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7殿下の胸の内
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「ルーナ」
目尻に浮いた涙を口付けで吸い取ってやる。ふるりと長いまつ毛が震えた。
「んぅ」
クルリと向きを変えて、向こうを向くルーナを抱き寄せる。カクンと人形のように首が垂れた。
これだけ動かしても起きないのだから、相当疲れているのだろう。
無理をさせたという自覚があるが、このじゃじゃ馬を大人しくさせるためには仕方がなかったと言い訳でもしておこうか。
サラリと枕元に散らばった銀髪を手で掬う。
あの東の国の呪具というのは、私が探しに探して見つけ出したものだ。古代遺跡の産物らしいが、大変貴重だったものを金に物を言わせて買った。
どうしてもルヴィルを手に入れたかったからだ。
初めて彼を目にした時、とてもかっこいいと思った。
『お初にお目にかかります。殿下。俺のことはルヴィルとお呼びください』
そう挨拶する彼の横顔は人形師が魂を込めて精巧に作った最高傑作の人形のように美しかったのを今でも覚えている。
彼は自己をきちんと弁えているが、私に冗談を言うほど太々しくもあった。
最初は騎士を目指していたようだが、あの美しい体がムキムキになるのは嫌で、裏から手を回して諦めるように仕向けた。簡単に言えばルヴィルの騎士になれるかもしれないという希望をへし折った。
その後は、あっさりと騎士の道を諦めて勉学に励むようになったから成功したのだろう。だが、彼は笑わなくなった。いや、笑っているのだが仮面のような笑みをいつも浮かべるようになったのだ。
その後、なぜかルヴィルは令嬢達に人気となった。柔和な笑みと、対応が紳士なのだそう。私のものだと思っていたルヴィルが、私だけのものではないと気づいた瞬間だった。
公爵家がルヴィルを邪魔に思っていることも知っていた。だが、ルヴィルは私のそばに居るはずだと勝手に思い込んでいた。
「まさか私から離れるとは思わなかった」
あっさりとルヴィルが私の元から離れた時、私はあの呪具を使おうと決心した。もう、伯爵家に話は通しておいた。ルヴィルの外堀は埋めた。
その後は、一足先に地下通路で待ち伏せし、ルヴィルが来るのを今か今かと待つだけだった。意外に早かったのはそれだけ私から逃れたかったということなのか……
だが、計画は順調に進み、今、ルーナとなったルヴィルは私の腕の中にいる。
女体化すると、ルーナの美貌にさらに磨きがかかって、ますます情欲を煽られた。
「ルーナ、ルーナ。私の可愛い妻」
嫌がってはいるが、身体から落とせばいい。幸い、快楽は感じやすい体質のようだから難しくはないだろう。私がいなければ生きていけない、そんな体に躾けていくつもりだ。
「くそやろう……」
ふるりと瞼が震えて、美しい黒曜石のような瞳が姿を現す。目覚めてからも悪態を吐くとは、まだ心が生きている証拠だ。
「ん? 何か言ったか?」
徹底的にへし折ってやる。お前が騎士を目指した時のように、な。
「ヒッ!?」
即座に怯えの色を浮かべたルーナの瞳には、歪んだ笑みを浮かべる私の顔が写っていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【日記スペースby殿下】
ルヴィルは私と少し思考回路が似ているからな。普通に関門を出るとは思わなかった。だからこそ、伯爵から事前に伝えられていた逃走経路の候補である、地下通路へ先回りできたのだがな。加えて、ルーナは素直じゃない。寝室のドアの鍵は開けておいたのに、わざわざ窓から飛び降りようとしたのはルーナだからか。まぁ、分かっていてわざと窓を開けっぱなしにしていたのだが……予想通りに行動するルーナはとても可愛らしかった。
そろそろルーナに王妃になるための教育を施さなければならないが……まぁ、ルーナなら難なくこなすだろう。それよりも、逃げ出さないように警備を強化しておかなければいけないな。読者よ、ルーナは逃げるとするとどうやって逃げると思うか予想して私に伝えてくれ。そのためにも、お気に入り登録は必須だ。まぁ、逃げたら逃げたでこの前よりも酷い目に遭わせるだけだ……ルーナの身を案じるならば協力するだろう?
目尻に浮いた涙を口付けで吸い取ってやる。ふるりと長いまつ毛が震えた。
「んぅ」
クルリと向きを変えて、向こうを向くルーナを抱き寄せる。カクンと人形のように首が垂れた。
これだけ動かしても起きないのだから、相当疲れているのだろう。
無理をさせたという自覚があるが、このじゃじゃ馬を大人しくさせるためには仕方がなかったと言い訳でもしておこうか。
サラリと枕元に散らばった銀髪を手で掬う。
あの東の国の呪具というのは、私が探しに探して見つけ出したものだ。古代遺跡の産物らしいが、大変貴重だったものを金に物を言わせて買った。
どうしてもルヴィルを手に入れたかったからだ。
初めて彼を目にした時、とてもかっこいいと思った。
『お初にお目にかかります。殿下。俺のことはルヴィルとお呼びください』
そう挨拶する彼の横顔は人形師が魂を込めて精巧に作った最高傑作の人形のように美しかったのを今でも覚えている。
彼は自己をきちんと弁えているが、私に冗談を言うほど太々しくもあった。
最初は騎士を目指していたようだが、あの美しい体がムキムキになるのは嫌で、裏から手を回して諦めるように仕向けた。簡単に言えばルヴィルの騎士になれるかもしれないという希望をへし折った。
その後は、あっさりと騎士の道を諦めて勉学に励むようになったから成功したのだろう。だが、彼は笑わなくなった。いや、笑っているのだが仮面のような笑みをいつも浮かべるようになったのだ。
その後、なぜかルヴィルは令嬢達に人気となった。柔和な笑みと、対応が紳士なのだそう。私のものだと思っていたルヴィルが、私だけのものではないと気づいた瞬間だった。
公爵家がルヴィルを邪魔に思っていることも知っていた。だが、ルヴィルは私のそばに居るはずだと勝手に思い込んでいた。
「まさか私から離れるとは思わなかった」
あっさりとルヴィルが私の元から離れた時、私はあの呪具を使おうと決心した。もう、伯爵家に話は通しておいた。ルヴィルの外堀は埋めた。
その後は、一足先に地下通路で待ち伏せし、ルヴィルが来るのを今か今かと待つだけだった。意外に早かったのはそれだけ私から逃れたかったということなのか……
だが、計画は順調に進み、今、ルーナとなったルヴィルは私の腕の中にいる。
女体化すると、ルーナの美貌にさらに磨きがかかって、ますます情欲を煽られた。
「ルーナ、ルーナ。私の可愛い妻」
嫌がってはいるが、身体から落とせばいい。幸い、快楽は感じやすい体質のようだから難しくはないだろう。私がいなければ生きていけない、そんな体に躾けていくつもりだ。
「くそやろう……」
ふるりと瞼が震えて、美しい黒曜石のような瞳が姿を現す。目覚めてからも悪態を吐くとは、まだ心が生きている証拠だ。
「ん? 何か言ったか?」
徹底的にへし折ってやる。お前が騎士を目指した時のように、な。
「ヒッ!?」
即座に怯えの色を浮かべたルーナの瞳には、歪んだ笑みを浮かべる私の顔が写っていた。
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【日記スペースby殿下】
ルヴィルは私と少し思考回路が似ているからな。普通に関門を出るとは思わなかった。だからこそ、伯爵から事前に伝えられていた逃走経路の候補である、地下通路へ先回りできたのだがな。加えて、ルーナは素直じゃない。寝室のドアの鍵は開けておいたのに、わざわざ窓から飛び降りようとしたのはルーナだからか。まぁ、分かっていてわざと窓を開けっぱなしにしていたのだが……予想通りに行動するルーナはとても可愛らしかった。
そろそろルーナに王妃になるための教育を施さなければならないが……まぁ、ルーナなら難なくこなすだろう。それよりも、逃げ出さないように警備を強化しておかなければいけないな。読者よ、ルーナは逃げるとするとどうやって逃げると思うか予想して私に伝えてくれ。そのためにも、お気に入り登録は必須だ。まぁ、逃げたら逃げたでこの前よりも酷い目に遭わせるだけだ……ルーナの身を案じるならば協力するだろう?
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