女性限定の『触れて治癒する』治療方法に批判が殺到して廃業を考えたが結果が凄すぎて思ったよりも受け入れて貰えた

夢幻の翼

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第75話【リリスの温泉での情報収集①】

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 ナオキが男湯でゼアルと話をしていた頃、リリスも温泉で情報収集に努めていた。

 もとより斡旋ギルドの受付嬢を勤めていたので情報収集のスキルは人一倍備わっていた。

 リリスは湯船に浸かっている話し易そうな若い2人組の娘達を見つけるとスススと寄って行って話しかけた。

「ねえ、あなた達この辺で一番腕のいい薬師のお店って何処か知ってる?
 特に化粧品を得意としてる所がいいな」

 リリスはあえて普通の調薬ではなく『化粧品』として彼女らの興味を引く話題を選んだ。

「化粧品? それならこの宿から数分の所にあるゼアル薬師店がオススメよ」

「そうね、私も化粧品だったらゼアル薬師店が間違いないと思うわ。
 普通の調薬は微妙だからあまり薦めたりはしないんだけどね」

 二人組みの女の子達はそうリリスに教えてくれた。

「調薬が微妙?
 化粧品はオススメなのに?」

「うん。まだ若いからって事もあるんでしょうけど、昔から薬師をしてる熟年薬師の人達と考え方が違うと言って独自路線を行った結果、新しいものは出来たんだけど昔からの薬のレシピを教えてもらえずに結果的に治療関係を諦めて化粧品に特化した薬師になったみたいね」

「それはちょっと気になるわね。
 今度お店に行ってみようかしら……」

 リリスがそんな話をしていると「あっ リリスさんも温泉ですか? 奇遇ですね」と後ろから声をかけられた。

(誰? この町で私を知っている人は多くはないはずだし、この聞いた事ある声は……)

 リリスはそう思いながら振り向くと……。

 ばいん。

 柔らかい弾力性のある物体に顔をぶつけて思わずのけ反った。

「なっ なんなのよ!?」

 リリスが体制を整えて改めて見ると……。

「いったーい」

 そこには巨大な左の胸を擦りながら涙目になっているナナリーがいた。

「あ、あらナナリーさんじゃないですか。
 真後ろに立って急に声をかけられたからびっくりしたわよ」

「えへへ、ごめんなさい。
 温泉に入ってきたらリリスさんが見えたのでちょっとびっくりさせたくなってしまいました。
 あいたた……」

 ナナリーは悪びれもなくニコニコとしながらリリスの横に沈み込む。
 そこには以前、治療のために一度だけ見た破壊的なふたつの山が存在感をアピールしながらふよふよと浮かんでいた。

(こっこの女、天然なのかワザとなのか知らないけどこれみよがしに見せつけるなんて……やっぱり油断のならない娘ね)

 リリスがそんな事を考えているとナナリーはお構いなしに話しかけてくる。

「リリスさんはお化粧しなくても十分綺麗じゃないですか。
 それでもやっぱり化粧品には興味かあるんですか?」

 どうやら先程の話を聞いていたらしくナナリーは化粧品の話を振ってきた。

「それは当たり前の事だと思うわよ。
 前職では人前に出る仕事だったからかなり気をつかっていたわよ。
 ナナリーさんも今は同じようなものだからやっぱり気を使ってるでしょ?」

「いえ、それが化粧をすると逆に『若さがない』とか言われて断念したんです。
 だから今のところは化粧はしてないですね」

(ああ、これが若さと言うやつか……。
 そう言えば私も15~16の頃は化粧なんてしなかった気がするわね)

 そう思いながら自分の肌に手を滑らせてみて驚いた。

(あれ? そう言えば私も最近は化粧品なんて使ってない……。
 肌の調子も凄くいいし、まさかこれは『アレ』のせいなの?)

「でも、リリスさんも凄く肌が綺麗ですよね。
 まさか、ナオキ様のおかげですか?」

 ナナリーが核心をついてくる。

「さ、さあ? どうなのかしらね」

 リリスはドキリとしながらも曖昧にはぐらかす。

「えっと、あなた案内所の案内嬢をされているナナリーさんですよね?
 この人とお知り合いなんですか?
 あ、私はニアで彼女はネアと言います。
 名前は似てますが別に姉妹ではなくただの友達です」

 顔も雰囲気も違うふたりを姉妹とは思わなかったが人に紹介する時の定番口上なのだろう。

「それはご丁寧に、宜しくね」

 ナナリーはそう返すと話を続けた。

「彼女はリリスさん。
 前職はカルカルの町の斡旋ギルドの第一受付嬢を務めていたの」

「ちょっと、ナナリーさん。
 勝手に人の経歴を話されても困るんですけど……」

 リリスが軽く非難するとナナリーは「あ、すみません。でも、隠すほどの事では無いと思いますけど……」と謝りながらも悪びれずに言った。

「ええ!? 斡旋ギルドの第一受付嬢ですか?
 カルカルといえば領都に次ぐ第二の町ですよね?
 そこの受付嬢なら凄いエリートじゃないですか!
 どうして辞めちゃったんですか?」

 女が3人集まれば『かしましい』とは良く言ったものでナナリーの話に興味を示したニアとネアはリリスにグイグイとくる。

「そうね。ギルドの受付嬢よりもやり甲斐があって凄く大切なものを手に入れたからかな」

 リリスは少し遠い目をしながらナオキとのこれまでを思い浮かべる。

 その表情に何かを感じ取ったナナリーは少し表情を曇らせるがリリスの発言に気を取られていたふたりはそれには気が付かなかった。

「えー!? 斡旋ギルドの受付嬢以上にやり甲斐のある仕事ですか?
 あんな花形職業以上の職業とかちょっと私には思いつかないですね」

「それってどんなものか聞いてもいいですか?」

 ニアとネアは興味津々でリリスに迫っていった。
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