109 / 159
第109話【商隊主との交渉と駆け引き】
しおりを挟む
アーリーとの話を終えた僕達はその後、町長の屋敷を訪れて町を出る事の挨拶を済ませておいた。
やはり町長も残念がったが無理な引き止めはされなかった。
昔からある薬師ギルドの事を考えたうえでの判断だと言われ納得をした。
あらかた挨拶回りも終えた僕達は旅に必要なものを買うためにお店をまわっていた。
「移動に必要な馬車についてはアーリー様が探してくれると言われていたから任せるとして、1ヶ月にも及ぶ長旅になると思うから必要な物資は買いためておく必要があるな。
食料は当然、水も大量に確保しておかないといけないだろうね」
「そうね。私達個人で借りる馬車なら積荷にすればいいけど商隊に同行するなら出来るだけ荷物は少ない方が迷惑にならないでしょうからね」
「まあ、僕には収納魔法があるから保存食ばかりを買わなくても良いし、それが今回の交渉の切り札なんだけどね」
――まあ、そう言う事だ。アーリーとの話で僕達が言っていた『アレ』とは収納魔法を使って商隊の食料関係を引き受ける事で荷台の荷物を商品中心にして商人の利益を上げやすくする交渉をするのだ。
2日ほど必要な物資を買い漁っているとアーリーから連絡があり王都へ向かう商隊が見つかったとの事でギルドまで来て欲しいとの事だった。
「思ったより早く見つかったんだね。さっそく会ってみようか」
僕達はアーリーの指定する時間に斡旋ギルドへと足を運んだ。
「依頼についてアーリーギルドマスターに呼ばれて来たのですが……」
「ナオキ様ですね。伺っておりますので第一応接室へとお願いします」
受付嬢に案内されて僕達が応接室へと入ると既にアーリーと商隊の主であろう初老の男性が打ち合わせをしていた。
「もしかしてお待たせしましたか?」
僕が聞くとアーリーは「いえ、時間どおりよ。まあ、お座りなさい」と軽く流して座るように促した。
「では、失礼します」
僕達がソファに座るとアーリーがお互いの紹介をかって出てくれた。
「こちらがあなたが探していた王都へ向かう商隊の責任者をしているガリウムよ。
彼の商隊は主にアーロンド領内で採れる鉱物を加工した商品や日持ちのする穀物を中心に王都の本店へと運んでいるの。
ただ、加工品はともかく穀物なんかは重量が嵩むため余計な荷物は積む余裕はないそうなの。
この穀物の量は本店から依頼されているので勝手には減らす事は出来ないからあなた達用に一台馬車を用意して商隊に同行させて貰うのが現実的かと話していたのよ」
アーリーの説明に僕達は頷くと「やっぱりそれがネックになりますよね」と言い交渉のカードを並べだした。
「まず、この話は僕の特殊な能力になりますのであまり広めないで欲しいのですが……」
僕はそう前置きをして収納魔法の事を説明し、その有効な運用のやり方をあげて交渉をした。
「……なんと、そのような物語の中にしか存在しないと言われる魔法を持っているとは驚くしかありませんな。
しかし、お話だけではとても信じられるものではありませぬ。
是非ともこの場にて見せて頂く事はできますかな?」
ガリウムは白い髭をさすりながら僕にそう告げる。
やはりいくら口で説明しても実際に自分の目で見ない事には信用は出来ないのだろう。
「もちろん良いですよ。アーリーさん、何か収納しても良いものがありますか?」
僕はアーリーに何か無いかと尋ねると彼女は部屋の隅を指差して「あの棚でいいかしら」と言ってくれた。
「では失礼して……『収納』」
僕が魔法を唱えると同時に部屋の隅に置いてあった重さ数十キロはあるであろう棚が置いてあった本や雑貨と共に異空間へと消えて行った。
「なっ!?」
「えっ!?」
ガリウムとアーリーはその瞬間を目の当たりにして驚きの声をあげたがリリスは以前から知ってるので特に驚く事は無かった。
「まあ、こんな感じですね。そして収納したものは排出の魔法で指定した場所に出す事が出来ます」
僕はそう説明しながら先程収納した棚を元の位置に戻した。
「はぁ!?」
「ええっ!?」
予想どおり荷物を戻した時にもしっかりと驚かれた。
「こんな具合に荷物を運ぶ事が出来ますので移動中の僕達の食料はもちろん、そちらの食料や水を僕が運ぶ事によって荷台に空きが出来るでしょうからそこに僕達を乗せて貰えたらと思いますがどうでしょうか?」
僕の提案にガリウムは口をあけたまま固まっていたが「あの、大丈夫ですか?」と声をかけると再起動した。
「それならば、確かに馬車の荷台に空きが出来るだろうから君たちふたり程度ならば乗せて行く事は可能だろう」
「そうですか。では料金はいくら払えばいいですか?」
僕の言葉にガリウムは少し考えてから言った。
「君たちと会うのは今日が初めてだ。
人物的にはアーリーギルドマスターが保証してくれるのだろうが今見せられた収納魔法とやらに全ての食料や水を入れて貰うのは万が一にも君たちが何かの理由で商隊を離れる事になった場合、私やその連れの食料がいきなり無くなるという危険がある。
誰しも『絶対に大丈夫』などと言えるものは無いと言う事だ」
「では、どうすればリスクを軽減出来ますか?」
「本来ならばありえないやり取りじゃが、今回運ぶ予定の穀物を半分ほど魔法にて運んで貰い万が一の保険としてその分の金銭をこちらで預からせて貰うのはどうじゃ?
もちろん、向こうに着いて荷を出して貰った時点で預かった金銭はお返しする事を約束しよう。
もちろん君たちふたりが乗るに穀物輸送の半分は必要ないが余裕のある荷台には予定外の荷を運ぶ事によって追加の利益を得る事が出来るじゃろ?
その利益分が君たちふたりを載せていく料金の代わりにしたいがどうじゃな?」
さすが長距離を移送する商隊の主だけあってリスクと利益取り方をよく考えていると言える。
「良いのでは無いですか?
その条件でこちらを信用して同行させて貰えるならば私達にも十分な利があると思いますよ」
横で話を聞いていたリリスがアドバイスをする。
「ん。リリスがそう言うならば僕は言う事はないよ。
ガリウムさん。その条件で良いのでよろしくお願いします」
僕がそう答えるとガリウムは「うむ。こちらこそよろしく頼むぞ」と握手を交わした。
やはり町長も残念がったが無理な引き止めはされなかった。
昔からある薬師ギルドの事を考えたうえでの判断だと言われ納得をした。
あらかた挨拶回りも終えた僕達は旅に必要なものを買うためにお店をまわっていた。
「移動に必要な馬車についてはアーリー様が探してくれると言われていたから任せるとして、1ヶ月にも及ぶ長旅になると思うから必要な物資は買いためておく必要があるな。
食料は当然、水も大量に確保しておかないといけないだろうね」
「そうね。私達個人で借りる馬車なら積荷にすればいいけど商隊に同行するなら出来るだけ荷物は少ない方が迷惑にならないでしょうからね」
「まあ、僕には収納魔法があるから保存食ばかりを買わなくても良いし、それが今回の交渉の切り札なんだけどね」
――まあ、そう言う事だ。アーリーとの話で僕達が言っていた『アレ』とは収納魔法を使って商隊の食料関係を引き受ける事で荷台の荷物を商品中心にして商人の利益を上げやすくする交渉をするのだ。
2日ほど必要な物資を買い漁っているとアーリーから連絡があり王都へ向かう商隊が見つかったとの事でギルドまで来て欲しいとの事だった。
「思ったより早く見つかったんだね。さっそく会ってみようか」
僕達はアーリーの指定する時間に斡旋ギルドへと足を運んだ。
「依頼についてアーリーギルドマスターに呼ばれて来たのですが……」
「ナオキ様ですね。伺っておりますので第一応接室へとお願いします」
受付嬢に案内されて僕達が応接室へと入ると既にアーリーと商隊の主であろう初老の男性が打ち合わせをしていた。
「もしかしてお待たせしましたか?」
僕が聞くとアーリーは「いえ、時間どおりよ。まあ、お座りなさい」と軽く流して座るように促した。
「では、失礼します」
僕達がソファに座るとアーリーがお互いの紹介をかって出てくれた。
「こちらがあなたが探していた王都へ向かう商隊の責任者をしているガリウムよ。
彼の商隊は主にアーロンド領内で採れる鉱物を加工した商品や日持ちのする穀物を中心に王都の本店へと運んでいるの。
ただ、加工品はともかく穀物なんかは重量が嵩むため余計な荷物は積む余裕はないそうなの。
この穀物の量は本店から依頼されているので勝手には減らす事は出来ないからあなた達用に一台馬車を用意して商隊に同行させて貰うのが現実的かと話していたのよ」
アーリーの説明に僕達は頷くと「やっぱりそれがネックになりますよね」と言い交渉のカードを並べだした。
「まず、この話は僕の特殊な能力になりますのであまり広めないで欲しいのですが……」
僕はそう前置きをして収納魔法の事を説明し、その有効な運用のやり方をあげて交渉をした。
