【完結】氷の魔女は若き黒獅子に溶かされる~最強の魔女なのに年下の婚約者が積極的で抗えません~

黒幸

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第4章 麗しのアルフィン

第138話 リーナもちゃんと食べないと駄目だよ

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 おかしいですわ。
  最近、口癖が『おかしいですわ』になっている気がしますけど、気のせいかしら?

 お日様が落ちるまで私はレオを甘やかしていた。
 これは間違いないのです。
 なぜ?
 どうして?
 頭の中に疑問符が湧きすぎて、対応出来ませんわ。

「どうしたの、リーナ?」
「何でもありませんわ」

 夕食を二人だけでなんて、言ったのは何処の何方ですの?
 あら、私ですわ。
 でも、約束は約束ですから、仕方ありません。

 🦊 🦊 🦊

 まさか、お肉を焼く時から、二人きりとは思ってもいませんでした。
 正確には厨房ですから、料理長や料理人の皆様がおられますのよ?
 ただ、誰も近付いてきませんもの。
 近付きたくないのかしら?
 レオが微妙に殺気を放っているせいですわ。

 私はお肉を焼いていて、彼は後ろから抱き締めてくれるのですけど。
 あまりにピタリと密着されていて、動きにくいですわ。
 それでもどうにか、極上の黒牛のフィレに塩と胡椒で下味をつけ、焼く作業に入りました。
 付け合わせのポテトバターとオニオンソースに着手しようとしたのですが……。

「あら?」

 そこにはもう盛り付け皿に既にきれいに並べられたポテトバターと小皿によそわれた琥珀色のオニオンソースがありました。
 ちょっと小太りで丸顔の柔和な顔をした料理長と目が合うと軽く、頷かれましたから、どうやら変に気を遣っていただいたみたい。
 (注:料理長は丸顔・小太りですが人間ではなく、オークです。好戦的で戦闘に長けた者が多いオークの中では珍しく、温和で戦闘ではなく、料理に生涯を捧げた人物です)

 結局、私は本当にお肉を焼いて、盛り付けただけです。
 これでお料理と言えるのかは怪しいですわね。
 ですから、せめて部屋に持っていくのくらいは自分でと思ったのですけど。
 それは任せて欲しいという現場の思いがあるのだとレオに言われ、渋々引き下がらざるを得ませんでした。
 (注:実際はリリアーナに配膳を任せると途中でつまづくなどのトラブルを起こし、無駄になる為です)

 🦊 🦊 🦊

 そして、二人きりのディナーとなったのですけど。
 思うところがあって、ちょっと口を尖がらせているのです。
 だって、おかしいんですもの。
 普通は向かい合うか、隣り合うか、ではありませんの?

「はい、あ~ん」

 雛鳥みたいに口を開けて、待っているレオがかわいいのですけど……この状況は納得出来ませんわ。
 どうして、彼の膝の上に乗せられているのかしら?
 自分の手で食べる気は最初から、なかった思っていいですわね。
 レオの右手は腰に添えられていて、身動きできないくらいにがっしりと掴まれています。
 でも、これは逃げられないように捕まえているのではなく、私が落ちないように心配してくれているんですもの。
 だから、嬉しかったりして……。

 問題は左の手ですわ!
 いくら手持ち無沙汰だからといって、食事中まで胸を揉んでくるのはやめて欲しいのですけど。
 同じ方ばかり、揉まれると大きさが偏りますわ。

「じゃあ、そっちも」
「あんっ、お願いしま……って、それ、違うところですわ」

 レオはもきゅもきゅ、ごくんと獰猛な黒獅子なのにとても、かわいらしい食べ方で一口大に切り分けたフィレ肉を呑み込むと左胸を揉んでいた手を止め、右胸の先端を服の上から、摘まんでくるのです。
 あまり、オイタをされると私がお皿を落とすということは分かっているみたいで、反応を楽しみつつ、生殺しのようにやめるのがちょっと悔しいですわ。

「リーナもちゃんと食べないと駄目だよ」
「レオが食べたら、食べますわ」
「いいこと考えたんだけど」
「レオの考えるいいことって、私にとってはいいことではないのではなくて?」
「そんなことないって」

 そう言いながら、口の端をちょっと上げてくつくつと笑うレオのこの顔。
 絶対、よくないことを思いついたのでしょう。

「まず、リーナが僕に食べさせてくれる」
「はい、今それをしてますわね。あ~ん」
「うん、それでね……モキュ。これを」
「んっ、んんん」

 胸にあった手が後頭部に添えられたと思ったら、まれるように口付けられたのです。
 それも愛し合う前に交わす舌を絡め合う大人の口付けですわ。
 彼が軽く咀嚼したフィレ肉も一緒に押し込まれてきて、一瞬、目が白黒してしまいました。
 不意打ちはいけないと思いますのよ?

 でも、レオの味がするお肉から、優しさと愛情が感じられて、いつしか食事をしていたことを忘れてしまいます。
 互いに求めうように舌を絡め合っていると頭が熱に魘されたようになってきて……危うくお皿を落としかけて、我に返りました。
 私ったら、なんと迂闊なのでしょう!

「レ、レオ。まずは食べてからにしましょう」
「そ、そうだね」

 お互いの身体を知り尽くしているのに妙に気恥ずかしくて、レオの顔も熟れたトマトのようになっています。
 私も頭から湯気が出そうなくらいにボッーとしているので同じような顔になっているのかしら?
 そこから、食事のスピードが異常に早くなったのは言うまでもありません。
 二人して、急ぐあまり、レオが喉にパンを詰まらせかけたのにちょっと慌てましたけど!

 その後、無作法ではありますけど、ベッドで続きをと燃え上がったのも言うまでもありません。
 翌朝、違う意味で余すところなく、食べられて、抱き潰された私が起き上がれなかったのも言うまでもありませんわね。
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