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27 プレイヤーギルド
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ホテルを出た後、予定通り、ギルドに向かう。
ギルドって愛称は誰が付けたのか、知らないが分かりやすくて、いい名だ。
本当は世界資格者機構というけったいなのが、正式名称らしい。
言いにくいし、覚えにくい。
だから、プレイヤーギルドと呼べば、通じる。
「ギルドは役所にあるのか?」
「らしいわね」
「へえ。お役所なのか。意外だな」
てっきり教会や修道院のような建物を自前で持っているものだとばかり、思っていたが違ったようだ。
ブルゴス市役所の一角に間借りする形でギルドの出張所があった。
割と大きな都市の割に意外とどころか、こじんまりとしているというのが第一印象。
それでもさすがに大都市だけあって、故郷の村とは全く違う。
行きかう人が人間とは限らない。
亜人や獣人と呼ばれる人々の姿もちらほらと見受けられた。
ギルドの窓口辺りでその傾向はさらに強まる。
何らかの手続きをしているプレイヤーと思しき人々は、純粋な人間の方が少ないようにさえ見えた。
「さすが、大きな町は違うんだな」
「どこもこんなものだと思うけどねぇ。あの村と学院がちょっとおかしいだけなのよ」
オルガは吐き捨てるようにそう言うが、そのおかしな村で生まれ育った俺としては複雑な気持ちになる。
そうこうしているうちに俺達の整理券の番号が電光掲示板に表示された。
「いらっしゃいませ。こんにちは。スマイルは0円となっております」
「「…………」」
ギルドの受付に立つ人はきれいな女の人だった。
ブルネットをおかっぱ頭にしていて、背も高い。
顔も整っていて、受付に立っているだけでも絵になると思う。
それなのに二人して、思わず反応が固まったのは言っていることとやっていることがあまりに違うせいだ。
スマイルと言っている割に表情筋が全く、仕事をしていない。
愛想笑いどころか、表情がまるでないんだ。
「すみません。驚かれましたか? 私、ロボットなのです。インテンシティと申します」
「すげえ」
「やめなさいよ、みっともない」
相変わらず、そういうマスクでも付けているのかっていうほど、無表情を貫いている。
こんなに人間そっくりなロボットが本当にいるなんて、信じられないが都会って、すげえんだな! というのが俺の感想だった。
「冗談です。ロボットではありません。本日の御用件は何でございましょうか」
冗談と言いながらも表情は全く、動かない。
ロボットではないと言っているが、本当にロボットなんじゃないか。
その割に「気安くテシーとお呼びください」と妙にフレンドリーだ。
全く持って、訳が分からん……。
「何だか、疲れたな」
「同じく」
あのオルガがぐったりしている。
要はアレだ。
壁にゼリーを釘で打つでこちらのペースを完全に崩してくる受付嬢のインテンシティのせいだった。
学院で試練突破の御褒美として貰ったデバイスは仮登録みたいなもんだ。
それを正式に登録するのが、ひとまずの目的だった。
伯母さんは既に話が付けてあるので、手続きは至って簡単と言っていた。
俺と違って、人脈の広いオルガもそんなに面倒ではないはずと踏んでいた。
ところがどっこい。
インテンシティのせいなのか、堂々巡りで無駄に時間だけが経過した。
無表情で仕事ができる女にしか見えない彼女。
ところがこれが罠だった。
実は恐ろしく仕事ができない女だったのだ。
しかし、彼女を責める訳にもいかない。
仮登録されたデバイスから、ポイントを換算するのが難しいらしい。
学院時代に取得したポイントをギルドの基準に合わせて、全て計算し直すと滅茶苦茶、大変だったのである。
勘定合わせが大変というのだろうか。
あちらを上げるとこちらの勘定がおかしくなる。
そりゃ、時間もかかる訳だ。
「だけどさ。このポイントだとボルドーまで移動は難しいんじゃねえか?」
「そうね。学院時代のポイント、それなりにあったって言っても厳しいのは事実だわ。これは仕方ないわね」
「どうするんだ?」
「ここのギルドでポイントの稼げそうな仕事がないか、聞くのよ」
「なるほどな」
オルガはお嬢様ぽいのにしっかりしていると思う。
俺は短絡的にしか、考えられない。
郊外にいる魔物や獣を狩って、それを売り捌けばいいんじゃないか。
試しにそう言ってみたら、「だから、あんたバカなのよぉ」とちょっと呆れられた。
オルガが言うにはプレイヤーになった時点で、魔物を倒したり、相応の動きをすることでデバイスにポイントが加算されるらしい。
さらには魔物や獣から取った肉や骨、羽といった素材もギルドが買い取ってくれるそうだ。
そうか。
