141 / 159
第141話【女王陛下からの手紙】
しおりを挟む
旅は予定どおりに進みバグーダを出発してから丁度5日後の夕方、領都サナールへと到着した。
ここでも王家の紋章を掲げた馬車は簡単な確認次項だけで門を通過する事が出来た。
「では、サナールでは領主様とギルドマスターに挨拶をしなければならないので3日程滞在したいと思います。
僕達は今日は直ぐに宿をとりますので明日、斡旋ギルドにてギルドマスターと面会をしたいと思ってます。
ですのでバグーダと同じように御者の方と護衛の方は休まれてください」
僕は町のほぼ中心である噴水広場で馬車から降りて御者長にそう告げた。
「分かりました。ナオキ様のご予定に合わせるようにとの命令を受けておりますのでそのようにさせて頂きます」
御者長はそう答えるとお辞儀をしてから護衛達と共に僕達とは別の宿へと向かって馬車を進めた。
「さて、僕達は近くの宿に泊まって明日の朝に斡旋ギルドへと顔を出すつもりだけどナナリーはどうするんだい?」
「あ、私はこのままギルドに向かう事にします。
お母様からの手紙を伯父様に見せたら泊まるところを用意してくれる事になってるそうなので、もしかしたら明日ギルドで会うかもしれませんけど残念ですが一旦ここでお別れですね。
一緒に送り届けてくれてありがとうございました。
ギルドに完了報告書は提出しておきますので明日ギルドの受付で報酬を受け取れるように手配しておきますね」
ナナリーは僕から荷物を受け取るとそう言って頭を下げてから斡旋ギルドのある方角へ歩いて行った。
「ナナリーさん。領都はあまり来た事ないと言ってたけどギルドのある場所は分かってるんだね」
「そうね。まあ、アーリーさんから地図で教えられていたんでしょうけどね」
その後、僕達は彼女を見送ると近くにある宿で一夜をあかした。
「――おはようございます」
次の日の朝、目が覚めるとちょうど備え付けのポットから紅茶を注ぐリリスと目があった。
「ああ、おはよう。
よく休めたかい?」
「久しぶりのベッドでしたからね。しっかり休めましたよ」
ベッドから起きた僕はリリスの淹れてくれた紅茶に口をつけた後、着替えてからふたりで朝食をとった。
「――さて、そろそろアルフさんに会いに行こうか」
頃合いをみて僕達は斡旋ギルドへと足を向けた。
「とりあえず昨日ナナリーさんが言っていた依頼の件を片付けてからギルドマスターを呼んでもらう事にするかな」
「そうね。それで良いと思うわよ」
――からんからん。
いつものドア鐘が鳴ると直ぐに案内の女性が用件を確認に来る。
(相変わらずこのギルドは対応が早いな。さすが本部といったところだよな)
「斡旋ギルドサナール本部へようこそ。本日のご用件をお聞きしてもよろしいですか?」
「ああ、用件は2つほどあって1つは依頼の完了報告、もう1つはギルドマスターへの報告になるがギルドマスターの予定は空いてますか?」
「では、完了報告については2番窓口へお願いします。
そちらの報告をしている間にギルドマスターへの確認を行いますのでお名前をお願いします」
「治癒士のナオキと言えば分かると思います」
「治癒士のナオキ様ですね。分かりました、では2番窓口へどうぞ」
案内の女性はそう言うとギルドマスターへ確認するために奥へと入って行った。
「すみません。昨日、ナナリーという女性がバグーダからサナールまでの移動に同行する依頼の完了報告をしたと思うんですが聞いてますかね?」
「――ナナリー様の完了報告ですね? はい、昨日処理は完了しております。
治癒士のナオキ様で間違いございませんね?」
「はい。間違いありません」
「では、こちらが報酬となります。ここに受け取りのサインをお願いします」
僕は受付嬢の言われる箇所にサインを書いて渡す。
そこに先程の女性が現れて応接室へと向かうように案内をしてきた。どうやらギルドマスターの都合はついたようで一安心をした。
「では、こちらで少しお待ちください」
案内をしてくれた女性は僕達に紅茶を出すと仕事へ戻っていった。
* * *
「――すまない、待たせたようだな」
案内の女性が部屋を出てから約20分ほどたった頃にようやくアルフギルドマスターが現れた。
「少しばかり急ぎの案件があってそっちの指示を済ませてきたんだよ。
それで、私に報告する事があるそうだがどういった内容かな?」
「はい。とりあえずこれを読んで貰えますか?」
