【完結】監禁結婚は嫌なので、騎士団に入ってもっと男らしくなることにします

ウミ

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24.足枷とドレス

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「ん……」

 瞼の裏に光を感じて、ルイは目を覚ました。

「おや、目を覚ましてしまいましたか」
「……フォース副隊長⁇」

 ぼんやりと寝起きのせいで思考が鈍っているルイは、なぜ目の前に副隊長がいるのか理解できずに首を傾げた。

(ん? なんか首と腹が痛い⁇ それにここはどこだ? ベットも見覚えのないものだしーーっ‼︎)

 段々とルイの目が大きく開かれていく。

 慌ててベットから跳ね起きようとしたルイ。
 しかし、動かそうとした足は何かが足首に取り付けられており、動かなかった。

「ーーなにが⁉︎」

 バッと上半身だけを起こし、足元を見れば、美しい装飾を施された足枷はまっていた。

(足枷……一体どうなっているんだ!? どうして副隊長が⁇)

 ぐるぐると、混乱の渦に巻き込まれながら、ゆっくりと唸るような低い声で、ルイは上機嫌にこちらをみるフォースに話しかけた。

「足枷を外してもらえますか」
「ふふ、外すわけないでしょう。外してしまえば貴女は逃げてしまいますからね」

(そりゃ当たり前だ)

 顔を顰めるルイを意外そうに眺めるフォース。

「それにしても、あまり取り乱しませんね……」
 
 もっと派手に暴れるかと思ったので、一応手枷も用意しておいたのですが……そう、告げるフォースはどこか残念そうだ。

 ゾワッとルイの肌が粟立つ。

(ダメだ、そこにつっこんだら全てが終わる気がする。そう、まずは自分がどこにいるのか確認しないと!)


 目だけを素早く動かし、外からの景色を確認するルイ。かろうじて、小さな窓からは緑しか見えず、ここが森の中であることぐらいしか分からなかった。

(森の中か……逃げるのには最適かもしれない)

 素早く判断するルイに、フォースは愉しげな笑みを浮かべた。

「まずは周囲を確認し現状把握を……ふふ、偉いですねぇ。ちゃんと、騎士団で学んだ事が実践できています。まぁ、今回の場合、それを知ったところでどうにもできないですが……」
「は?」
「ここはリャールですから」
「え?」

 ルイの顔がギョッとする。

(リャールって……ここは隣国なのか!?)

「いい顔です。驚きましたか? ちなみに貴女が気を失ってから丸2日経っています。途中、起きないように薬を使ったのですが、予想以上に早く起きましたね。流石は王族といったところでしょうか」

 やれやれと首を振られて告げられた言葉の中にルイは引っかかる。

「おうぞく?」
「ええ、我が国の間諜は優秀なのですよ。あぁ、貴女の男装と変装は見事でしたよ。報告を受けなかったら気づきませんでした」
「なっ!?」

 バッとフォースを見るルイ。

(嘘だ! ここまで隠し通してきたのに‼︎)

 ニコニコと笑みを浮かべるフォースに、ルイの顔が青くなる。

(そうだ、なんで気づかなかった? 捕まる前に着ていた服と全然違うじゃないか‼︎)

 ふわりと身体を覆う絹のドレスのような服。リャールの民族衣装だ。ドレスなど生まれてこのかた、ルイは一度も着たことがない。

(……胸のサラシも取られてる)

「やっと気づいたみたいですね? そのドレスはリャールの職人に作らせた最高級の代物なんですよ。裾に施されている金の刺繍なんか見事でしょう?」
「……素晴らしいですが、私が着る物ではないですね。前の服の方が動きやすいのですが……」

(こんな服じゃあ逃げる時に邪魔になる。ヒラヒラしているし、足の間がスースーする。正直言って、心許ない)

 グッと顔を顰めフォースを睨む視線を強めるルイ。

「あぁ、そんなに睨まないでください。もう少しで到着します。そうすれば貴女につけられている鎖は外しますから」

(え?)

 にこやかに告げるフォースに、ルイの顔が訝しげなモノに変わる。

(どこの誰が捕まえた捕虜の鎖を解くんだ? コイツはアホなのか? いや、副隊長は強い。私1人なら絶対に逃さない自身があるのか……)

「くく、ふふふ。まぁ、逃げられるかどうかは着いてからのお楽しみですよ」
「っ! 近寄らないでいただきたい‼︎」

 そっと頬を撫ぜられ、ゾワッとルイの肌に鳥肌が立つ。バシッと払われた手をプラプラさせるフォース。

「あぁ、いいですねぇ」

 そう言うと、目にも止まらぬ速さでルイの腕を拘束してベッドへと押し倒した。

「は? 何するんですか!」
「ふふっ、何をすると思いますか?」
「少なくとも私にとっては良い事ではいことが分かります」
「おや? それは分かりませんよ?」

 ギシッと、片膝でベッドに乗り上げるフォース。その瞳はまるで獲物を捕らえた肉食獣の如く、ギラギラと輝いていた。

(くそッ! コレじゃあ完全に詰んだ)

 心の中で悪態をついたルイは、近づいてくるフォースの顔をコレでもかと睨みつけていた。視線で人が殺せるのならフォースはすでに100回ほど死亡しているだろう。

「今にも私を射殺さんばかりに睨みつけていますねぇ」
「ええ、本当に射殺されたくなければ退いた方が身の為かと」
 
 グッと抑え込まれた腕をなんとかしようと、足掻くルイに、フォースの顔が近づく。

「くそッ! 離れてくれませんかね!?」

 徐々に悲鳴じみてくる自分の声を聞きながら、ルイは腹筋にも力を入れて拘束から逃れようと本格的に暴れ始めた。

「おやおや、これは手早く済ませた方が良さそうです」

(やめろ‼︎)

 グッと顔をフォースから逃れるように横に向くルイ。

 フォースの目の前に、陶器のようにシミひとつない美しい首筋が差し出される。ニヤッと笑みを浮かべたフォースは、その差し出された首筋に顔を埋めた。

「いっ⁉︎」

 ガリっという音がして、ルイの首に激痛が走る。そのままじゅっと肌が吸われる感覚がして、ルイの顔が青いを通り越して白くなっていった。

(一体、何が起きている⁉︎)

「はぁ、ご馳走様でした。じゃあ、また後で会いましょうね」

 ゆっくりと顔を上げたフォースが、頬を若干蒸気させルイに微笑む。と同時に、ルイの鼻を覆うように布が当てられた。

「……ふざけるな」
「おや、まだ意識があるのですか? 文句は後で聞きますよ、ですから今はお休みになっていてくださいね」

 次第に視界がぼやけ始め、意識が朦朧とする。ルイは意識を失わないよう粘ったがダメだった。程なくして、ルイの意識は暗闇へと落ちたのだった。
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