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鳴子って知ってる?
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俺をこんな目に合わせた件の商人とやらに会ってみたい。俺はまよ様と過ごす穏やかな時間の中でそう思い始めていた。
それに、まよ様も遺跡を荒らすソイツらに手を焼いているらしい。
「我の神力は万能でない。結界を張るという大技はできぬ」
困ったような顔をするまよ様。
うん、ソイツらまじあり得ん。
「見張りを増やすことはできないのですか」
「うむ、やっておるが何故か知らぬ間に捧げ物や遺物が無くなっておる」
聞けば、最初にあったおじちゃん以外にも数人ほど警備をしている人たちがいるらしかった。
ガラガラを設置してみるのはどうだろう。確か……鳴子だっけ?
まよ様に思いついたことを言っていると、喜ばれた。
「さっそく作るかの」
そう言って、まよ様は服の袖をたくしあげ竹を取りに向かった。
竹林に行く途中で村の人たちと会い、そのままその人たちも手伝うと着いてきてくれた。そして、気づけば30名ほどの村人が竹林に集まってきていた。
「万葉様、万葉様、こちらの方は?」
「む? 華雪じゃ。我の姪だの」
「そーでしたか!」
やはり銀の髪は珍しいのだろう。村人は不思議そうに俺の髪を眺めていた。だが、嫌悪感と言ったようなものはなかった。
休憩中、俺はまよ様に気になっていることを思い切って聞いてみた。そう、皇族はまよ様だけなのか? という疑問だ。
「我も人の子。親がいるじゃろう。神の末裔である皇族は今現在30名ほどおる。政治を行い、この国を治めているのが天皇じゃ。我の兄じゃな」
うそぉ!?
「ちなみにまよ様の兄はどこにいらっしゃるんですか?」
「む? 普通に歩けば20日ほどかかる場所におる。ここよりも人が多いぞ」
都、みたいなものかな?
「まぁ、時折兄は我のもとに顔を見せにくる。その時に会えば良かろう」
偉い人が20日かけてこっちにくるの? と思ったがどうやら違うらしい。都からこの村まで続く地下通路があるのだそう。
「それがあれば3時間ほどでこちらに来ることができるのじゃ」
「それも古代の遺跡ですか?」
「いや、我ら皇族の神力じゃ。地下通路は普通に掘ったぞ」
マジかよ。地下通路って結構掘るの大変だよな?
俺はまよ様の話を聞きながら、帝国にあった旧王国の地下通路を思い出していた。
あの通路はもしかしたら昔王国に嫁いできた神力を持つ者が作ったのかもしれないな。でなければ、あんな速さで隣国に行けるわけがない。
それから、神力についてはこの国のほとんどの人が微力ながら持っているらしい。皇族は飛び抜けて多いんだとか。一般皇族の神力を100とすると、民の神力は1。差はだいぶ大きい。そして皇族の中でも、皇帝と巫女であるまよ様の神力はダントツに多いくて、1000なんだとか。
「そもそも、皇族は神の末裔というがそれは少し違う。この国の民の祖先全員が元は神じゃった。皇族は昔から政を取り行っていたからの、神としての名残が強いのじゃろうて」
つまり、この国の人々は遺物を扱える。逆にいえば、この国の民以外は扱えない。ただのガラクタと化すのだ。
そして、この国に来るのも大変らしい。
「山と川と海を越えねばならん。普通のヒトであれば無理じゃろうて」
殿下は果たして普通のヒトなんだろうか。普通のヒトあってほしいと切実に思った瞬間だった。
貴重な話が聞けた今日。鳴子も無事、完成した。
カランコロンと鳴る音に、皆んなが湧いた。
「おお! いい音ですね!」
「うむ、これほど音が響くのであるなら分かるだろう」
「後は設置だけですか」
ワイワイとお祭り騒ぎが始まる。そんな光景は初めてで、まよ様も嬉しそうに笑っていた。
俺も、気づけば笑顔になっていたらしい。
「素敵な笑顔ですね」
村人の1人にそう言われてハッとした。
「そうですか?」
「ええ」
力一杯頷いてくれたのは、凛と言う娘だった。この日から私は凛と度々話すようになった。ここに来て、はじめての友人ができた瞬間だった。
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それに、まよ様も遺跡を荒らすソイツらに手を焼いているらしい。
「我の神力は万能でない。結界を張るという大技はできぬ」
困ったような顔をするまよ様。
うん、ソイツらまじあり得ん。
「見張りを増やすことはできないのですか」
「うむ、やっておるが何故か知らぬ間に捧げ物や遺物が無くなっておる」
聞けば、最初にあったおじちゃん以外にも数人ほど警備をしている人たちがいるらしかった。
ガラガラを設置してみるのはどうだろう。確か……鳴子だっけ?