僕はそう言うと女王陛下からアルフに渡すように指示をされた手紙を取り出してテーブルのうえに置いた。
「これは……?」
「女王陛下からの手紙になります」
「なに!? 女王陛下だと?」
アルフは手紙の裏に押してある蝋印を確認すると真剣な表情で手紙の封を開け内容を確認した。
アルフはその手紙を読み終わると僕に向かって深々とお辞儀をしてから話を始めた。
「ナオキ様は女王陛下より爵位を賜られたのですね。
叙爵の経緯は手紙に書かれておりましたので問題はありません。
この後は領主様への報告をされると思いますので私も同席をさせて頂きます。
すぐに領主様との面会を準備しますが今日中にとはいかないと思われますので最短で明日、領主様の予定が合わなければ明後日になるかと……。
ですので今日のところは旅の疲れもあるでしょうからゆっくりと町の散策でもされてください。
泊まっている宿を教えて頂ければ夜までには結果を連絡するように手配しておきますので……」
ラルフはその場で僕に泊まっている宿を確認した。
「分かりました。では、そのようにお願いしますね」
僕はそうラルフに伝えるとリリスと共にギルドを出てラルフの言われるとおりに町の散策をする事にした。
ここでも王家の紋章を掲げた馬車は簡単な確認次項だけで門を通過する事が出来た。
「では、サナールでは領主様とギルドマスターに挨拶をしなければならないので3日程滞在したいと思います。
僕達は今日は直ぐに宿をとりますので明日、斡旋ギルドにてギルドマスターと面会をしたいと思ってます。
ですのでバグーダと同じように御者の方と護衛の方は休まれてください」
僕は町のほぼ中心である噴水広場で馬車から降りて御者長にそう告げた。
「分かりました。ナオキ様のご予定に合わせるようにとの命令を受けておりますのでそのようにさせて頂きます」
御者長はそう答えるとお辞儀をしてから護衛達と共に僕達とは別の宿へと向かって馬車を進めた。
「さて、僕達は近くの宿に泊まって明日の朝に斡旋ギルドへと顔を出すつもりだけどナナリーはどうするんだい?」
「あ、私はこのままギルドに向かう事にします。
お母様からの手紙を伯父様に見せたら泊まるところを用意してくれる事になってるそうなので、もしかしたら明日ギルドで会うかもしれませんけど残念ですが一旦ここでお別れですね。
一緒に送り届けてくれてありがとうございました。
ギルドに完了報告書は提出しておきますので明日ギルドの受付で報酬を受け取れるように手配しておきますね」
ナナリーは僕から荷物を受け取るとそう言って頭を下げてから斡旋ギルドのある方角へ歩いて行った。
「ナナリーさん。領都はあまり来た事ないと言ってたけどギルドのある場所は分かってるんだね」
「そうね。まあ、アーリーさんから地図で教えられていたんでしょうけどね」
その後、僕達は彼女を見送ると近くにある宿で一夜をあかした。
「――おはようございます」
次の日の朝、目が覚めるとちょうど備え付けのポットから紅茶を注ぐリリスと目があった。
「ああ、おはよう。
よく休めたかい?」
「久しぶりのベッドでしたからね。しっかり休めましたよ」
ベッドから起きた僕はリリスの淹れてくれた紅茶に口をつけた後、着替えてからふたりで朝食をとった。
「――さて、そろそろアルフさんに会いに行こうか」
頃合いをみて僕達は斡旋ギルドへと足を向けた。
「とりあえず昨日ナナリーさんが言っていた依頼の件を片付けてからギルドマスターを呼んでもらう事にするかな」
「そうね。それで良いと思うわよ」
――からんからん。
いつものドア鐘が鳴ると直ぐに案内の女性が用件を確認に来る。
(相変わらずこのギルドは対応が早いな。さすが本部といったところだよな)
「斡旋ギルドサナール本部へようこそ。本日のご用件をお聞きしてもよろしいですか?」
「ああ、用件は2つほどあって1つは依頼の完了報告、もう1つはギルドマスターへの報告になるがギルドマスターの予定は空いてますか?」
「では、完了報告については2番窓口へお願いします。
そちらの報告をしている間にギルドマスターへの確認を行いますのでお名前をお願いします」
「治癒士のナオキと言えば分かると思います」
「治癒士のナオキ様ですね。分かりました、では2番窓口へどうぞ」
案内の女性はそう言うとギルドマスターへ確認するために奥へと入って行った。
「すみません。昨日、ナナリーという女性がバグーダからサナールまでの移動に同行する依頼の完了報告をしたと思うんですが聞いてますかね?」