「……なんと、そのような物語の中にしか存在しないと言われる魔法を持っているとは驚くしかありませんな。
しかし、お話だけではとても信じられるものではありませぬ。
是非ともこの場にて見せて頂く事はできますかな?」
ガリウムは白い髭をさすりながら僕にそう告げる。
やはりいくら口で説明しても実際に自分の目で見ない事には信用は出来ないのだろう。
「もちろん良いですよ。アーリーさん、何か収納しても良いものがありますか?」
僕はアーリーに何か無いかと尋ねると彼女は部屋の隅を指差して「あの棚でいいかしら」と言ってくれた。
「では失礼して……『収納』」
僕が魔法を唱えると同時に部屋の隅に置いてあった重さ数十キロはあるであろう棚が置いてあった本や雑貨と共に異空間へと消えて行った。
「なっ!?」
「えっ!?」
ガリウムとアーリーはその瞬間を目の当たりにして驚きの声をあげたがリリスは以前から知ってるので特に驚く事は無かった。
「まあ、こんな感じですね。そして収納したものは排出の魔法で指定した場所に出す事が出来ます」
僕はそう説明しながら先程収納した棚を元の位置に戻した。
「はぁ!?」
「ええっ!?」
予想どおり荷物を戻した時にもしっかりと驚かれた。
「こんな具合に荷物を運ぶ事が出来ますので移動中の僕達の食料はもちろん、そちらの食料や水を僕が運ぶ事によって荷台に空きが出来るでしょうからそこに僕達を乗せて貰えたらと思いますがどうでしょうか?」
僕の提案にガリウムは口をあけたまま固まっていたが「あの、大丈夫ですか?」と声をかけると再起動した。
「それならば、確かに馬車の荷台に空きが出来るだろうから君たちふたり程度ならば乗せて行く事は可能だろう」
「そうですか。では料金はいくら払えばいいですか?」
僕の言葉にガリウムは少し考えてから言った。
「君たちと会うのは今日が初めてだ。
人物的にはアーリーギルドマスターが保証してくれるのだろうが今見せられた収納魔法とやらに全ての食料や水を入れて貰うのは万が一にも君たちが何かの理由で商隊を離れる事になった場合、私やその連れの食料がいきなり無くなるという危険がある。
誰しも『絶対に大丈夫』などと言えるものは無いと言う事だ」
「では、どうすればリスクを軽減出来ますか?」
「本来ならばありえないやり取りじゃが、今回運ぶ予定の穀物を半分ほど魔法にて運んで貰い万が一の保険としてその分の金銭をこちらで預からせて貰うのはどうじゃ?
もちろん、向こうに着いて荷を出して貰った時点で預かった金銭はお返しする事を約束しよう。
もちろん君たちふたりが乗るに穀物輸送の半分は必要ないが余裕のある荷台には予定外の荷を運ぶ事によって追加の利益を得る事が出来るじゃろ?
その利益分が君たちふたりを載せていく料金の代わりにしたいがどうじゃな?」
さすが長距離を移送する商隊の主だけあってリスクと利益取り方をよく考えていると言える。
「良いのでは無いですか?
その条件でこちらを信用して同行させて貰えるならば私達にも十分な利があると思いますよ」
横で話を聞いていたリリスがアドバイスをする。
「ん。リリスがそう言うならば僕は言う事はないよ。
ガリウムさん。その条件で良いのでよろしくお願いします」
僕がそう答えるとガリウムは「うむ。こちらこそよろしく頼むぞ」と握手を交わした。
0
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~
ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。
彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。
敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。
この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。
「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」
無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。
正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる