36 / 41
【完】異常な執着
しおりを挟む
「ろまんす……」
そう言われた瞬間、かせつの顔が真っ赤に染まったのが分かった。
やっとか、嬉しさが隠せない。
あともう少しでかせつが手に入る。
「お客のお兄さん、悪い笑みになってますよ~?」
「ああ、嬉しくてな」
「そーですか、わざわざ私たちにお願いした甲斐がありましたね?」
「ああ、助かった」
満面の笑みを浮かべる村人に、礼を言う。彼女たちは私がかせつに何をしたのか知らない。だから、このような企みも簡単に乗ってくれる。
「私たちは華雪様が大好きですから! 幸せになってくれるなら何でもします!!!!」
「ああ、ちゃんと幸せにするつもりだ」
にこりと微笑んで約束する。他の場所で幸せになってもらっては困る。かせつが幸せになるのは私の元でないといけないのだからーー
○○○
殿下と目が合わせられない。殿下のことが好きだと認めてしまった今、私は大ピンチに陥っていた。
「まよ様にはそなたの好きなようにしろと言われるし……」
まよ様は放任主義だった。
「はぁぁぁ……どうしよう?」
殿下は殿下で普通だし……いや、わずかに口角が上がってるな。
「うーーーん」
ゴロンゴロンと畳の上を行ったり来たり。
あ、これ楽しい。
畳を満喫しまくった後はもちろん疲れて眠くなる。
「入っていいか?」
しかし、その声が聞こえた途端、私は一気に覚醒した。
「っいいですよ」
「失礼する」
襖を開けて入ってきた殿下は、寝転がったままの私を見てふっと笑った。
「変わらないな」
なにが? とは思ったものの流石に殿下の前でねっ転がるのはまずいと今更ながらに気づき、パッと起き上がって正座する。
「どういうご用件で?」
「少し話があってきた」
なんの話だろう? 疑問に思ったが、殿下の顔は難しそうに歪んでいた。もしかすると良くないことでもあったのかな?
「長らくこちらに滞在していたのだが、そろそろ本国へ戻らなければならなくなった」
静かに告げられたその言葉に、私は頭が真っ白になった。今まで待ち望んでいたはずの言葉なのに、胸がぎゅっと締め付けられる。
「そこでかせつ、最後に聞く。私と共に帝国に来てはくれないか?」
声にならない声が漏れた。
「ーーっ」
「私は明日にでも帰るつもりだ」
ーー行かないでほしい。
ふと、自然にその言葉が頭に浮かんだ。私はいつから殿下にこんな気持ちになっていたのだろう?
「かせつ」
「わ、わかりました」
頭が真っ白になって、でも、私は気付けば言葉を絞り出していた。
「そうか!」
殿下の弾んだ声と共に、私の頬は固い弾力のある何かにぶつかった。それが殿下の胸だと分かるのに数秒。それから殿下に抱きしめられていると分かるのに数分。
「帰ったら正式に婚姻を交わそう」
「はい」
ボンッと顔が赤くなり、頬が火照る。今まで逃げていたのに、気付けば殿下に囚われていた。だけど、それが嫌ではない。人間の心というものは不思議なんだな、そう思いながら私は殿下の腕の中に身を預けていた。
結婚してから分かったことだが、殿下の腹黒度は変わっていなかった。
「かせつ……」
「だあああああーーーーーーーー!?!? もうだめです! もう無理!!!!」
迫り来る美貌をおしのけ、私はベットの上を逃げ回る。
クソやろう! 誰だ、殿下は改心した! とか言って結婚したやつ!?!?
「何がロマンスだよぉぉぉぉぉ!?!?」
【おしまい】
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
多分、幸せに暮らしたと思います……
そう言われた瞬間、かせつの顔が真っ赤に染まったのが分かった。
やっとか、嬉しさが隠せない。
あともう少しでかせつが手に入る。
「お客のお兄さん、悪い笑みになってますよ~?」
「ああ、嬉しくてな」
「そーですか、わざわざ私たちにお願いした甲斐がありましたね?」
「ああ、助かった」
満面の笑みを浮かべる村人に、礼を言う。彼女たちは私がかせつに何をしたのか知らない。だから、このような企みも簡単に乗ってくれる。
「私たちは華雪様が大好きですから! 幸せになってくれるなら何でもします!!!!」
「ああ、ちゃんと幸せにするつもりだ」
にこりと微笑んで約束する。他の場所で幸せになってもらっては困る。かせつが幸せになるのは私の元でないといけないのだからーー
○○○
殿下と目が合わせられない。殿下のことが好きだと認めてしまった今、私は大ピンチに陥っていた。
「まよ様にはそなたの好きなようにしろと言われるし……」
まよ様は放任主義だった。
「はぁぁぁ……どうしよう?」
殿下は殿下で普通だし……いや、わずかに口角が上がってるな。
「うーーーん」
ゴロンゴロンと畳の上を行ったり来たり。
あ、これ楽しい。
畳を満喫しまくった後はもちろん疲れて眠くなる。
「入っていいか?」
しかし、その声が聞こえた途端、私は一気に覚醒した。
「っいいですよ」
「失礼する」
襖を開けて入ってきた殿下は、寝転がったままの私を見てふっと笑った。
「変わらないな」
なにが? とは思ったものの流石に殿下の前でねっ転がるのはまずいと今更ながらに気づき、パッと起き上がって正座する。
「どういうご用件で?」
「少し話があってきた」
なんの話だろう? 疑問に思ったが、殿下の顔は難しそうに歪んでいた。もしかすると良くないことでもあったのかな?
