【完結】氷の魔女は若き黒獅子に溶かされる~最強の魔女なのに年下の婚約者が積極的で抗えません~

黒幸

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第2章 自由都市リジュボー

閑話6 とあるメイドの華麗なる副業

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 今回の閑話の主役アンヌマリーのやっつけ線画下書きイラストです。
 『なくてもいいや』という場合は速攻で消します。

 🐶🐶🐶

 重い瞼を開くとわたしはベッドのフレームに両手足を革のベルトで繋がれ、身動き一つ出来ない状態にされている。
 どうやら、着ていたものも全て、脱がされた後のようだ。

「まぁ。もうこんなにしているなんて、いけない子ね」

 両足を無理矢理、開かれているという屈辱的な恰好なのに彼女の白魚のような指で黒い茂みに覆われた割れ目をそっと撫でられると恥ずかしさよりも快楽に溺れてしまいそうになる。

「あぁん、そこはダメですぅ」
「そんなこと言って。身体は正直よ?」

 彼女はそう言うと指に付いた湿りを味見するように口へと運ぶ。
 その様があまりに煽情的でわた…

「アンさん、何してるデスか?」
「は、はわああああ!?な、なんでもないですぅぅぅ!!」

 あたしは慌てて、まだ書きかけのロマンス小説を閉じた。
 あぶないあぶない。
 オーカスとニールお嬢さましかいないからって、油断してましたよぉ。
 二人で楽しそうに落書きしてたから、安心して、創作活動に没頭してたのに!

「アンさんは勉強熱心なんデスね」
「そ、そうなんですぅ。お嬢さまにお仕えするに日々是勉強なんですよぉ」

 違うけどね、断じて違うけどね。
 これは趣味と実益を兼ねた副業ってやつなの。
 巷を騒がす官能…もといロマンス小説がある。
 美貌の令嬢と彼女に仕えるメイドの倒錯的な愛の日々を描いており、大手の出版社から、刊行された物ではないのに大陸全土で密かなブームとなっているらしい。
 作者であるA・M・ティナーレは公の舞台に姿を現さない謎多き人物。

 なんちゃって。
 その謎の人気作家A・M・ティナーレの正体はこのあたし、アンヌマリーなのだ。
 前世で杏として生きていた頃も同人活動に勤しんでいたという過去があって、転生したこの世界でまた、文筆に携われるとは思ってなかった。
 まさか、自分が覆面作家になるなんて、全く考えてもいなかったわ。

 お嬢さまにお仕えするようになってから、趣味で私小説を書いていた。
 同人くらいの出来だったから、自費出版で出したんだけどそれが偶然、版元の目に留まっちゃったのだ。
 そこから、名を明かすことが出来ないあたしの立場を考えて、覆面作家A・M・ティナーレが誕生した。
 AはアンヌでMはマリー、ティナーレはあたしの姓エラントのアナグラムだから、勘のいい人には気付かれちゃいそうだ。
 幸いなことに身近な人から、指摘されたことは一度もない。
 ロマンス小説が好きなお嬢さまに気付かれるのではと思うと冷や冷やする。
 知っていても敢えて、知らない振りをしてくれているのかな?
 それともあんな内容の小説だから、距離を置かれているだけ?
 それはちょっと寂しいわ。

 とにかく一番、知られちゃいけないのはお嬢さま。
 お嬢さまの目にあたしの作品が入らないように常に気を配っている。
 これが大手出版社のだったら危ないところだった。
 まぁ、お嬢さまに本を届けるのも信頼されたあたしに一任されているから、問題ないんだよね。
 そう思っているあたしのバカ!

「ねぇ、アン。A・M・ティナーレという方の作品が人気あるようですけど、どういう内容なんですの?」

 さも興味ありそうに話題を振られた時は心臓が止まりかけたわ。
 その頃のお嬢さまはまだ、男性経験もなくって、深窓のお嬢さまの中のお嬢さまだった。
 『性を扱った低俗な小説なんですよぉ』『お嬢さまの目にしてよいものではありませんよぉ』と自分のハートにナイフをグサグサ刺しながらも止めたもんだ。

 ところがこれが事情が変わってきちゃったよ。
 お嬢さまはから。
 非常にまずい。
 『人気作家』『性のバイブル』と自分で首を絞めるようなことを言って、お嬢さまから遠ざけていたのに『そういう知識を得たいのですわ。是非、見たいのですけど手に入りませんの?』なんて、言われると思ってなかったわ。

「お嬢さま、件の作家の作品はその…いわゆる百合物がメインでして、お嬢さまの参考になるとは思えませんよぉ」

 あたしは嘘は言ってないよ?
 そもそも、前世でも今世でも男性経験のないあたしは想像だけで作品を手掛けている訳で。
 そのせいで男女の営みを描くのより、どうしても濃厚な百合展開ばかりになったんだ。
 なぜか、それが受けちゃって、シリーズ展開するほどの人気作品になっちゃったんだよね。
 何で書いちゃったかなぁ。
 『私とお嬢様』なんて、お嬢さまの目に留まったら、絶対やばいっての。

「アン。人は新しい知識が必要な生き物ですわ。それが今ですわ!参考にならなくても遠い未来の役に立つ可能性があるかもしれませんでしょう?」

 お嬢さまに瞳をキラキラさせて、お願いされたら、あたしが断れるはずないんだよね、これが。
 当たり障りがなさそうであたしが作者として特定されそうにないのを見繕って、お渡しするしかないよねぇ。
 このあたしがまさか、胃薬に頼らなくてはいけないなんて!
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