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~生贄白豚聖女メリル編~
1.私、クロさんが全部初めてなんで
しおりを挟む「あの…クロさん?」
「なあに?メリル」
「これじゃあ…動けませんっ!!」
私、メリル・ルシフォンは今─…床に座った状態で後ろからクロさんに抱きしめられ、身動きが取れない状態である。
クロさんと想いが通じってからというもの…
変に意識してしまう私と裏腹に、クロさんは懐いた仔猫のように私に甘えて離れないという…──なんとも言えない状態が続いていた─…
「だって…メリル柔らかくて…ずっと抱きしめていられるよ…─」
「もうっ!!私の心臓が持たないんです!!」
こんなにくっ付いていられたら…!!背中の汗とか、匂いとか、気になっちゃうんです!!
ドキドキしすぎて胸が苦しいんです!!
「えー、残念」
そう言って抱きしめる手を緩めてくれる。
少し寂しく感じながらもほっと一息つくと、今度はちゅっと唇を落とされる。
「───!!!!!」
「抱きしめ無いから、こっちはいい?」
そう言って覗き込んでくるクロさんの甘さに…ついに私は…
鼻血を出して倒れ込む─…
「メリル──っ!!!」
「もう…ダメ…です──」
未だかつてない甘い経験に私の恋愛脳は危険信号を出し続けている。
クロさんと出逢う前までは、男の人と手をつないだことも無かったのだから…両想いになったクロさんとの口付けなんて…──
「だ、大丈夫!?メリル!!」
「クロさん…。私、クロさんが全部初めてなんで…もう少し…お手柔らかにしていただけると…」
鼻血を止血しつつ、真っ赤になりながら言うと、クロさんはキョトンとした表情になる。
「え…、あの男は…?結婚の約束した─…」
「ふぇ…?あの王子ですか?全く何もありませんでしたけど…──」
指一本触れていないような記憶がある…。
庶民と見下されてたしね…触るのも嫌だったのでしょう!今となってはそれで本当に良かったけど…──
「そうなんだ…─。ふふ」
そう言ってクロさんは嬉しそうに微笑んだ─…。
「実は、あの男が羨ましかったんだ…。メリルを一時でも手にしてたのかなって。これが嫉妬っていう感情なのかな。」
クロさんの素直な言葉に、胸がじんわりと温かくなってくる。
「メリルを全部、僕のものにできたらいいのにね──」
綺麗なオッドアイに見つめられると…少し泣きたくなってしまう。
もう…とっくにクロさんに全部この気持ちは持っていかれてるのにな──
気持ちが伝わればいいな─…。
「なーんて、欲張り過ぎかな…」
寂しそうな笑みを浮かべ立ち上がるクロさんの服の袖を引っ張り、振り向いたクロさんをぎゅっと抱き絞める。
「しっかり私の鼓動、聞いてください!早いでしょ!?もう死にそうなくらい、クロさんにドキドキしてるんです!!こんなの、クロさん以外にはしません!!」
「ふふ。……本当だ。」
そう言ってクロさんは満足そうに私を抱きしめ返した─…。
あ、あれ?
結局…動けない…!!?
クロさんの沼に嵌りかけていたその時─…
部屋の中に転移の魔法陣が浮かび上がり──
「クロ様!!お迎えにあがりましたわっ!!!!」
赤髪の小柄な美少女が突然目の前に現れたのだった──
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