「長らくこちらに滞在していたのだが、そろそろ本国へ戻らなければならなくなった」
静かに告げられたその言葉に、私は頭が真っ白になった。今まで待ち望んでいたはずの言葉なのに、胸がぎゅっと締め付けられる。
「そこでかせつ、最後に聞く。私と共に帝国に来てはくれないか?」
声にならない声が漏れた。
「ーーっ」
「私は明日にでも帰るつもりだ」
ーー行かないでほしい。
ふと、自然にその言葉が頭に浮かんだ。私はいつから殿下にこんな気持ちになっていたのだろう?
「かせつ」
「わ、わかりました」
頭が真っ白になって、でも、私は気付けば言葉を絞り出していた。
「そうか!」
殿下の弾んだ声と共に、私の頬は固い弾力のある何かにぶつかった。それが殿下の胸だと分かるのに数秒。それから殿下に抱きしめられていると分かるのに数分。
「帰ったら正式に婚姻を交わそう」
「はい」
ボンッと顔が赤くなり、頬が火照る。今まで逃げていたのに、気付けば殿下に囚われていた。だけど、それが嫌ではない。人間の心というものは不思議なんだな、そう思いながら私は殿下の腕の中に身を預けていた。
結婚してから分かったことだが、殿下の腹黒度は変わっていなかった。
「かせつ……」
「だあああああーーーーーーーー!?!? もうだめです! もう無理!!!!」
迫り来る美貌をおしのけ、私はベットの上を逃げ回る。
クソやろう! 誰だ、殿下は改心した! とか言って結婚したやつ!?!?
「何がロマンスだよぉぉぉぉぉ!?!?」
【おしまい】
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
多分、幸せに暮らしたと思います……
0
あなたにおすすめの小説
【本編完結】王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!
こさか りね
恋愛
私、フェアリエル・クリーヴランドは、ひょんな事から前世を思い出した。
そして、気付いたのだ。婚約者が私の事を良く思っていないという事に・・・。
婚約者の態度は前世を思い出した私には、とても耐え難いものだった。
・・・だったら、婚約解消すれば良くない?
それに、前世の私の夢は『のんびりと田舎暮らしがしたい!』と常々思っていたのだ。
結婚しないで済むのなら、それに越したことはない。
「ウィルフォード様、覚悟する事ね!婚約やめます。って言わせてみせるわ!!」
これは、婚約解消をする為に奮闘する少女と、本当は好きなのに、好きと気付いていない王子との攻防戦だ。
そして、覚醒した王子によって、嫌でも成長しなくてはいけなくなるヒロインのコメディ要素強めな恋愛サクセスストーリーが始まる。
※序盤は恋愛要素が少なめです。王子が覚醒してからになりますので、気長にお読みいただければ嬉しいです。
※本編完結しました。
※後日談を更新中です。
白い結婚のはずが、旦那様の溺愛が止まりません!――冷徹領主と政略令嬢の甘すぎる夫婦生活
しおしお
恋愛
政略結婚の末、侯爵家から「価値がない」と切り捨てられた令嬢リオラ。
新しい夫となったのは、噂で“冷徹”と囁かれる辺境領主ラディス。
二人は互いの自由のため――**干渉しない“白い結婚”**を結ぶことに。
ところが。
◆市場に行けばついてくる
◆荷物は全部持ちたがる
◆雨の日は仕事を早退して帰ってくる
◆ちょっと笑うだけで顔が真っ赤になる
……どう見ても、干渉しまくり。
「旦那様、これは白い結婚のはずでは……?」
「……君のことを、放っておけない」
距離はゆっくり縮まり、
優しすぎる態度にリオラの心も揺れ始める。
そんな時、彼女を利用しようと実家が再び手を伸ばす。
“冷徹”と呼ばれた旦那様の怒りが静かに燃え――
「二度と妻を侮辱するな」
守られ、支え合い、やがて惹かれ合う二人の想いは、
いつしか“形だけの夫婦”を超えていく。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。
槙村まき
恋愛
スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。
それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。
挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。
そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……!
第二章以降は、11時と23時に更新予定です。
他サイトにも掲載しています。
よろしくお願いします。
25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!
【完結】転生したので悪役令嬢かと思ったらヒロインの妹でした
果実果音
恋愛
まあ、ラノベとかでよくある話、転生ですね。
そういう類のものは結構読んでたから嬉しいなーと思ったけど、
あれあれ??私ってもしかしても物語にあまり関係の無いというか、全くないモブでは??だって、一度もこんな子出てこなかったもの。
じゃあ、気楽にいきますか。
*『小説家になろう』様でも公開を始めましたが、修正してから公開しているため、こちらよりも遅いです。また、こちらでも、『小説家になろう』様の方で完結しましたら修正していこうと考えています。
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
王弟殿下の番様は溺れるほどの愛をそそがれ幸せに…
ましろ
恋愛
見つけた!愛しい私の番。ようやく手に入れることができた私の宝玉。これからは私のすべてで愛し、護り、共に生きよう。
王弟であるコンラート公爵が番を見つけた。
それは片田舎の貴族とは名ばかりの貧乏男爵の娘だった。物語のような幸運を得た少女に人々は賞賛に沸き立っていた。
貧しかった少女は番に愛されそして……え?
ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です
山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」
ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる