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第37話「武闘会開戦まで」
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烏丸との夜の出来事もあったものの楓ものろけている暇はなかった。
なぜなら、武闘会開催まで1週間を切っているからである。
「ふわぁ~あ。あれ、皆さんどこ行ったんでしょう?」
立華が大あくびをして眼を覚ますと隣で寝ていたはずの楓と机で突っ伏して眠っていた竜太と鋼星の姿がなかった。ちなみに翔の父親は仕事に出かけた。
「また、特訓に行ったよ。てか、あんた護衛なのに2人よりも遅く起きるってどういうことなの」
烏丸は翔の母から借りているドレッサーで朝のメイクをしながら立華に視線を向けることなく淡々と言う。
立華はのんきに背伸びをして寝癖でボサボサの赤い髪を掻いて言った。
「だってぇ今超平和じゃないですか。鋼星君はちょっと危ないとこありましたけど、どうやら今は手加減してくれてうまく2人を鍛えてくれてるらしいですし、ALPHAの追手も現れないし僕らほとんど出る幕無しで旅行に来てるみたいですよ」
烏丸は同様にメイクをしながら「まあそうだけど」とつぶやく。
「お二人共ご飯ですよー」
すると、翔の母がお盆に赤い液体を入れたコップを2人の元へ持ってきた。そして、立華は「はーい」と間延びした返事をしてまるで元々翔の家の子供だったかのように生活に翔の家族に溶け込んでいた。烏丸も楓と夜話した日から性格のトゲトゲしさは改善されつつあった。
母は2人が赤い液体を飲む姿を満足気にじっと見つめている。
「3人共武闘会に向けて頑張っているようですね」
「そのようですね。本来は僕らの役目だったんですけど鋼星君が2人の面倒を見てれてますし、チャンピオンに教えてもらってるのでどうやら順調にいっているようです。むしろ、僕らじゃなくてよかったぐらいですよ」
「何かに夢中になれることは良いことですよ。若い時の苦労は勝手でもせよっていいますからね」
「ええ、でもやりすぎには注意してほしいですけどね」
楓たちは朝早く翔の家を出ていって帰ってくるのが夜の11時ぐらいである。
武闘会までもう残された時間は少ないため最終追い込みの時期で毎日毎日特訓の日々で楓と竜太はヘトヘトになって玄関で倒れ込むように帰ってくる。
「「だだいばぁ~」」
力のない帰宅をする2人を鋼星は「まだまだ気合がたりねぇよ」と肩を揺らして笑う。
「お前は元気すぎ。なんでそんな動けんだよ意味わかんねぇ」
「そりゃ毎日鍛えてっからだろ」と鋼星は楓のウエストぐらいありそうな腕で力こぶを作ってみせる。
玄関で倒れ込んでいる2人を心配した立華が即座に2人の元へ駆けつける。
「2人とも無理しないでくださいよ。武闘会に出る前に倒れられたら僕は帰ってから合わせる顔がりませんからね」
翔の母は宿舎の女将になったかのようにしずしずとお盆に乗せた3つの赤い液体の入ったコップを差し出した。鋼星と竜太は一気に飲み干して生き返ったように一息つく。一方、楓は血を直接飲むことに抵抗があり立華から固形の血液をもらって最低限のエネルギーを確保してなんとか空腹をしのいでいた。
「皆さんお疲れのようで。お風呂沸かしてあるのでお先にどうぞ」
「お! したら男3人で背中流すか」
「は? なんで野郎と一緒に風呂なんて気持ちわりいよ。なあ楓?」
「でも、たまにはいいんじゃない? こういうのも」
「たく、お前は何でもそうやって引き受けちまうんだから。たまには断ることを学んでおけよ。で、空太はどうする?」
立華は会話の流れから逃げるようにその場を立ち去ろうとしていたが名前を呼ばれて急いで振り向いた。
「いえいえ、僕は汚…いえ、皆さんの特訓に関する積もる話もあるでしょうしお邪魔したくないので遠慮しておきますよ」
竜太は立華を訝しげに見て言った。
「今、汚いっていいかけただろ? お前は汗一つかかずに今日一日何してたんだよ。どうせ家の中でゴロゴロしてたんだろ」
図星を突かれた立華はギクリと漫画的なリアクションをとって竜太に肩を掴まれた。
「お前も一緒に来い!」
「えー勘弁してくださいよ。男臭いのはごめんですぅ」
竜太は立華の襟を掴んで風呂場まで引きずり、結局汗臭い男3人プラス立華の4人ですし詰めの風呂に入ることになった。
「ねぇそれ僕も混ぜてよぉ」
「いやいや、何で翔も来るんだよ。お前は頼むから後できれいな状態の湯船に浸かってくれ」
「だって、1人でお風呂はいるの怖いいんだもーん。それとなんか楽しそうだから僕も混ざる」
「翔くん子供の君に良いことを教えてあげます。お風呂場というのは体をきれいにする場所なんです。わざわざ汚しに行くのは間違ってるんですよ。ましてやぎゅうぎゅう詰め風呂場で男と密着してたら身も心も汚れますよ。どうか、純粋な君だけは綺麗なままであってください」
「カッカッカッ! 俺の一物見たらガキンチョは目ン玉ひん剥くぞ」
「鋼星! 子供の前でそんなこと言うな!」
楓はそのやり取りを菩薩のように平和的な笑みを浮かべて見ていた。
「男の子は元気でいいすね」
翔の母は風呂場に向かう汗にまみれた男たちの背中を見送ってから烏丸に言う。
「そうですね」
烏丸は男たちに向かってクスリと笑みを見せる。
