女性限定の『触れて治癒する』治療方法に批判が殺到して廃業を考えたが結果が凄すぎて思ったよりも受け入れて貰えた

夢幻の翼

文字の大きさ
64 / 159

第64話【オクリ村での宿泊】

しおりを挟む
 次の日の馬車の中では僕とリリスはこれからの行動について意見を出し合っていた。

「バグーダに着いたらやっぱりまずは町長に会いにいって領主様からの許可証を見せてから説明して……」

 僕はバグーダではサナールのような大きな混乱のないように気をつけながら活動をしたいと考えていた。

「最終的には斡旋ギルドにも行かないといけないのだけど、ギルマスにも会わないといけないわよね?」

「一応、アルフさんからの手紙もあるし会わない訳にはいかないだろう」

 そんな会話をしていると御者の男性が「もう少しで中間地点のオクリ村に着きます。
 今日はその村で一泊しますので宿をとられる方は次の日の出発までに広場に集合してください」とアナウンスをした。

 村で過ごすのに野営をするのは馬車の護衛と御者くらいで乗客は全員村の宿に泊まる事になった。

「あー。3日ぶりにベッドで寝れるのね。
 長距離の移動では仕方ないけれどやっぱり野営は疲れが取れないわよね」

 コリアと連れの女性が話しているのを聞きながらリリスにそっと呟いた。

「体調はどうだい?
 どこか痛むようなら治癒してあげるからすぐに言うように」

「そうね。今日は宿をとるからお願いしようかしら。
 いつもの馬車よりクッションはいいのでしょうけどやっぱり長く乗ってるとお尻が痛くなるのよね」

 リリスはそう言いながらお尻を擦った。

 それからまもなく馬車はオクリ村へと到着し、広場で一時解散となった。

「さて、まずは宿を確保してからどうするか決めるとしようか」

 僕はそう言うとリリスと供に宿屋へ向かった。

 ――からからん。

 宿屋のドア鐘の音が部屋に響いた。

 いらっしゃいましぇ、ナガレンガ亭へようこそでしゅ。
 本日はお食事でしゅか?
 それともお泊りでしゅか?

 宿屋の看板娘であろう若い……いや5~6歳くらいの若すぎる女の子が受付業務を担当していた。

「きゃあ!可愛い!!」

 僕達と一緒に馬車で来ていたコリアがその女の子をみつけると『タタタ』と走って『ガバッ』と抱きしめていた。

「あわわ、何するのでしゅか?」

 コリアに抱きしめられて身動きが出来なくなった女の子は手足をバタつかせながら必死に逃れようとする。

「ちょっと、離してあげないとその子、苦しんでるみたいよ?」

 リリスが指摘すると「あっ!ごめんなさい」と言ってコリアが少女を離した。

「一体なにをするのでしゅか!
 お客様じゃ無いなら帰ってくだしゃいよ!」

 少女は頬を膨らませながらコリアに怒る。

「ごめんね。可愛かったんでつい……」

「つい……。じゃないでしゅよ。息が出来なくて死ぬかと思ったじゃないでしゅか!」

 少女は文句を言ったがコリアが素直に謝ったので落ち着きを取り戻し再度案内を始めた。

 いらっしゃいましぇ、ナガレンガ亭へようこそでしゅ。
 本日はお食事でしゅか?
 それともお泊りでしゅか?

「泊りです。食事もお願いします」

 今度はまともに答えたコリアに少女は人数の確認と金額を伝え、部屋の鍵を渡してきた。

 コリアと連れの女性はふたりで一部屋、老婦人も同様に一部屋、親子連れも一部屋と部屋割を決めていく。

「そこのふたりは夫婦でしゅか?
 であれば一部屋でお願いしましゅね」

 少女の言葉に「別々に」と言おうとした僕をリリスが間に入り「はい」と鍵を受け取った。

「おい?」

「いいから」

 僕の言葉をリリスが手で制してきたのでその場はおとなしく従った。

「一体どう言うつもりだ?」

 部屋に案内されてお互いにベッドに座り僕はリリスに真意を聞いた。

「別に問題はないと思うけど。
 同じ部屋でもベッドは別々だし、診療所でも部屋は別れてたけどいつでも行き来出来たじゃない。
 それに私達って恋人関係なのよね?
 逆に同室くらいであたふたする方がおかしいんじゃないの?」

「そ、それは……」

 リリスの指摘に返す言葉もなく、気恥ずかしさに彼女を直視できずにいる僕にリリスは頬を膨らませて言った。

「じゃあいつもの治療をして貰おうかな。
 馬車の旅でお尻は痛いし、野営で寝不足気味だし……」

「嘘言え、しっかり寝てたじゃないか」

 僕の突っ込みに「あれ?そうだっけ」と恍けるリリスの手を引いて後ろ向きに座らせてからいつもの様に治癒魔法をかけた。

「あー、痛みも疲れも全部無くなっていくのが分かるわ。
 あなたの治癒魔法をこんな使い方をするのって私だけだろうけど凄く贅沢な事よね」

 リリスはそう呟きながら(まあ、毎回胸は触られるけれど、恋人同士なら良いよね)としながらナオキに身体を預けて目を閉じた。

「――さてと、夕食までまだ時間があるから僕は村長さんに挨拶にいこうと思うけどリリスはどうする?
 もう少し休みたいなら一人で行ってくるけど」

 僕の言葉にリリスは「当然行くわよ。ナオキだけじゃ心配だしね」と言いながら出かける準備をした。

「村長さんに会いたいのだけど、何処に行けば会えるかな?」

 受付にいた少女にリリスが話しかける。

「村長でしゅか?
 ならば呼んできてあげましゅよ。
 お父しゃま!お客様が呼んでましゅよ!」

「「え?」」

 その意外な言葉に僕とリリスは同時に驚いていた。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

処理中です...