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第118話【王都マダルカスタ】
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ザザールを無事に出発した僕達はその後も順調に旅を続けていた。
馬の方もあれから怪我が再発する事もなくガリウムからも凄く感謝され治療費の支払いを提案されたが、こちらも上手くいくか分からない治療だったので初めは治療費は遠慮していた。
しかし、正当な仕事には正当な報酬があって然るべきとリリスに諭されて恐縮しながらの受け取りとなった。
「――もうすぐ王都の城壁が見えて来ますよ」
マリルが馬車の前方に見える景色に安堵の色を出しながらそう告げる。
約1ヶ月に渡る長い旅路の終点となる王都――マダルカスタに辿り着いたのだった。
「凄い……。こんな都市を囲む白くて高い城壁なんて初めて見たわ」
カルカル産まれのリリスが王都の城壁に圧倒されて感嘆の声をあげる。
「でしょ?
私も初めて見た時には同じ感想を言ってたよ」
マリルが昔を思い出して笑顔でそう返す。
――確かに。
この大きさには正直言って僕も驚いた。
現代日本にはこれ程の塀を必要とする建物は無かったし、歴史的建造物のお城の城壁もお城の周りだけで城下町までぐるりと囲うほどの広さではなかったからだ。
「着いたらまずは何をするの?」
リリスがこれからの予定を決めるべく僕に相談してくる。
「せっかく1ヶ月もかけて来たんだから少し王都の中を散策してみるといいかな。
斡旋ギルドへ顔を出して到着報告を済ませたら長期に泊まれる宿を紹介して貰っていろんな情報を集めてみようと思うんだ」
「斡旋ギルドに行くの?
ならそこまでは一緒だね。
私達のパーティーも王都の斡旋ギルドに登録してるからそこで今回の護衛完了報告をして報酬を貰わないといけないからね」
「――城門に着くので通行証明証を準備してください」
僕達が話していると御者の男性がそう促す。
「分かりました。準備をしておきます」
僕達はそれぞれに通行証明証を準備する。
やがて馬車は王都の城門へとたどり着いた。
「通行証明証をお願いします」
門では門兵が王都へ入る者達の確認作業を進めている。ガリウム率いる商隊の御者に関しては彼が一括で受付を行う。
マリル達、護衛のパーティーも一緒に同行した護衛として受付を済ませていた。
「じゃあ、僕達も受付を済ませようか」
僕達もガリウム達と同じ馬車で来たので特に怪しまれる事もなく受け付けて貰えてほっとする。
「よし! 荷物検査が済んだ馬車から店の倉庫へ向かってくれ!」
ガリウムの指示で検査の終わった馬車から次々と運ばれて行く。
僕達も元々乗り込んでいた2番目の馬車でそのまま倉庫へと向かった。
「よし! 着いた馬車から荷物を運び込むぞ!
護衛の者達も荷運び完了までが契約だからしっかりと頼むぞ!」
「はい!」
今回の旅では道中、大きなトラブル――盗賊との遭遇はなく、野生の狼との戦闘があったくらいで護衛の者達は全員元気だった。
「――頼んでおいた穀物類はこの倉庫に置いてくれ。
ああ、その棚の奥から並べてくらたら助かる」
僕はザザールで頼まれた穀物類を指示のとおりに収納から出して並べていく。
「しかし、何度見ても凄い収納量だな。これだけの収納量を持つ人間は王都にも居やしないだろう。
どうだ? うちの専属で商売をやらないか?」
ガリウムは本気か冗談か分からない笑顔でそんな事を言ってくる。
「申し訳ないですが、丁重にお断りしますね。僕達には他にやりたい事がありますので……」
「まあ、そうだよな。その為にわざわざ1ヶ月もかけて王都に来たんたから当然か……。
まあ、仕方ない。気が向いたらいつでも声をかけてくれれば相談にのってやるからな。
おっとそれで最後か、じゃあこれが約束の預り金だ少し色をつけておいたが気にせずに受け取ってくれ。
馬の件もあるし、もしかしたらまた旅に同行する事もあるかもしれないからな」
「ありがとうございます。
せっかくの好意ですので受け取らせて貰います。
もし、今後王都からアーロンド伯爵領内へ向かう予定がありましたら同行をお願いする事もあるかもしれませんのでその時は声をかけさせてもらいます」
僕はそう言ってガリウムと握手を交わして倉庫を後にした。
「――よし、こっちの仕事は終わったから斡旋ギルドに顔を出してみるか……」
僕は大きく伸びをして隣にいるリリスにそう言うと荷物の引き渡しが終わるまで待っていてくれたマリル達、護衛メンバーと合流した。
「マリルさん。報告が終わったらどこか美味しそうな食事の出来るお店を教えて貰えませんか?