まよ様に思いついたことを言っていると、喜ばれた。
「さっそく作るかの」
そう言って、まよ様は服の袖をたくしあげ竹を取りに向かった。
竹林に行く途中で村の人たちと会い、そのままその人たちも手伝うと着いてきてくれた。そして、気づけば30名ほどの村人が竹林に集まってきていた。
「万葉様、万葉様、こちらの方は?」
「む? 華雪じゃ。我の姪だの」
「そーでしたか!」
やはり銀の髪は珍しいのだろう。村人は不思議そうに俺の髪を眺めていた。だが、嫌悪感と言ったようなものはなかった。
休憩中、俺はまよ様に気になっていることを思い切って聞いてみた。そう、皇族はまよ様だけなのか? という疑問だ。
「我も人の子。親がいるじゃろう。神の末裔である皇族は今現在30名ほどおる。政治を行い、この国を治めているのが天皇じゃ。我の兄じゃな」
うそぉ!?
「ちなみにまよ様の兄はどこにいらっしゃるんですか?」
「む? 普通に歩けば20日ほどかかる場所におる。ここよりも人が多いぞ」
都、みたいなものかな?
「まぁ、時折兄は我のもとに顔を見せにくる。その時に会えば良かろう」
偉い人が20日かけてこっちにくるの? と思ったがどうやら違うらしい。都からこの村まで続く地下通路があるのだそう。
「それがあれば3時間ほどでこちらに来ることができるのじゃ」
「それも古代の遺跡ですか?」
「いや、我ら皇族の神力じゃ。地下通路は普通に掘ったぞ」
マジかよ。地下通路って結構掘るの大変だよな?
俺はまよ様の話を聞きながら、帝国にあった旧王国の地下通路を思い出していた。
あの通路はもしかしたら昔王国に嫁いできた神力を持つ者が作ったのかもしれないな。でなければ、あんな速さで隣国に行けるわけがない。
それから、神力についてはこの国のほとんどの人が微力ながら持っているらしい。皇族は飛び抜けて多いんだとか。一般皇族の神力を100とすると、民の神力は1。差はだいぶ大きい。そして皇族の中でも、皇帝と巫女であるまよ様の神力はダントツに多いくて、1000なんだとか。
「そもそも、皇族は神の末裔というがそれは少し違う。この国の民の祖先全員が元は神じゃった。皇族は昔から政を取り行っていたからの、神としての名残が強いのじゃろうて」
つまり、この国の人々は遺物を扱える。逆にいえば、この国の民以外は扱えない。ただのガラクタと化すのだ。
そして、この国に来るのも大変らしい。
「山と川と海を越えねばならん。普通のヒトであれば無理じゃろうて」
殿下は果たして普通のヒトなんだろうか。普通のヒトあってほしいと切実に思った瞬間だった。
貴重な話が聞けた今日。鳴子も無事、完成した。
カランコロンと鳴る音に、皆んなが湧いた。
「おお! いい音ですね!」
「うむ、これほど音が響くのであるなら分かるだろう」
「後は設置だけですか」
ワイワイとお祭り騒ぎが始まる。そんな光景は初めてで、まよ様も嬉しそうに笑っていた。
俺も、気づけば笑顔になっていたらしい。
「素敵な笑顔ですね」
村人の1人にそう言われてハッとした。
「そうですか?」
「ええ」
力一杯頷いてくれたのは、凛と言う娘だった。この日から私は凛と度々話すようになった。ここに来て、はじめての友人ができた瞬間だった。
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