「男は馬鹿ばっかりです」
特訓の日々を続ける楓と竜太。
ついに、明日武闘会が開催される。
なぜなら、武闘会開催まで1週間を切っているからである。
「ふわぁ~あ。あれ、皆さんどこ行ったんでしょう?」
立華が大あくびをして眼を覚ますと隣で寝ていたはずの楓と机で突っ伏して眠っていた竜太と鋼星の姿がなかった。ちなみに翔の父親は仕事に出かけた。
「また、特訓に行ったよ。てか、あんた護衛なのに2人よりも遅く起きるってどういうことなの」
烏丸は翔の母から借りているドレッサーで朝のメイクをしながら立華に視線を向けることなく淡々と言う。
立華はのんきに背伸びをして寝癖でボサボサの赤い髪を掻いて言った。
「だってぇ今超平和じゃないですか。鋼星君はちょっと危ないとこありましたけど、どうやら今は手加減してくれてうまく2人を鍛えてくれてるらしいですし、ALPHAの追手も現れないし僕らほとんど出る幕無しで旅行に来てるみたいですよ」
烏丸は同様にメイクをしながら「まあそうだけど」とつぶやく。
「お二人共ご飯ですよー」
すると、翔の母がお盆に赤い液体を入れたコップを2人の元へ持ってきた。そして、立華は「はーい」と間延びした返事をしてまるで元々翔の家の子供だったかのように生活に翔の家族に溶け込んでいた。烏丸も楓と夜話した日から性格のトゲトゲしさは改善されつつあった。
母は2人が赤い液体を飲む姿を満足気にじっと見つめている。
「3人共武闘会に向けて頑張っているようですね」
「そのようですね。本来は僕らの役目だったんですけど鋼星君が2人の面倒を見てれてますし、チャンピオンに教えてもらってるのでどうやら順調にいっているようです。むしろ、僕らじゃなくてよかったぐらいですよ」
「何かに夢中になれることは良いことですよ。若い時の苦労は勝手でもせよっていいますからね」
「ええ、でもやりすぎには注意してほしいですけどね」
楓たちは朝早く翔の家を出ていって帰ってくるのが夜の11時ぐらいである。
武闘会までもう残された時間は少ないため最終追い込みの時期で毎日毎日特訓の日々で楓と竜太はヘトヘトになって玄関で倒れ込むように帰ってくる。
「「だだいばぁ~」」
力のない帰宅をする2人を鋼星は「まだまだ気合がたりねぇよ」と肩を揺らして笑う。
「お前は元気すぎ。なんでそんな動けんだよ意味わかんねぇ」
「そりゃ毎日鍛えてっからだろ」と鋼星は楓のウエストぐらいありそうな腕で力こぶを作ってみせる。
玄関で倒れ込んでいる2人を心配した立華が即座に2人の元へ駆けつける。
「2人とも無理しないでくださいよ。武闘会に出る前に倒れられたら僕は帰ってから合わせる顔がりませんからね」
翔の母は宿舎の女将になったかのようにしずしずとお盆に乗せた3つの赤い液体の入ったコップを差し出した。鋼星と竜太は一気に飲み干して生き返ったように一息つく。一方、楓は血を直接飲むことに抵抗があり立華から固形の血液をもらって最低限のエネルギーを確保してなんとか空腹をしのいでいた。
「皆さんお疲れのようで。お風呂沸かしてあるのでお先にどうぞ」
「お! したら男3人で背中流すか」
「は? なんで野郎と一緒に風呂なんて気持ちわりいよ。なあ楓?」
「でも、たまにはいいんじゃない? こういうのも」
「たく、お前は何でもそうやって引き受けちまうんだから。たまには断ることを学んでおけよ。で、空太はどうする?」
立華は会話の流れから逃げるようにその場を立ち去ろうとしていたが名前を呼ばれて急いで振り向いた。
「いえいえ、僕は汚…いえ、皆さんの特訓に関する積もる話もあるでしょうしお邪魔したくないので遠慮しておきますよ」
竜太は立華を訝しげに見て言った。
「今、汚いっていいかけただろ? お前は汗一つかかずに今日一日何してたんだよ。どうせ家の中でゴロゴロしてたんだろ」
図星を突かれた立華はギクリと漫画的なリアクションをとって竜太に肩を掴まれた。
「お前も一緒に来い!」
「えー勘弁してくださいよ。男臭いのはごめんですぅ」
竜太は立華の襟を掴んで風呂場まで引きずり、結局汗臭い男3人プラス立華の4人ですし詰めの風呂に入ることになった。
「ねぇそれ僕も混ぜてよぉ」
「いやいや、何で翔も来るんだよ。お前は頼むから後できれいな状態の湯船に浸かってくれ」
「だって、1人でお風呂はいるの怖いいんだもーん。それとなんか楽しそうだから僕も混ざる」
「翔くん子供の君に良いことを教えてあげます。お風呂場というのは体をきれいにする場所なんです。わざわざ汚しに行くのは間違ってるんですよ。ましてやぎゅうぎゅう詰め風呂場で男と密着してたら身も心も汚れますよ。どうか、純粋な君だけは綺麗なままであってください」
「カッカッカッ! 俺の一物見たらガキンチョは目ン玉ひん剥くぞ」
「鋼星! 子供の前でそんなこと言うな!」
楓はそのやり取りを菩薩のように平和的な笑みを浮かべて見ていた。
「男の子は元気でいいすね」
翔の母は風呂場に向かう汗にまみれた男たちの背中を見送ってから烏丸に言う。
「そうですね」
烏丸は男たちに向かってクスリと笑みを見せる。
「男は馬鹿ばっかりです」
特訓の日々を続ける楓と竜太。
ついに、明日武闘会が開催される。
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