「――ナナリー様の完了報告ですね? はい、昨日処理は完了しております。
治癒士のナオキ様で間違いございませんね?」
「はい。間違いありません」
「では、こちらが報酬となります。ここに受け取りのサインをお願いします」
僕は受付嬢の言われる箇所にサインを書いて渡す。
そこに先程の女性が現れて応接室へと向かうように案内をしてきた。どうやらギルドマスターの都合はついたようで一安心をした。
「では、こちらで少しお待ちください」
案内をしてくれた女性は僕達に紅茶を出すと仕事へ戻っていった。
* * *
「――すまない、待たせたようだな」
案内の女性が部屋を出てから約20分ほどたった頃にようやくアルフギルドマスターが現れた。
「少しばかり急ぎの案件があってそっちの指示を済ませてきたんだよ。
それで、私に報告する事があるそうだがどういった内容かな?」
「はい。とりあえずこれを読んで貰えますか?」
僕はそう言うと女王陛下からアルフに渡すように指示をされた手紙を取り出してテーブルのうえに置いた。
「これは……?」
「女王陛下からの手紙になります」
「なに!? 女王陛下だと?」
アルフは手紙の裏に押してある蝋印を確認すると真剣な表情で手紙の封を開け内容を確認した。
アルフはその手紙を読み終わると僕に向かって深々とお辞儀をしてから話を始めた。
「ナオキ様は女王陛下より爵位を賜られたのですね。
叙爵の経緯は手紙に書かれておりましたので問題はありません。
この後は領主様への報告をされると思いますので私も同席をさせて頂きます。
すぐに領主様との面会を準備しますが今日中にとはいかないと思われますので最短で明日、領主様の予定が合わなければ明後日になるかと……。
ですので今日のところは旅の疲れもあるでしょうからゆっくりと町の散策でもされてください。
泊まっている宿を教えて頂ければ夜までには結果を連絡するように手配しておきますので……」
ラルフはその場で僕に泊まっている宿を確認した。
「分かりました。では、そのようにお願いしますね」
僕はそうラルフに伝えるとリリスと共にギルドを出てラルフの言われるとおりに町の散策をする事にした。
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ
双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。
彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。
そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。
洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。
さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。
持ち前のサバイバル能力で見敵必殺!
赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。
そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。
人々との出会い。
そして貴族や平民との格差社会。
ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。
牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。
うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい!
そんな人のための物語。
5/6_18:00完結!
ゲームちっくな異世界でゆるふわ箱庭スローライフを満喫します 〜私の作るアイテムはぜーんぶ特別らしいけどなんで?〜
ことりとりとん
ファンタジー
ゲームっぽいシステム満載の異世界に突然呼ばれたので、のんびり生産ライフを送るつもりが……
この世界の文明レベル、低すぎじゃない!?
私はそんなに凄い人じゃないんですけど!
スキルに頼りすぎて上手くいってない世界で、いつの間にか英雄扱いされてますが、気にせず自分のペースで生きようと思います!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる