星の堕ちた世界で~終末世界のエルフ~

黒幸

文字の大きさ
28 / 37

28 わたしのできること

しおりを挟む
 かなり離れているのにシュッシュッと風を切る音が聞こえてくる。
 そのパンチは光速を超える!
 とは言わないまけど、音速を超えていてもおかしくなさそう……。

 気のせいか、シャコもどきがパンチをしている周囲の空間だけ、熱が発生しているように見える。
 そういえば、前にテレビで見たことあったっけ。
 高速パンチを繰り出すシャコがいるとか、なんとか。

「近付いたら、危なそうね」
「だからって、遠くから見ていても駆逐できねぇでございましょう」
「当たらなければ、どうってことないよ」

 二対一で多数決。
 どうやら、あのヤバいのを相手に近接戦を挑むつもりらしい。

 種族の枷というのがある。
 グルヌイユは小柄で体格的に恵まれない。
 その為、あまり近接戦や格闘戦に向いていないというのが大方の考えだ。
 でも、実際は優れた動体視力を持っている。
 小柄であっても高い筋力もある。
 うまく立ち回れば、ウィークポイントをストロングポイントに変えることができるって訳。
 彼はそう信じて、頑張っている子なのだ。

 ラバーさんは言わずとも分かる。
 きっと脳まで鍛えちゃった人だ。
 バトルシスターとか、武闘派修道女とか。
 そういう単語が似合う人に違いない。

「分かったわ。じゃあ、わたしはわたしのできることをするね」
「おっけー」
「え、えっとぉ。大丈夫よねぇ?」
「まぁ、任せてください! とは言えないけど、頑張ります」

 「そっかぁ。分かった」と言い終わらないうちに駆け出しているラバーさんはやっぱり、脳まで鍛えてると思うのよ。
 それはいいとして……。

「さてとサポートは久しぶりね。いっちょやりますか」
『ミレイユなのに珍しく、やる気ですね。いいことです』

 肩の上でしたり顔をするこの垂れ耳!
 二度と垂れてこないようにぴょこんとさせましょうか。
 いや、できないから、やらないけど。

「要領は一緒だしね」

 ストレージから、『アーバレスト』を取り出して、構える。
 狙うのはとりあえず、そう。
 ユーくんよね。
 分かる人にやって、効果を見せた方がラバーさんにも分かってもらえるだろうし!

「サポートのサポートをお願い」
『注文が多いのはいけないと思います』

 そう言いながらもバルディエルは仕事をしっかりとやってくれる子なのだ。
 そう。
 『アーバレスト』の存在価値は敵を倒す武器であることにあらず! なのよね。
 実は正反対の効果も出せる。

 例えばの話。
 わたしは自分が動きやすいようにと無意識に風の魔法を発動して、使っている。
 これを効果的に他の人にも使うのがいわゆる、支援魔法って呼ばれているんだけど。
 『アーバレスト』はそれをサポートしてくれるのよ。

 敵を倒す時は攻撃的な魔法の弾丸を装填していたけど、今度は違う。
 要はイメージの問題だから。
 大事なのはどうイメージをするか。

 ユーくんがより速く、強く、動けるようにイメージして、魔法の矢を装填する。
 これで大丈夫なはず!

「ユーくん、いっくよー」

 これで伝わったのでいける。
 後はいつもと同じ要領だけど目標に選ぶのが、敵ではないってこと。
 ユーくんをターゲットして、撃つ!
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

異世界と地球がダンジョンで繋がった ー異世界転移者の私ー

白木夏
ファンタジー
2040年の初春、突如として地球上の主要都市に謎のダンジョンが出現した。 その特異性は明らかで、人口密集地を中心に出現し、未開の地には一切現れないという法則性を帯びていた。 人々は恐怖に震えつつも、未知なる存在に対する好奇心を抑えきれなかった。 異世界転移した最強の主人公のほのぼのライフ 主人公はあまり戦ったりはしません。

犬の散歩中に異世界召喚されました

おばあ
ファンタジー
そろそろ定年後とか終活とか考えなきゃいけないというくらいの歳になって飼い犬と一緒に異世界とやらへ飛ばされました。 何勝手なことをしてくれてんだいと腹が立ちましたので好き勝手やらせてもらいます。 カミサマの許可はもらいました。

追放料理人とJKの異世界グルメ無双珍道中〜ネットスーパーは最強です〜

音無響一
ファンタジー
わーい、異世界来ちゃった! スキルスキル〜何かな何かな〜 ネットスーパー……? これチートでしょ!? 当たりだよね!? なになに…… 注文できるのは、食材と調味料だけ? 完成品は? カップ麺は? え、私料理できないんだけど。 ──詰みじゃん。 と思ったら、追放された料理人に拾われました。 素材しか買えない転移JK 追放された料理人 完成品ゼロ 便利アイテムなし あるのは、調味料。 焼くだけなのに泣く。 塩で革命。 ソースで敗北。 そしてなぜかペンギンもいる。 今日も異世界で、 調味料無双しちゃいます!

処理中です...