だから、カサドールと呼ばれる一族が狩猟者として、業界を席巻したのか。
今更のように実感するのだった……。
ギルドって愛称は誰が付けたのか、知らないが分かりやすくて、いい名だ。
本当は世界資格者機構というけったいなのが、正式名称らしい。
言いにくいし、覚えにくい。
だから、プレイヤーギルドと呼べば、通じる。
「ギルドは役所にあるのか?」
「らしいわね」
「へえ。お役所なのか。意外だな」
てっきり教会や修道院のような建物を自前で持っているものだとばかり、思っていたが違ったようだ。
ブルゴス市役所の一角に間借りする形でギルドの出張所があった。
割と大きな都市の割に意外とどころか、こじんまりとしているというのが第一印象。
それでもさすがに大都市だけあって、故郷の村とは全く違う。
行きかう人が人間とは限らない。
亜人や獣人と呼ばれる人々の姿もちらほらと見受けられた。
ギルドの窓口辺りでその傾向はさらに強まる。
何らかの手続きをしているプレイヤーと思しき人々は、純粋な人間の方が少ないようにさえ見えた。
「さすが、大きな町は違うんだな」
「どこもこんなものだと思うけどねぇ。あの村と学院がちょっとおかしいだけなのよ」
オルガは吐き捨てるようにそう言うが、そのおかしな村で生まれ育った俺としては複雑な気持ちになる。
そうこうしているうちに俺達の整理券の番号が電光掲示板に表示された。
「いらっしゃいませ。こんにちは。スマイルは0円となっております」
「「…………」」
ギルドの受付に立つ人はきれいな女の人だった。
ブルネットをおかっぱ頭にしていて、背も高い。
顔も整っていて、受付に立っているだけでも絵になると思う。
それなのに二人して、思わず反応が固まったのは言っていることとやっていることがあまりに違うせいだ。
スマイルと言っている割に表情筋が全く、仕事をしていない。
愛想笑いどころか、表情がまるでないんだ。
「すみません。驚かれましたか? 私、ロボットなのです。インテンシティと申します」
「すげえ」
「やめなさいよ、みっともない」
相変わらず、そういうマスクでも付けているのかっていうほど、無表情を貫いている。
こんなに人間そっくりなロボットが本当にいるなんて、信じられないが都会って、すげえんだな! というのが俺の感想だった。
「冗談です。ロボットではありません。本日の御用件は何でございましょうか」
冗談と言いながらも表情は全く、動かない。
ロボットではないと言っているが、本当にロボットなんじゃないか。
その割に「気安くテシーとお呼びください」と妙にフレンドリーだ。
全く持って、訳が分からん……。
「何だか、疲れたな」
「同じく」
あのオルガがぐったりしている。
要はアレだ。
壁にゼリーを釘で打つでこちらのペースを完全に崩してくる受付嬢のインテンシティのせいだった。
学院で試練突破の御褒美として貰ったデバイスは仮登録みたいなもんだ。
それを正式に登録するのが、ひとまずの目的だった。
伯母さんは既に話が付けてあるので、手続きは至って簡単と言っていた。
俺と違って、人脈の広いオルガもそんなに面倒ではないはずと踏んでいた。
ところがどっこい。
インテンシティのせいなのか、堂々巡りで無駄に時間だけが経過した。
無表情で仕事ができる女にしか見えない彼女。
ところがこれが罠だった。
実は恐ろしく仕事ができない女だったのだ。
しかし、彼女を責める訳にもいかない。
仮登録されたデバイスから、ポイントを換算するのが難しいらしい。
学院時代に取得したポイントをギルドの基準に合わせて、全て計算し直すと滅茶苦茶、大変だったのである。
勘定合わせが大変というのだろうか。
あちらを上げるとこちらの勘定がおかしくなる。
そりゃ、時間もかかる訳だ。
「だけどさ。このポイントだとボルドーまで移動は難しいんじゃねえか?」
「そうね。学院時代のポイント、それなりにあったって言っても厳しいのは事実だわ。これは仕方ないわね」
「どうするんだ?」
「ここのギルドでポイントの稼げそうな仕事がないか、聞くのよ」
「なるほどな」
オルガはお嬢様ぽいのにしっかりしていると思う。
俺は短絡的にしか、考えられない。
郊外にいる魔物や獣を狩って、それを売り捌けばいいんじゃないか。
試しにそう言ってみたら、「だから、あんたバカなのよぉ」とちょっと呆れられた。
オルガが言うにはプレイヤーになった時点で、魔物を倒したり、相応の動きをすることでデバイスにポイントが加算されるらしい。
さらには魔物や獣から取った肉や骨、羽といった素材もギルドが買い取ってくれるそうだ。
そうか。
だから、カサドールと呼ばれる一族が狩猟者として、業界を席巻したのか。
今更のように実感するのだった……。
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