【完結】殿下から逃げ出したい転生者と、転生者を手に入れたい殿下の攻防〜味方のはずの父と兄は殿下とグルでした〜

ウミ

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2公爵家次男よ、感謝する!!!!

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 いつも会議は城で開催される。

「じゃあ、城でまた会いましょう」

「ああ」

 ペコリと殿下へ一礼して俺は待たせていた馬車に乗って城へ向かった。

 ーーが馬車を出てから一悶着。

「おい、伯爵家の次男如きが殿下に近づくな」

 公爵家の次男からのイチャモンである。

「申し訳ございません」

 と言いながらも、俺は公爵家次男直々に俺に殿下の補佐解雇宣言をしてくれないか期待していた。

「フンッ。そう言うならさっさと殿下から離れろ。そもそもお前みたいなチビメガネのドコがいいんだか」

 チビメガネじゃねぇし。お前がデカイだけだよ!!!! 

 心の中で公爵家次男に怒鳴り返したその時だ。ピッッッシャーーンッ!!!! と俺の中に天啓が降りてきた。

 【言わぬなら
   
    言わせてみせよう

          解雇宣言】

 そーだよ! いくら殿下が俺に補佐を頼んだからと言って、公爵家次男を差し置くわけにはいかない。
 本来なら、公爵家という高い地位の貴族が殿下の補佐をするべきだ! 

 公爵家の次男からこんだけ言われてるんだから、補佐は代わるべきだよなぁ? いくら殿下でも貴族のしきたりは破れない。それは高位貴族の命令に、下位貴族は逆らえないってものだ。

 つまり、公爵家次男が解雇宣言を出せば俺は晴れて自由の身。

「じゃあ、今日から貴方が殿下の側近になってくださいますか?」

「ふんっ、言われなくてもそうする。貴様はさっさと殿下の周りをうろちょろするのをやめて消え失せろ」

「つまり、俺はクビ……ですか」

 あくまでしょんぼりと。残念そうに。

「ああ、そうだ。貴様はクビだ」

 よっっっしゃぁぁぁぁぁーーー!!!!!!!!

 言ったぞ!!!! みんな聞いたな? 言ったからな! 解雇宣言いただきました!

「では、これを」

 ドンっと手に持っていた書類一式を公爵家次男に手渡す。

「なんだこれは」

「今日の議会の書類です。後2時間ぐらいで始まるのでそれまでに目を通してください。あ、それから俺を解放してくださってありがとうございます」

 これで殿下の側近という名の便利屋をやめられる!!!!

「じゃっ!!!!」

 踵を返して俺は全力で走った。メガネは投げ捨てた。チビメガネと言われてメガネをかけるほど馬鹿じゃない。メガネ、俺は似合ってなかったんだ‼︎

 いいし。だってこれ伊達メガネだもん。レンズの度数ゼロだし。

「馬車を出していただけますか」

「え、もう終わったのですか?」

 出て行って数分で戻ってきた俺に、びっくりする御者に首を振る。

「もうお役目御免だそうです。公爵家から睨まれる前に退散することにしました」

「はぁ、そうですか」

 首を傾げる御者を急かして俺は城から出た。公爵家次男よ、本当にありがとう。今日の会議は遅くなるみたいだから、ケツの安全確保しとけよーーーー! 







A few days laterすうじつご


「ルヴィル、城からお呼び出しがあった」

 厳かな声で父が俺に告げてきた。

「お役目はごめんと言われましたが?」

「あぁ、だが、殿下の命ではなかったようだな?」

 いやいや、公爵サマからだぞ? 殿下よりは弱いけど、ほぼ同じぐらいの力でしょうよ。

「俺は行きません」

「だめだ」

「やっと、やっと解放されたんです! 俺には許嫁もいません。本当ならいるはずだったのに、殿下のせいでパァになりましたよね? 今がチャンスなんです! でないと俺、独身のままになりますよ!?!?」

「う、む。分かっておるが、王室からの命だ。断れん。すまんが独身を今後維持していくことになるだろう」

 おい!?!? 父よ! それでも俺の父親か!?!?

「いいえ、俺は行きません。今、学園生活は最高に楽しいんです。殿下は俺よりも成績優秀な公爵家の次男であるアーノルド様がいらっしゃるので大丈夫でしょう!」

「いや、それが……」

 珍しく口籠る父に、俺は被せるように口を開いた。

「だ・い・じ・ょ・う・ぶ、でしょう!!!!!!!!!!!! では」

 パタムとドアが閉まる。ホッと一息ついた俺の耳元で、今1番聞きたくない声がした。

「ルヴィル、久しぶりだな」

「ぁあ"?」

 オット、失礼。

「ゴホンッ、これはこれは殿下ではないですか。いつの間にこちらに来られたので?」

「1時間ほど前だな。ルヴィルを驚かせたくてな」

 なにそのドッキリ。全然ビックリしないしドキドキしない。必要ない。マジで、必要ない。

「あぁ、お父様とお話をされるのですね?」

「いや、今日はルヴィルに話があってきた」

 俺は話なんてない。

「あー、今日は忙しいんです」

「伯爵からお前は今日一日中家にいると聞いた」

 父、許すまじ。てか、俺を売りやがったな?

「いえ、つい先ほど用事が出来まして……」

「そうか、なら諦めよう。土産に珍しい東の国の茶葉を持ってきたんだ。よかったら飲んでくれ」

 手渡されたのは前世ではよくお世話になっていた緑茶のような茶葉の入った紙袋。上品に包装されていて、これが安くないことは一目で分かった。

「ありがたく頂戴いたします」

 本当なら断るのが正解だが、前世の懐かしさから貰ってしまった。まぁ、今までのセクハラとパワハラの罰金だと思えばいいよな? え、図々しいって?

 ……否定はしない。潔く認めよう。

 それほどまでに、俺は前世の懐かしさに飢えていたんだ!

 まさか、それでバチが当たるとは思わなかった……







ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【小話~作者より~】

 皆様はお茶は何派ですか? 

 ちなみに私は麦茶派ですが、和菓子を食べる際には緑茶で頂いております。以前は牛乳でしたが、胃もたれが……

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