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第一章
天女を手に入れた男
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藤原家の長男が惚れた女がいる。そう、都で噂が流れ始めた。
私が密かに監視を任せた下人からも報告が来ていた。藤原家は我が政敵。しかも、奪い取った手紙には天女が存在すると書かれていた。
天女を手に入れたものは、長い繁栄をもたらすだろう。そう、言い伝えがあるのは知っている。あいつがそれを見つけたのか? そう思うと、ドス黒い何かが胸の中を満たした。すぐさま山を捜索させ、天女が住むという屋敷を見つける。しかし、天女はおろか、人の気配すらその時はしなかったらしい。ただ、庭は綺麗に整えられていたそうだ。
その間も、天女へ向けて出される藤原家の手紙を握りつぶしつつ機会を伺う毎日。
しばらくして、屋敷に人の気配がしたというので私はそこへ向かった。すると、なんと、不思議な格好の娘がいたのだ。しかも、それはこの世のものではないかと思うほど美しかった。
髪は濡羽色で、艶やかなのは勿論のこと顔の造形も素晴らしく、一瞬で見惚れた。そして、初めにみつけたのが私でない事に激しい怒りを感じた。
この山に天女がいることは知る者は知っている。ただの与太話だと流している者もいるが、天女を狙っている者もいるのだ。うかうかしてはいられなかった。しかし、天女だからだろうか? 屋敷に入り込もうとしても、戸が開かないらしい。様子見をさせていると、数日後、娘は何やら寝具のようなモノを持ち出して縁側で寝始めたと報告があった。
なんと無防備なものだと呆れたが、同時に機会が巡ってきたのだと思った。相変わらず藤原家から天女への手紙はきており、その都度握りつぶしている。
そして、私の元に待ちに待った報告が来た。なんと、いくら動かしても開かなかった扉を娘が開けて寝るようになったらしい。向かってみれば、なるほどたしかに少し戸を開けて娘は寝ていた。
そっと忍び込む。中は質素ながらも質の良い作りでここはやはり天女が作った住処なのだと改めて感じた。しばらく屋敷の中を散策すれば、1つの不思議な書物が出てきた。
"純潔を奪われると2度と戻ることができない"
漢文のような文章で、それにはそう書いてあった。不思議な文字なのに辛うじて読めたことは僥倖だった。
つまりは、私が今ここでこの娘の純潔を奪えば娘は一生私のものになるということ。迷うことなどあり得なかった。おもむろにのしかかれば、不思議な香りが娘から香った。
「んぅ」
突然の重みに眉を顰める姿もまた可愛らしく、もはや理性のカケラもなかった。途中、天女かと尋ねたが、娘は怯えた様子で何度も自分は天女だから逃してくれと頼んできた。逃すわけがないのに。
「嫌だ!」
抵抗する力は案外強かったが、抑え込んだ。組み敷く体は柔らかく、極上だった。泣く姿もそそられた。
全てを終えた後、娘が私が開いて置いておいた日記に目を止める。
娘の顔が絶望に染まり、つうと涙が静かに溢れていた。
天女は羽衣を奪われるとただの人となる。ただの人となったこの娘がわたしから逃げることなど出来はしない。
「はぁ、これでそなたは私のものだ。逃しはせんよ」
藤原にも渡さない。この娘は私のものだ。
腕の中で小さく震える美しさと可愛らしさを併せ持った私の妻に、そっと口付ける。もう、娘は抵抗はしなかった。
私が密かに監視を任せた下人からも報告が来ていた。藤原家は我が政敵。しかも、奪い取った手紙には天女が存在すると書かれていた。
天女を手に入れたものは、長い繁栄をもたらすだろう。そう、言い伝えがあるのは知っている。あいつがそれを見つけたのか? そう思うと、ドス黒い何かが胸の中を満たした。すぐさま山を捜索させ、天女が住むという屋敷を見つける。しかし、天女はおろか、人の気配すらその時はしなかったらしい。ただ、庭は綺麗に整えられていたそうだ。
その間も、天女へ向けて出される藤原家の手紙を握りつぶしつつ機会を伺う毎日。
しばらくして、屋敷に人の気配がしたというので私はそこへ向かった。すると、なんと、不思議な格好の娘がいたのだ。しかも、それはこの世のものではないかと思うほど美しかった。
髪は濡羽色で、艶やかなのは勿論のこと顔の造形も素晴らしく、一瞬で見惚れた。そして、初めにみつけたのが私でない事に激しい怒りを感じた。
この山に天女がいることは知る者は知っている。ただの与太話だと流している者もいるが、天女を狙っている者もいるのだ。うかうかしてはいられなかった。しかし、天女だからだろうか? 屋敷に入り込もうとしても、戸が開かないらしい。様子見をさせていると、数日後、娘は何やら寝具のようなモノを持ち出して縁側で寝始めたと報告があった。
なんと無防備なものだと呆れたが、同時に機会が巡ってきたのだと思った。相変わらず藤原家から天女への手紙はきており、その都度握りつぶしている。
そして、私の元に待ちに待った報告が来た。なんと、いくら動かしても開かなかった扉を娘が開けて寝るようになったらしい。向かってみれば、なるほどたしかに少し戸を開けて娘は寝ていた。
そっと忍び込む。中は質素ながらも質の良い作りでここはやはり天女が作った住処なのだと改めて感じた。しばらく屋敷の中を散策すれば、1つの不思議な書物が出てきた。
"純潔を奪われると2度と戻ることができない"
漢文のような文章で、それにはそう書いてあった。不思議な文字なのに辛うじて読めたことは僥倖だった。
つまりは、私が今ここでこの娘の純潔を奪えば娘は一生私のものになるということ。迷うことなどあり得なかった。おもむろにのしかかれば、不思議な香りが娘から香った。
「んぅ」
突然の重みに眉を顰める姿もまた可愛らしく、もはや理性のカケラもなかった。途中、天女かと尋ねたが、娘は怯えた様子で何度も自分は天女だから逃してくれと頼んできた。逃すわけがないのに。
「嫌だ!」
抵抗する力は案外強かったが、抑え込んだ。組み敷く体は柔らかく、極上だった。泣く姿もそそられた。
全てを終えた後、娘が私が開いて置いておいた日記に目を止める。
娘の顔が絶望に染まり、つうと涙が静かに溢れていた。
天女は羽衣を奪われるとただの人となる。ただの人となったこの娘がわたしから逃げることなど出来はしない。
「はぁ、これでそなたは私のものだ。逃しはせんよ」
藤原にも渡さない。この娘は私のものだ。
腕の中で小さく震える美しさと可愛らしさを併せ持った私の妻に、そっと口付ける。もう、娘は抵抗はしなかった。
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