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1前世は女ですが今世は男です

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 ※注意:BLが好きな方はごめんなさい……一応BLではないです。頭を空っぽにしてお読みください。

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 いたって普通の女子高生だった。友達とわちゃわちゃして、バカ笑いしてーー

「なお~!」

 この日も親友のなおと一緒に遊ぶつもりだった。だが、私の記憶はなおに声をかけた時点で終了していた。

ーー

ーーーー

ーーーーーーー


「なお……」

 自分の寝言で目が覚めた。パチリと目を開ければ、高い天井が目に入る。そうだ、私は、俺は、気がつけば異世界へと転生していたのだ。

 ルブル伯爵家次男ルヴィル、それがの俺の名前だ。

 異世界転生ということで狂喜乱舞した私は現金だっただろう。だが、現実は甘くない。所詮は女子高生止まりのほぼ役に立たない記憶ばかり。知識チートは無理でした。今現在は2度目の学生生活を体験している途中。

 そう! この国には貴族専用の学園があるのだ。ちなみに学園には普通科と騎士科があるぞ。

 え? 騎士にはならないのかって? 

 いやぁ、実は騎士も目指したんだけどどうしてか向いてなかった。雰囲気というか、なんというか、とにかく俺に合わなかったんだ。

 だから今はsmartかしこくになるべく学業に専念している。伊達メガネもかけた。成功者になるにはまずは形からってどっかの本で書いてあったからね。

「ルヴィル、何か飲み物をくれ」

「承知いたしました、殿下」

 あ、ちなみにだが。俺は今、学園のトップに君臨している殿下の補佐をやっている。補佐とは聞こえがいいが、実際は便利屋。

『騎士は諦めたのか? なら私の補佐をするがいい』

 騎士を諦め、騎士科から普通科に入った時に偶然殿下に再会し、そう言われたのだ。

 当時の俺はバカだった。殿下の補佐になることができたら卒業してから就職までラクチンじゃん! って思ったんだ。でも、実際は飲み物を殿下に運んだり、殿下のためのおやつを作ったりとなんかお母さんがするような仕事ばかり。

 たま~~に、会議の資料を纏めたりすることはあるけど、その他は雑用ばかりだった。

 今も、すっかり馴染んだ学園の食堂で紅茶を淹れている。

「あら、ルヴィル君! また殿下の?」

「ええ」

「大変ねぇ。これ、食べんなさい」

 顔馴染みになった食堂のおばちゃんから、お菓子をもらう。コレが俺の補佐としての日常である。
 
 読者の中には、前世女だからお前も殿下に好意持ってんじゃないの? って思う人もいるだろう。安心してほしい。俺の心は完全に男だ。
 しかも、俺は殿下に一度襲われかけた事がある。尻は守り抜いたが、その時から殿下への好感度はマイナスだ。最初は微妙なマイナスだったのに、一気にマイナス1000へ振り切った。

 いくら令嬢と致すことが出来ないからって貴族の、しかも冷静沈着なメガネキャラを目指している俺を襲うか?

 悪いけど頭沸いてんのかと思ったよ。

「ルヴィル、いい笑みだが何かあったのか?」

「いいえ殿下。今日は良い天気だと思っただけです」

「この大雨が、か?」

「はい、大地に恵みを届けるための雨は素晴らしいですからね」

「……そうか」

「はい」

 殿下はよく俺を見てくる。だが、冷静沈着メガネキャラを目指している俺は常に笑みを貼り付けているから、殿下はいつも不思議がっていた。

『もう少し表情のバリエーションを増やしたらどうだ』

 こればっかりだ。俺の目指すキャラはずっと柔和な笑みを浮かべている設定だから、これでいいんだよ!

 出来上がったお茶を殿下の元へと運ぶ。

 コトリと机にお茶を置けば、殿下と目があった。

「ところでルヴィル。今日の議題は把握しているか?」

「ええ、平民の入学を認めるかどうか、ですよね?」

 昨日目を通した資料を思い出す。なんだか乙女ゲームに出てきそうな設定だなぁと思っていたのだ。これでこの議題が可決されれば、多分平民の子が入ってくるのだろう。

「私はいいと思うのだが、ルヴィルはどう思う?」

「そうですねぇ。まず、身分を気にする貴族の学園に通わせるのはあまりいい案には思えません。できるなら、新しく別の学園を設立した方が良いかと」

「ほう?」

「何故平民を学園に通わせるのか、その理由を俺は把握しておりませんのでズレがあるかもしれません。ただ、新設した学園で貴族と平民を募集すれば、身分差を気にする貴族はこのままこちらの学園に来ますし、そうでない方は新しい学園に行くでしょう。平民の方もその方が心理的負担は軽くなると思います」

 俺はどっかの読者の意見を拾ってきただけ。他は知らんがな。

「荒いが、斬新な案だな」

 ソリャヨカッタデス。

「よし、その案も入れて今日は議会に提案しよう」

「ですが時間が……」

 議会が長引いたら俺の帰りが遅くなる!!!!

「なんだ、遅くなるなら城に泊まっていけば良い」

 嫌だよ。
 
 殿下に襲われたのも、殿下に勧められて城に泊まった時だった。這う這うの体で逃げ出したのに、それを再現するようなシチュエーションになりたくはない。てか、早くこの側近という名の便利屋をやめたい。切実に。

「ご遠慮いたします」

「なんだ。この前の冗談を真に受けたのか?」

 ええ、俺は例え冗談でも同性に迫られるなんてごめんですからね。

「どうせなら可愛い令嬢がいいですね」

「全くお前は……」

 なんだよ。俺、別に変なこと言ってませんよ?

「まぁいい。城に向かうから馬車に乗れ」

「あ、自分の馬車で行きますのでご心配なく」

 ちなみに、馬車を殿下と乗らない理由は公爵家次男からの視線が怖いからだ。あいつは以前の俺と同じ考えで、殿下の補佐の座を狙っている。実際の仕事内容は想像と180度違うが、公爵家次男には、俺に殿下の側近解雇宣言をしてくれいないか期待中だ。

 ただ、行き過ぎると罪名でっち上げられて首チョンパになりそうだから、刺激はほどほどに。てなわけで殿下と馬車は別。

「じゃあ、城でまた会いましょう」

「ああ」

 ペコリと一礼して俺は急いで待たせていた馬車に乗って城へ向かった。途中、いつもの癖で首元にある透明な石を握る。お母様の形見のネックレス。俺の大切な大切な宝物。












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【小話~作者より~】

 1ヶ月ほど前のことです。ワンホールのケーキを1人で食べてやろうと思いたち、ケーキ屋さんに行ったら12インチのケーキが1つだけポツンとありまして……よっしゃあ! とガッツポーズしてお持ち帰りしました。と、そこまでよかったんです。まさか、4分の1で胃もたれするなんて。ショックでした。

 ちなみに、ショートケーキの生クリームで撃沈いたしました。

 ケーキはとっても美味しかったです。

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