あと、長期の宿泊が出来る宿も紹介して貰いたいんだけど……。
まあ、宿に関しては斡旋ギルドで聞いてみるつもりだったから無理にとは言わないわ」
リリスがこれからの予定をテキパキと決めて話がスムーズに進むように段取りをしてくれる。
「食事の方は少しばかり高くても良いなら王都で人気の食事処かあるから後で案内してあげるわ。
宿は……私達はパーティーで泊まる拠点を借りているからあまり詳しくないの。ごめんなさいね」
「いえ、充分ですよ。
ところで王都の斡旋ギルドってどの辺りにあるのですか?」
「そろそろ見えて来ますよ。
そこの角を曲がった先にある大きな建物が王都斡旋ギルドになるわ」
そう言いながら僕達とマリル達が角を曲がった先にその存在感のある建物が姿を表した。
馬の方もあれから怪我が再発する事もなくガリウムからも凄く感謝され治療費の支払いを提案されたが、こちらも上手くいくか分からない治療だったので初めは治療費は遠慮していた。
しかし、正当な仕事には正当な報酬があって然るべきとリリスに諭されて恐縮しながらの受け取りとなった。
「――もうすぐ王都の城壁が見えて来ますよ」
マリルが馬車の前方に見える景色に安堵の色を出しながらそう告げる。
約1ヶ月に渡る長い旅路の終点となる王都――マダルカスタに辿り着いたのだった。
「凄い……。こんな都市を囲む白くて高い城壁なんて初めて見たわ」
カルカル産まれのリリスが王都の城壁に圧倒されて感嘆の声をあげる。
「でしょ?
私も初めて見た時には同じ感想を言ってたよ」
マリルが昔を思い出して笑顔でそう返す。
――確かに。
この大きさには正直言って僕も驚いた。
現代日本にはこれ程の塀を必要とする建物は無かったし、歴史的建造物のお城の城壁もお城の周りだけで城下町までぐるりと囲うほどの広さではなかったからだ。
「着いたらまずは何をするの?」
リリスがこれからの予定を決めるべく僕に相談してくる。
「せっかく1ヶ月もかけて来たんだから少し王都の中を散策してみるといいかな。
斡旋ギルドへ顔を出して到着報告を済ませたら長期に泊まれる宿を紹介して貰っていろんな情報を集めてみようと思うんだ」
「斡旋ギルドに行くの?
ならそこまでは一緒だね。
私達のパーティーも王都の斡旋ギルドに登録してるからそこで今回の護衛完了報告をして報酬を貰わないといけないからね」
「――城門に着くので通行証明証を準備してください」
僕達が話していると御者の男性がそう促す。
「分かりました。準備をしておきます」
僕達はそれぞれに通行証明証を準備する。
やがて馬車は王都の城門へとたどり着いた。
「通行証明証をお願いします」
門では門兵が王都へ入る者達の確認作業を進めている。ガリウム率いる商隊の御者に関しては彼が一括で受付を行う。
マリル達、護衛のパーティーも一緒に同行した護衛として受付を済ませていた。
「じゃあ、僕達も受付を済ませようか」
僕達もガリウム達と同じ馬車で来たので特に怪しまれる事もなく受け付けて貰えてほっとする。
「よし! 荷物検査が済んだ馬車から店の倉庫へ向かってくれ!」
ガリウムの指示で検査の終わった馬車から次々と運ばれて行く。
僕達も元々乗り込んでいた2番目の馬車でそのまま倉庫へと向かった。
「よし! 着いた馬車から荷物を運び込むぞ!
護衛の者達も荷運び完了までが契約だからしっかりと頼むぞ!」
「はい!」
今回の旅では道中、大きなトラブル――盗賊との遭遇はなく、野生の狼との戦闘があったくらいで護衛の者達は全員元気だった。
「――頼んでおいた穀物類はこの倉庫に置いてくれ。
ああ、その棚の奥から並べてくらたら助かる」
僕はザザールで頼まれた穀物類を指示のとおりに収納から出して並べていく。
「しかし、何度見ても凄い収納量だな。これだけの収納量を持つ人間は王都にも居やしないだろう。
どうだ? うちの専属で商売をやらないか?」
ガリウムは本気か冗談か分からない笑顔でそんな事を言ってくる。
「申し訳ないですが、丁重にお断りしますね。僕達には他にやりたい事がありますので……」
「まあ、そうだよな。その為にわざわざ1ヶ月もかけて王都に来たんたから当然か……。
まあ、仕方ない。気が向いたらいつでも声をかけてくれれば相談にのってやるからな。
おっとそれで最後か、じゃあこれが約束の預り金だ少し色をつけておいたが気にせずに受け取ってくれ。
馬の件もあるし、もしかしたらまた旅に同行する事もあるかもしれないからな」
「ありがとうございます。
せっかくの好意ですので受け取らせて貰います。
もし、今後王都からアーロンド伯爵領内へ向かう予定がありましたら同行をお願いする事もあるかもしれませんのでその時は声をかけさせてもらいます」
僕はそう言ってガリウムと握手を交わして倉庫を後にした。
「――よし、こっちの仕事は終わったから斡旋ギルドに顔を出してみるか……」
僕は大きく伸びをして隣にいるリリスにそう言うと荷物の引き渡しが終わるまで待っていてくれたマリル達、護衛メンバーと合流した。
「マリルさん。報告が終わったらどこか美味しそうな食事の出来るお店を教えて貰えませんか?
あと、長期の宿泊が出来る宿も紹介して貰いたいんだけど……。
まあ、宿に関しては斡旋ギルドで聞いてみるつもりだったから無理にとは言わないわ」
リリスがこれからの予定をテキパキと決めて話がスムーズに進むように段取りをしてくれる。
「食事の方は少しばかり高くても良いなら王都で人気の食事処かあるから後で案内してあげるわ。
宿は……私達はパーティーで泊まる拠点を借りているからあまり詳しくないの。ごめんなさいね」
「いえ、充分ですよ。
ところで王都の斡旋ギルドってどの辺りにあるのですか?」
「そろそろ見えて来ますよ。
そこの角を曲がった先にある大きな建物が王都斡旋ギルドになるわ」
そう言いながら僕達とマリル達が角を曲がった先にその存在感のある建物が姿を表した。
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