1 / 39
第0話「天野樹」
しおりを挟む
第0話「天野樹」
ピピピッピピピッピピピッピピ…。
学校へ登校する日は毎朝7時にスマホのアラームが部屋中に鳴り響く。
耳元でけたたましく騒ぐスマホに睡眠を中断された不快感と一日の始まりという憂鬱な気分を抱いてベッドから体を起こす。
僕は男性にしては髪が長い方なのでたまに寝癖を直すのに時間がかかることもあるが、朝食をとったり制服に着替えたりすると大体1時間位準備してから家を出て、徒歩で30分ほど歩いて学校に到着する。
高校一年生の僕は下駄箱がある校舎の一階に教室があるのでいつも通り上履きに履き替えて、階段を上り下りして余計な体力を使うことなく、いつも通りの通路を通って教室に入る。
「天野君おはよう」
僕の近くに座る女子が挨拶をしてきた。彼女の名前は知っているけど殆ど会話したことがない人だ。にもかかわらず、平気で挨拶という形で他者とコミュニケーションを取って自分の存在を主張していることが空気のように存在を消して過ごしたいと考える僕には理解できない。
挨拶をされて無視すると相手の気分を損ねて余計な問題に発展する可能性があるので、笑顔の面をかぶったようにいつも通りの作った笑顔で挨拶を返す。
「おはよう」
チャイムと同時に担任の教師が教室に入ってきて朝のHRが始まり、担任は出席を取った後に出席簿をパタンと閉じて一度クラス全体を見回した。
「1年間は365日だけどみんなが学校に来るのは実質その半分もないんだぞ。1年なんてあっという間だ。だから、一日一日を大切に生活するように」
半分もないということは多めに見積もって180日として3年間で540日。
卒業までそんなにあるのか。今日で何日経過したのだろう。考えるだけで気が遠くなる。
ああ、さっさと卒業したい。
午前中は授業を聞き流し、昼休みは一人で人気のないところでご飯を食べてまた午後には授業を聞き流し、帰りのHRが終わったら一番に教室を出て帰宅する。毎日毎日毎日毎日これを繰り返す。今日で何回繰り返したか知らないけど、今朝担任が言ったように登校日数が仮に540日なら僕はこれを540回繰り返すのだろう。そしたら、自分の存在を限りなく消しながら誰とも関わらずにさっさと卒業することができる。
下校途中にふと今朝の出来事を思い出した。他者と繋がろうとする意識についてだ。
今日は全て座学だったので一日の中でクラスの人間と会話したのは今朝の彼女との挨拶だけだ。
たまたま話しかけてきたのが彼女だったけど、別に彼女だけに限らずクラス全体、いや学校全体として皆誰かと関わりを持ち、繋がりたいと考えているのかもしれない。だから、あまり喋ったことがない人でも挨拶をしたり、集団に属することで自分の存在を認めてもらい安心したいのかもしれない、だから、教室では友達同士の話し声や笑い声が聞こえるのかもしれない。
しかし、そのせいで人間関係の問題が起きる。だから、心を閉ざし自分の内側に閉じこもる人間もいる。
僕は小学生のあの時から人と関わりを持ち続けることをやめた。その後の自分は時をただ消費するだけの余生だと思っている。
ピピピッピピピッピピピッピピ…。
学校へ登校する日は毎朝7時にスマホのアラームが部屋中に鳴り響く。
耳元でけたたましく騒ぐスマホに睡眠を中断された不快感と一日の始まりという憂鬱な気分を抱いてベッドから体を起こす。
僕は男性にしては髪が長い方なのでたまに寝癖を直すのに時間がかかることもあるが、朝食をとったり制服に着替えたりすると大体1時間位準備してから家を出て、徒歩で30分ほど歩いて学校に到着する。
高校一年生の僕は下駄箱がある校舎の一階に教室があるのでいつも通り上履きに履き替えて、階段を上り下りして余計な体力を使うことなく、いつも通りの通路を通って教室に入る。
「天野君おはよう」
僕の近くに座る女子が挨拶をしてきた。彼女の名前は知っているけど殆ど会話したことがない人だ。にもかかわらず、平気で挨拶という形で他者とコミュニケーションを取って自分の存在を主張していることが空気のように存在を消して過ごしたいと考える僕には理解できない。
挨拶をされて無視すると相手の気分を損ねて余計な問題に発展する可能性があるので、笑顔の面をかぶったようにいつも通りの作った笑顔で挨拶を返す。
「おはよう」
チャイムと同時に担任の教師が教室に入ってきて朝のHRが始まり、担任は出席を取った後に出席簿をパタンと閉じて一度クラス全体を見回した。
「1年間は365日だけどみんなが学校に来るのは実質その半分もないんだぞ。1年なんてあっという間だ。だから、一日一日を大切に生活するように」
半分もないということは多めに見積もって180日として3年間で540日。
卒業までそんなにあるのか。今日で何日経過したのだろう。考えるだけで気が遠くなる。
ああ、さっさと卒業したい。
午前中は授業を聞き流し、昼休みは一人で人気のないところでご飯を食べてまた午後には授業を聞き流し、帰りのHRが終わったら一番に教室を出て帰宅する。毎日毎日毎日毎日これを繰り返す。今日で何回繰り返したか知らないけど、今朝担任が言ったように登校日数が仮に540日なら僕はこれを540回繰り返すのだろう。そしたら、自分の存在を限りなく消しながら誰とも関わらずにさっさと卒業することができる。
下校途中にふと今朝の出来事を思い出した。他者と繋がろうとする意識についてだ。
今日は全て座学だったので一日の中でクラスの人間と会話したのは今朝の彼女との挨拶だけだ。
たまたま話しかけてきたのが彼女だったけど、別に彼女だけに限らずクラス全体、いや学校全体として皆誰かと関わりを持ち、繋がりたいと考えているのかもしれない。だから、あまり喋ったことがない人でも挨拶をしたり、集団に属することで自分の存在を認めてもらい安心したいのかもしれない、だから、教室では友達同士の話し声や笑い声が聞こえるのかもしれない。
しかし、そのせいで人間関係の問題が起きる。だから、心を閉ざし自分の内側に閉じこもる人間もいる。
僕は小学生のあの時から人と関わりを持ち続けることをやめた。その後の自分は時をただ消費するだけの余生だと思っている。
0
あなたにおすすめの小説
黒に染まった華を摘む
馬場 蓮実
青春
夏の終わりに転校してきたのは、忘れられない初恋の相手だった——。
高須明希は、人生で“二番目”に好きになった相手——河西栞に密かに想いを寄せている。
「夏休み明けの初日。この席替えで、彼女との距離を縮めたい。話すきっかけがほしい——」
そんな願いを胸に登校したその朝、クラスに一人の転校生がやってくる。
彼女の名は、立石麻美。
昔の面影を残しながらも、まるで別人のような気配をまとう彼女は——明希にとって、忘れられない“初恋の人”だった。
この再会が、静かだった日常に波紋を広げていく。
その日の放課後。
明希は、"性の衝動"に溺れる自身の姿を、麻美に見られてしまう——。
塞がっていた何かが、ゆっくりと崩れはじめる。
そして鬱屈した青春は、想像もしていなかった熱と痛みを帯びて動き出す。
すべてに触れたとき、
明希は何を守り、何を選ぶのか。
光と影が交錯する、“遅れてきた”ひと夏の物語。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件
暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
『俺アレルギー』の抗体は、俺のことが好きな人にしか現れない?学園のアイドルから、幼馴染までノーマスク。その意味を俺は知らない
七星点灯
青春
雨宮優(あまみや ゆう)は、世界でたった一つしかない奇病、『俺アレルギー』の根源となってしまった。
彼の周りにいる人間は、花粉症の様な症状に見舞われ、マスク無しではまともに会話できない。
しかし、マスクをつけずに彼とラクラク会話ができる女の子達がいる。幼馴染、クラスメイトのギャル、先輩などなど……。
彼女達はそう、彼のことが好きすぎて、身体が勝手に『俺アレルギー』の抗体を作ってしまったのだ!
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる