【完結】日本で生まれたのに見た目はファンタジーな私!日本語しか喋れないんだけど、何か悪いの?~ピンク髪のヒロインはVRゲームの中で恋愛する~

黒幸

文字の大きさ
23 / 43
本編

第18話 あたしも一緒にやりたいわ

しおりを挟む
「今日が土曜でよかったぁ……」

 結局、良く寝られないまま朝を迎えてしまった。
 最悪の気分。
 変な夢を見ちゃうし、変な夢のせいで寝られなくなるし。
 寝ぼけ眼で髪の毛もボサボサのまま、顔を洗って気合入れようと洗面所に向かうとタケルとバッタリ、出くわした。

「うわっ、アリス……今日はいつもより、そのアレだね」
「んー、ちょっと寝れなかったのよ」

 タケルはいつものようにあたしに接してくれる。
 今のあたしはアレでしょ。
 百年の恋も冷める状態なんじゃない?
 頭ボサボサだもん。
 おまけに目はショボショボしてるし。

 でも、今更、取り繕うような関係じゃないよね、あたしたちって。
 いいところだけじゃない。
 悪いところだって、全部知ってる。
 そんな全部含めて、あたしはタケルが好き。
 だから、好きって言うって決めたんだから。

「でも、今じゃないことは確かだわ」
「何の話?」
「な、何でもないからっ。顔洗うから、あまり見ないでよね」
「はいはい。うちのお姫様の仰せのままに」

 タケルが不思議そうに首を傾げて、あたしを真っ直ぐ見つめるとなぜか、頭をポンポンと撫でてから、洗面所を出ていった。
 な、何なの……今の何?
 めっちゃ幸せな気分で顔が変なことになってそう。
 バ、バレてないよね?
 あたしは慌てて、髪を軽くまとめると洗顔フォームを顔全体に付けて、誤魔化すことにした。

 👧 👧 👧

 朝食も平日と同じでユイナさんはいなくって、あたしとタケルの二人きりで静かな時が過ぎていく。

「ねぇ、タケルは今日、何するの?」
「え? 今日はゆっくり、しようかなって」
「ゆっくりねぇ。ゲームするだけでしょ?」
「ははっ、バレてたのか。今、やってるゲームはネトゲなんだけど面白いんだよね」
「ふぅーん、楽しそうね?」

 あたしはトーストを口に咥えたまま、頬杖をついて彼のことを上目遣いに見つめながら、睨んでみる。
 こういうのに男は弱いって、雑誌に載ってたし、モデル仲間も言ってた。
 ただ、タケルがこれでドキッとしてくれるって保証はないんだけど。

「う、うん? 楽しいよ」
「ホント? じゃあ、あたしも一緒にやりたいわ。いいでしょ?」

 楽しいよって、笑顔だったタケルの顔が凍り付いた。
 そんなにびっくりしたのかしら?
 一緒にゲームやりたいって言っただけなのに。

「……それは無理かな」
「何で? あたしに見られるとまずいゲームなの?」
「そういう訳じゃないんだけど……無理なんだよね」

 タケルの顔がとても困っているのが分かった。
 問い詰める為に聞いたんじゃなくって、ただ、タケルが楽しく遊んでるところを見ていたいって思っただけなのに。

「見られたら困るとかじゃないんだ。ネトゲなんだよね。普通のネトゲなだけなら、アリスに見てもらいながら、遊べるんだけど」
「それが出来ないってことなの? 一体、何やってるのよ、タケル」
「うーん、言っちゃっていいのかな。バーチャルのなんだよ。VRってやつなんだけど」

 タケルは言い出すのを迷ってるような複雑な表情を浮かべて、言う。
 珍しいかもしれない。
 タケルがこういう顔するのって、年に数回あるか、ないかだと思う。

「ふ、ふぅーん、そんなので遊んでるんだぁ」

 え?
 VRって、どっかで聞いたような気がするってゆーか、それ、あたしがやってるのと同じなの?
 まさかねぇ、そんな訳ないよね。
 それも言うのを迷うっていうのはどういうことなの?
 あたしに知られちゃ、まずい理由は何なのよ?

「バーチャルのゲームだったら、あたしと一緒に遊ぶって選択肢はなかったの?」

 問い詰めたくないのに問い詰めてる感じが強くて、自分でも嫌になってくる。
 もう少し、言い方ってものを考えるべきよね。
 でも、そう簡単にやめられないと思う。
 もっと意識しないと癖は直しにくいもん。

「一緒に遊ぶ約束した人から、秘密にしておくようにって、言われてたんだ」
「何、それ。ゲームで遊ぶのに秘密って……」

 めっちゃ、怪しいじゃないの。
 秘密にして遊ばないといけないとか、浮気する男の言い訳みたい。
 気に入らないわ。
 よーし、決めた。

「まぁ、いいわ。タケルの趣味に口を出すほど、干渉する気はないもん。そんなことされたら、嫌でしょ?」
「それは……そうだけど。もしかして、怒ってる?」
「え? 怒ってないけど何で? それでね、タケル。あたし、ちょっと外に出るわね。折角の休みだし、ショッピング日和だから」
「じゃあ、僕も荷物持ちでついていこうか?」
「ううん、大丈夫。そんな買い物する予定ないから、荷物なんて出ないもん。タケルはゆっくりゲームで遊んでいいよっ」
「な、何か、おかしいなぁ……」

 あたしの作戦はこうだ。外出する振りをして、こっそりと自室に戻る。
 それであたしもすぐにログインすれば、確かめることが出来る。
 そうと決まれば早速、実行あるのみ!
 あたしは部屋へ戻ると出かけもしないのによそ行きのブラウスとロングスカートを着込み、バッチリとメイクまでした。
 『じゃあ、行ってくるねっ』とタケルにわざわざ言ってから、玄関を出る。
 彼が部屋に入って、ログインが終わったくらいのタイミングを見計らって、そっと、足音を忍ばせ部屋に戻った。

「あたしの考えてる通りなら、彼がタケルなのよね」

 彼にどうやって話を切り出せばいいのかと悩みつつ、アースガルドの世界にログインするのだった。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜

百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。 「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」 ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!? ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……? サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います! ※他サイト様にも掲載

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

厄災烙印の令嬢は貧乏辺境伯領に嫁がされるようです

あおまる三行
恋愛
王都の洗礼式で「厄災をもたらす」という烙印を持っていることを公表された令嬢・ルーチェ。 社交界では腫れ物扱い、家族からも厄介者として距離を置かれ、心がすり減るような日々を送ってきた彼女は、家の事情で辺境伯ダリウスのもとへ嫁ぐことになる。 辺境伯領は「貧乏」で知られている、魔獣のせいで荒廃しきった領地。 冷たい仕打ちには慣れてしまっていたルーチェは抵抗することなくそこへ向かい、辺境の生活にも身を縮める覚悟をしていた。 けれど、実際に待っていたのは──想像とはまるで違う、温かくて優しい人々と、穏やかで心が満たされていくような暮らし。 そして、誰より誠実なダリウスの隣で、ルーチェは少しずつ“自分の居場所”を取り戻していく。 静かな辺境から始まる、甘く優しい逆転マリッジラブ物語。

処理中です...