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本編
第16話 鼻の下伸ばしてデレデレして
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放課後はタケルが部活なのであたしは遠くで見守る、がいつものルーチンワークなんだけど。
忘れ物を思い出して、教室に入ろうとした時、人影が二つあるのに気付いた。
「いやいやいや、嘘よね。またなの?」
あたしは思わず、そう呟いてしまったけど誰かに聞かれる訳ではないから、どうでもいい。
問題はそうじゃなくて。
また、教室でそういうのに出くわしちゃう自分の運の無さにびっくりしちゃう。
それもまた、タケルなのよね。
影の一つはタケル。
もう一つの影は髪の長さと聞こえてくる声からすると足利さんよね。
「……僕は……必要とされる……なんだ」
「……あなたが……欲しいのです」
「でも……彼女……」
「私なら……必要……」
あー、まどろっこしい。
あの時のカオルとの会話と同じで断片的にしか聞こえてこないから、気になってしょうがないわ。
断片的だけど繋げていくとえっと……タケルが足利さんが必要で。
足利さんもタケルが必要で。
って、また、このパターンいやぁぁぁ。
あたしは忘れ物のことも鞄のことも忘れて、学校を飛び出してしまった。
これで逃走二度目。
これは癖になると良くないよね。
でも、二度あることは三度あるっていうから、やめられないのかな。
三度目はもう体験したくない……。
お家に直帰したあたしは前の時のようにショックでベッドで泣き伏した。
嘘だよ?
そんな真似はしない。
ゲームよ!
ゲームでストレス発散すれば、いいんだわ!
「ちょっと美人に言い寄られたからって、鼻の下伸ばしてデレデレして! あっー、むかつくぅー!」
そう。
あたしは今、絶賛ストレス発散中なのだ。
命乞いをするゴブリンの腕を飛ばし、足を飛ばし、止めを刺した時の快感といったら……って、何だか、自分がどんどん危ない子になってる気がしてきた。
Sではないと思ってたんだけど。
だからって、Mって訳じゃないかな?
ノーマルだもん、ノーマル。
アブノーマルじゃないはず。
「こらぁー、待てぇー!おとなしく、殺されなさい」
まぁ、待てと言われて待ってるのはいないよね。
レイピア片手に返り血を浴びたあたしに追いかけられたら、逃げるのも無理ないと思うわ。
でも、敵に背中向けて逃げるのは『士道不覚悟』って、言うんでしょ?
ゴブリンにそういうのがあるかは知らないけど、バッサリ斬っておく。
「ファイア・ボルト! ファイア・ボルト!」
逃げ惑うダイア―ウルフの群れに炎魔法を撃ち込む。
もうとにかく、撃ち込む。
そして、斬り込んでいって、当たるものを何も考えずに切り裂いた。
「はぁ……虚しい」
ふと我に返る。
虚しさと寂しさが混ぜこぜになって、倍以上で帰ってきた。
泣きたいのに泣かなかったのが悪いのかな。
周囲の惨状を見て、虚しさがさらに増していく。
焼け焦げた大地。
散乱する手足。
やっちゃった感がすごすぎて、どうしようもない。
体育座りをして、膝に顔を埋めながらボッーとする。
こんなにボッーとしてて良かったんだっけ。
今、何時なんだろ?
そんなことを考えてたら、不意に優しく、声を掛けられた。
この声はあたしになぜか、タケルを連想させるのだ。
なぜかは分からないけど、今はとても安心出来る気がする。
「リナさん、大丈夫ですか?」
表情の読めないバケツ頭なのにまるであたしのことを心配してるように見えてくる。
錯覚なの?
それともホントに心配してくれてるのかな。
「なんでもないもん」
「泣きたい時は泣いていいんですよ」
ランスさんはあたしの隣に同じように体育座りをして、寄り添ってくれた。
何も同じ格好をする必要なんて、ないのにね。
真面目というか、律儀というか、単に優しい人なのかな。
「ちょっと腹の立つことがあっただけ……それだけなのよ」
あたしは出会って間もないまだ、短い付き合いしなくって、おまけに顔も名前も知らない人なのになぜか、今日のことを口にしてた。
忘れ物を思い出して、教室に入ろうとした時、人影が二つあるのに気付いた。
「いやいやいや、嘘よね。またなの?」
あたしは思わず、そう呟いてしまったけど誰かに聞かれる訳ではないから、どうでもいい。
問題はそうじゃなくて。
また、教室でそういうのに出くわしちゃう自分の運の無さにびっくりしちゃう。
それもまた、タケルなのよね。
影の一つはタケル。
もう一つの影は髪の長さと聞こえてくる声からすると足利さんよね。
「……僕は……必要とされる……なんだ」
「……あなたが……欲しいのです」
「でも……彼女……」
「私なら……必要……」
あー、まどろっこしい。
あの時のカオルとの会話と同じで断片的にしか聞こえてこないから、気になってしょうがないわ。
断片的だけど繋げていくとえっと……タケルが足利さんが必要で。
足利さんもタケルが必要で。
って、また、このパターンいやぁぁぁ。
あたしは忘れ物のことも鞄のことも忘れて、学校を飛び出してしまった。
これで逃走二度目。
これは癖になると良くないよね。
でも、二度あることは三度あるっていうから、やめられないのかな。
三度目はもう体験したくない……。
お家に直帰したあたしは前の時のようにショックでベッドで泣き伏した。
嘘だよ?
そんな真似はしない。
ゲームよ!
ゲームでストレス発散すれば、いいんだわ!
「ちょっと美人に言い寄られたからって、鼻の下伸ばしてデレデレして! あっー、むかつくぅー!」
そう。
あたしは今、絶賛ストレス発散中なのだ。
命乞いをするゴブリンの腕を飛ばし、足を飛ばし、止めを刺した時の快感といったら……って、何だか、自分がどんどん危ない子になってる気がしてきた。
Sではないと思ってたんだけど。
だからって、Mって訳じゃないかな?
ノーマルだもん、ノーマル。
アブノーマルじゃないはず。
「こらぁー、待てぇー!おとなしく、殺されなさい」
まぁ、待てと言われて待ってるのはいないよね。
レイピア片手に返り血を浴びたあたしに追いかけられたら、逃げるのも無理ないと思うわ。
でも、敵に背中向けて逃げるのは『士道不覚悟』って、言うんでしょ?
ゴブリンにそういうのがあるかは知らないけど、バッサリ斬っておく。
「ファイア・ボルト! ファイア・ボルト!」
逃げ惑うダイア―ウルフの群れに炎魔法を撃ち込む。
もうとにかく、撃ち込む。
そして、斬り込んでいって、当たるものを何も考えずに切り裂いた。
「はぁ……虚しい」
ふと我に返る。
虚しさと寂しさが混ぜこぜになって、倍以上で帰ってきた。
泣きたいのに泣かなかったのが悪いのかな。
周囲の惨状を見て、虚しさがさらに増していく。
焼け焦げた大地。
散乱する手足。
やっちゃった感がすごすぎて、どうしようもない。
体育座りをして、膝に顔を埋めながらボッーとする。
こんなにボッーとしてて良かったんだっけ。
今、何時なんだろ?
そんなことを考えてたら、不意に優しく、声を掛けられた。
この声はあたしになぜか、タケルを連想させるのだ。
なぜかは分からないけど、今はとても安心出来る気がする。
「リナさん、大丈夫ですか?」
表情の読めないバケツ頭なのにまるであたしのことを心配してるように見えてくる。
錯覚なの?
それともホントに心配してくれてるのかな。
「なんでもないもん」
「泣きたい時は泣いていいんですよ」
ランスさんはあたしの隣に同じように体育座りをして、寄り添ってくれた。
何も同じ格好をする必要なんて、ないのにね。
真面目というか、律儀というか、単に優しい人なのかな。
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