女性限定の『触れて治癒する』治療方法に批判が殺到して廃業を考えたが結果が凄すぎて思ったよりも受け入れて貰えた

夢幻の翼

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第95話【リリスの臨時受付嬢講義③】

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「はい、今日の受付業務は終了よ。
 これからそこに山積みになっている書類を片付けてから受付嬢基礎訓練のおさらいをするわよ」

 リリスの言葉にクレナは顔を引きつらせながら「はい……」と頷いた。

「……よし、書類関係はこれで終わり!」

 リリスは残っていた書類を片付けるとクレナの書いた書類に目を通す。

「クレナさん、何ですかこの書類の書き方は?
 こんな書き方じゃ管理事務部にまわした時に内容不備ですぐに返されるわよ!
 いい? ここはこう書いて、この場合もこうすればわかり易いでしょ?」

 リリスはクレナの書類不備を指摘しながら手早く修正していく。

「本来ならば私が直すんじゃなくてあなたがするべきだけど、この後の事を考えると間に合わないから今日だけはやっておくわ。
 但し、明日からは自分の書類不備は自分で修正すること。いいわね」

「は、はい。すみません」

 クレナは言われた事を確認し、メモを取りながら覚えていく。

「じゃあ、これから基本礼節の指導に入るわよ。
 これがしっかり出来て始めて受付嬢として認められる事になるのですからね。
 まず、あなたはギルドに来てくれる利用者さまに対しての言葉遣いが良くありません。
 利用者様はお友達ではないですのでたとえ何度も来られた常連でもまずは丁寧な受け答えをするように。
 話の流れで多少の砕けた話し方になる事は良いですが、節度を守って良い印象を与える行動が必要になります」

 その後もリリスはクレナに利用者様への声掛けのタイミングや話す内容、言葉遣いからお辞儀の仕方まで何度も繰り返して教え込んだ。

「今日はもうこれくらいで勘弁して欲しいです……」

 業務が終わってからたっぷり3時間は基礎学習に費やしたクレナはへとへとになりながらリリスに懇願した。

「そうね。とりあえず今日はこのくらいにしておきましょうか。
 私もアーリーさんとの打ち合わせがあるのでさっさと終わらせなくてはならないから片付けが終わったら帰っても良いわよ……って思ったけれどそんなに疲れてたら明日の業務に差し支えるわね」

 リリスは少し迷ったが、目的の達成を少しでも早めるために彼女にドーピングを施す事を決めた。

「……今日は私が泊まっている宿に来なさい。
 温泉が良いから疲れも取れるでしょうし、もう一つスペシャルな疲労回復を施してあげるから」

 リリスの有無を言わさない圧力にクレナは不安になりながらも「はい」と頷くしか無かった。

「じゃあ私はアーリー様と打ち合わせをしてくるので30分ほど今日のおさらいをして待っててね」

 リリスはそう言うとアーリーの待つ執務室へと向かった。

 ――コンコン。

「リリスです。今日の報告と依頼の契約に来ました」

「どうぞ、開いてるわよ」

 リリスがドアをノックすると中からアーリーの声が返ってきた。

「失礼します」

 リリスがドアを開けて中へ入るとアーリーが仕事机の上から書類を持って応接セットのテーブルへと向かうところだった。

「お疲れ様。どう? 彼女は。
 何とか使えるレベルになりそうかしら?」

「まだ、初日ですから……。
 暫くかかるかもしれないですけど引き受けたからには何とかして見せますよ」

「それは頼もしい発言ね。
 何か私に頼みたい事はあるかしら?
 出来る範囲でだけど協力はするわよ。
 それと、この書類が契約書でこちらが報酬を書いたものよ」

 アーリーはそう告げながら書類をリリスの前に差し出す。

 リリスはそれを確認しながら「では今日のところはひとつだけ」と言い右手の人差し指をピッと立てた。

「研修期間中はクレナさんは私が泊まっている宿屋に部屋を取って貰います。
 そうすれば仕事から帰ってからも指導は出来るし、万が一倒れてもナオキが居ますので直ぐに回復出来るでしょうから」

 リリスはそう告げるとアーリーの許可を求めた。

「まあ良いでしょう。
 彼女はギルドの女子寮に住んでいるから連絡を入れておけば問題ないわ。
 何度も言うようだけど彼女が使えるようにならないとギルドも困るから頼むわね。
 早く仕事を任せられるようになったら仕事は完了で良いからね」

「それって、使えるようにならなかったらずっと終わらないって事じゃ無いですよね?」

「最低限のレベルに達していなければ悪いけどそうなるかもしれないわね。
 だけど、あなたなら大丈夫でしょ?」

「……出来るだけ善処はしますけど保証はできませんよ。
 そして、ナオキの方が先に片付いたら研修が途中でもキャンセルさせて貰いますからね」

 リリスはそう告げると席を立ってクレナの元に向かった。

「――お待たせ。じゃあ行きましょうか」

「え? 何処へですか?」

「あなたが今日から研修の終わりまで寝泊まりする宿へよ」

 リリスはクレナにそう告げると更衣室へと向かい、制服から着替えて戸惑うクレナの背中を押しながら宿屋へと向かった。

「ここが私達の泊まっている宿よ。
 温泉が凄く良くて疲れた身体に良く効くからしっかりと疲れを癒やして明日に備えなさいね」

 宿に着くとリリスはテキパキとクレナの宿泊手続きを行う。

「え? ちょっと私なにも聞いて無いんですけど……」

 クレナは当然のように戸惑いながらリリスに説明を求める。

「あなたの身柄は研修が終わるまで私が監視管理をする事に決まったから連れてきたの。
 ギルドマスターのアーリー様の許可も取ってあるし、あなたの住んでいる女子寮にも連絡してもらうようにお願いしてあるから心配しなくて大丈夫よ」

 次々と自分の意思に反して研修計画が決まっていく現状にクレナは呆然と成り行きに任せるしか無かった。
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