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~生贄白豚聖女メリル編~
2.私と結婚すると約束したではありませんか!
しおりを挟む「……なっ──」
いきなり現れた赤髪の少女は、私を突き飛ばしクロさんに抱きついている。
ど…どういうこと!?
行き成りの乱入者に思考が追いつかなくなる。
「メリル、大丈夫!?」
赤髪の少女を引き離し、床に座り込んだ私をクロさんが心配そうに見つめる。
「は…はい…」
クロさんはほっとしたように息をつき、黒猫面を装着し、赤髪の少女前に立つ。
「チェルシー、一体どういうつもり?急に人の家に来て、メリルを突き飛ばす何て!それに、師匠のゲートを勝手に使ったね?」
「うう、申し訳ありませんわ…。でも、居ても立ってもいられなかったのですわ!クロ様が…奥様を迎えられたなんて!!私と結婚すると約束したではありませんか!!」
チェルシーと呼ばれた少女は爆弾発言を投下した─…。
く…クロさんの…婚約者…──!??
「それは、チェルシーが勝手に言ってたことだろう?僕の奥さんはメリルだけだ。さあ、メリルにも謝るんだ」
「い、嫌ですわ!!こんな白豚に…クロ様は渡しませんわ──っ!!!!」
出す赤髪の少女に茫然とする…。
クロさんは冷たい声色で
「泣いても何とも思わない。メリルを侮辱しないでくれる?」
と不機嫌な様子だ─…。
いつものほんわかしたクロさんに慣れているので、冷たい空気を出すクロさんに戸惑ってしまう。
「ごめんね、メリル。彼女は、師匠の所で一緒に修行してた子で…チェルシー・ジェン。昔から思い込みが激しいんだ─…」
ため息交じりに言うクロさんは、本当にうんざりしている様子だった。
ロブ・ロードといい、チェルシー・ジェンといい、ハルーシュさんのお弟子さんは皆一癖も二癖もあるようだ─…。
ハルーシュさん…大変だな…
「だって…、クロ様を心から愛せるのは…私だけですわ…。『本当の姿』も…何もかも受け入れられるのは…私だけですわっ!!!」
そうチェルシー・ジェンが言った瞬間─…
クロさんの空気が変わった気がする──
「ねえ、黙ってくれないかな─…」
クロさんがそう言った瞬間に、チェルシー・ジェンの周りに黒い闇が現れる。
ガタガタと震えだすチェルシー・ジェンは必死に口を塞いだ──。
「お、お腹空きません?お茶にしましょうっ!!」
冷え切った空気を変えるように明るい声を出す。
これ以上…クロさんを怒らすのは危険だ──
クロさんはキョトンとしながらこちらを見て、そしてふっと笑った気配がした。
「…そうだね。お茶にしようか。……メリルに感謝するんだね─」
そう言ってチェルシー・ジェンに掛けた魔法を解くと、彼女は腰を抜かして立てなくなっている様子だった。
「チェルシーさん、大丈夫ですか?」
「う…うるさいっ!!大丈夫ですわ!!」
そう言って彼女はふらふらの足で立ち上がり椅子に腰かけた。
どうやら一緒にお茶を飲む根性はあるようだ。
「……、あんなクロ様…初めてみましたわ…」
そうポツリと呟いた彼女の声は…聞き取ることができなかった──
「メリルの好きなお菓子作ったんだよ」
「わーい!!クロさんの魔法で作ってくれるお菓子、とっても美味しいです!!」
クロさんの作ってくれたクッキーを食べながら微笑む。
どんなお菓子よりクロさん作が美味しいと思う。
「く…クロ様が…お菓子作り!!?」
チェルシー・ジェンは信じられないような表情でその光景を見ていた。
「高位魔法の無駄使いですわ…──」
ぼそりと何か言っているけれどもクッキーを食べることに夢中で気が付かなかった。
「それより、チェルシー、師匠に何か言われたんじゃないの?」
「ふぇ…!!そうでしたわ…。クロ様の結婚に意識がいってしまい忘れていましたわ。とうとう宮廷が…白竜の教団と繋がって動き出したと…そう言ってましたわ」
カシャンとクロさんがカップを落とした──
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