬ努力を続け、成績一位を維持し続けた。
ただ、これにはちょっと裏がある。
私とシルビアはわざと手を抜いていたからだ。
変に悪目立ちしたくないから、わざと試験で間違えて、減点してもらって、常に五位以内をキープする。
だけど、一番頑張ったのはアリーだろう。
入学時は五級だったのに二年前に一級のクラス入りを認められた。
そこから、成績も十位以内をキープし続けたのだ。
五位以内をキープはさすがに難しかったらしいが立派だと思う。
あの子は実技だけなら間違いなく、トップ実力者なんだけど、紙での試験は苦手なのだ。
王子妃として内定してからは本格的な淑女教育が始まったせいもあるわね。
それなのに諦めることなく、努力して、今では立派なレディになってるのだ。
卒業式の後は伝統行事ともなっている卒業生だけが出席できる卒業パーティーが開かれる。
「おめでとう。チコ、アリー」
「ありがとう、セナ」
「あなたとシルビアがいなかったら、この日を迎えられなかったよぉ。本当にありがとう」
チコとアリーが並んで立っているとまるでおとぎ話の王子様とお姫様みたいに見える。
四年前は頼りなくて、周りの大人に頼ることに慣れ切った甘えん坊な末っ子だったチコ。
今ではすっかり背も伸びて、大人びてきただけじゃなくて、しっかりした王子になった。
私とシルビアがアリーを通して、教育した甲斐があるというものだ。
何しろ、王太子のウルバノがあまり、頼りにならないんだから。
でも、チコとアリーが王族として、重きをなしてくれれば、エンディアが攻めてきても対処出来ると思うのよ。
「ねぇ。それより、皆様。あれは気付いてらして?」
シルビアが口許を羽根扇で隠しながら、流し目で優雅に見遣った先にはどこぞの令息と見知らぬ令嬢がやや無作法にも腕を組んで寄り添っている姿があった。
呼ばれてもいないのに壇上に上がっていく二人は一体、何をする気なんだろうか。
「あの御令嬢、パーティーの正式な招待者ではありませんの。在学生。それも二学年下の下級生ですもの」
「どういうこと? チコ?」
「い、いや。僕はそんな話を聞いてないよ」
チコの顔が気の毒なくらいに青褪めてるから、本当に知らなかったんだろう。
だとすれば、王族や高位貴族の子弟が出席するパーティーで大問題の発生だ。
警備責任者の首が飛びかねないわね。
「今、婚約破棄や断罪が民衆の間で流行しているのは御存知かしら?」
ロマンス小説や冒険活劇は好きでノエミに頼んで最新刊を欠かさず、購入しては二人でキャッキャするのが楽しみだったりする私だ。
しかし、そんなジャンルは聞いたことがない。
チコも同じだったらしく、首を捻っている。
「えー? もしかして、ざまぁなの? リアルざまぁをする気なんだぁ」
アリーは詳しいんだろう。
目を輝かせるのはいいけど、折角、身に付けた淑女はどこへ行ってしまったんだろう?
可愛いから、いいけど。
「見ているだけでいいのよね?」
三人の顔を窺うと二名は明らかにこれから、起こる事態に何かを期待してる表情を隠せてない。
チコだけが困ったように眦と眉を下げていて、見ていて可哀想なくらい。
仕方ないわ。
暫く、様子を見守るとしましょうか。
「エリザンナ・ドッセッタ! 君との婚約を今日、この場をもって破棄する」
「な、なぜでございますか」
壇上に上がった例の二人――ちょっと小太……いえ、少々、肉付きがいい令息と小柄で……えっと……そうですわ! 肉付きの豊かな令嬢。
私の記憶が確かなら、令息はブッターニ・タスケーノ伯爵令息で間違いない。
タスケーノ伯爵家の三男でどうにか卒業出来る程度の学力。
実技もぱっとしないだけではなく、あまり、いい噂を聞かない人物だ。
そりゃ、そうよね……。
同級生の婚約者がいるのにその前で別の令嬢の腰に手を副え、その顔を愛おしそうに見つめているんだから。
そのぶた……じゃなくて、ブッターニ令息に大声で名指しされたのは婚約者であるエリザンナ・ドッセッタ侯爵令嬢だ。
栗色の髪と夕焼けの色をした瞳のせいで『地味姫』なんて、呼ばれてるけどそれは彼女のことをよく知らないだけなんでしょうね。
学力は優秀。
実技でもアリーに匹敵する優秀さを見せてると評判の子だ。
入学時から、一級クラスを維持してるし、色合いがちょっと目立たないだけで彼女の美しさは同性から見ても羨ましいほどのものだ。
その妬みもあって、『地味姫』なんて呼ばれたのかしら?
おかしな話なのよね。
本来、令息は三男だから継ぐ家がないのだ。
格上である侯爵家に婿に入れて、おまけに賢くて、美しい妻なのよ?
それを自分から、捨てるなんて、解せぬことをするものだわ。
「デブ専なのね。本人もそうだから、お似合いじゃない?」
「どうせ、『真実の愛が』とか、言い出すのかしら?」
「きっと、そうよっ」
シルビアとアリーはこの状況でも盛り上がっているみたい……。
私、流行に乗り遅れてるわね。
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