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第9話 父親の影響力
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「ギルドマスターは居るか? ポーションの納品依頼について話がある」
クナラは受付嬢にそう言ってギルドマスターを呼び出そうとする。
「え? クナラさん。いつこちらの街に帰って来られたのですか?」
「二日前だが、そんな事はどうでもいい。俺の娘に無理な量のポーション調薬の依頼を出した理由を聞きたいと思ってな、返答しだいではこの街から錬金調薬師がひとり減ることになるが」
「少々お待ちください。すぐにギルドマスターに聞いて来ます」
受付嬢はそう言ってから慌ててギルドマスターの執務室へと走った。
数分後、先ほどの受付嬢が戻ってきて結果を話す。
「ギルドマスターがお会いになられるそうです。申し訳ありませんが執務室へお願い出来ますでしょうか?」
「わかった」
クナラはそう言うとギルドマスターの執務室へと向かう。
「クナラ様をお連れしました」
先導した受付嬢がギルドマスター室の前で声をかけると中から入るように返事が返ってきた。
「失礼する」
クナラはそう言ってドアを開けるとためらいも無く部屋へと入って行った。
「久しぶりだな。街を出たと聞いていたが元気だったか?」
ギルドマスターはクナラの姿を見るとそう話しかける。
「世間話をしに来たわけでは無いことはわかっているよな?」
クナラはそう言いながらギルドマスターの前に立つ。
「まあ、少し落ち着いて話そうではないか。まず座ってくれ」
ギルドマスターはクナラにそう言ってから職員に香茶を出すように指示をする。
「茶など飲んでいる暇はないのだがな。まあいい、理由を聞かせてもらおうか」
部屋に入って来た時から今にも襲いかかりそうな圧を出しながらクナラがそう問う。
「まず、厳しい納期での依頼を出した事に関してはすまないと思っている。だが、こちらの立場も理解して欲しいのだ。今年は例年より早くに流行り風邪が蔓延しそうな気配がある。そこに初期とはいえ抑え込める可能性のあるポーションがあれば皆殺到するのは仕方ないと思わないか?」
「それにしてもサクラはまだ未熟な調薬師だ。無理をさせれば倒れる可能性もあるのはわかっていたはずだ」
「それは理解している。だから一応の納期は設定したが遅れたとてペナルティを課すつもりは無かった」
「それはサクラには言ったのか?」
「いや、出来るだけ早くに頼むと依頼をした」
「ならば、やはりギルドの……いやアンタの落ち度になるな」
クナラはさらに圧をかけながらギルドマスターに凄む。
「わかった、わかった。本当にすまなかったと思っている。現状で出来ている数だけで今回は依頼の達成とするから怒りを抑えてくれ」
クナラの圧にギルドマスターが慌てて条件を変えた。
「ポーションは全て揃っている。百で間違いないな?」
「あ、ああ。間違いないが本当に出来ているのか? いったいどうやって間に合わせたんだ?」
「ああ。俺が少しばかり手伝っただけだ。だが、報酬は娘にやってくれ。それと今後は無茶な数の依頼を出さないようにしてくれればいい」
「それは構わないがアンタはそれで良いのか?」
「娘が頑張って受けた依頼だからな。それよりも俺からひとつ頼みがあるんだがもちろん聞いてくれるよな?」
ポーションの話が一段落した事でクナラが少し落ち着きを取り戻したところに頼み事を話し始める。
「なんだ? 昔からアンタのお願いはとんでもないものが多かったからな。今度はなんだ? 久しぶりに帰って来た事に関係してるのか?」
ギルドマスターは苦笑いをしながらそう問いかける。
「実はな……」
クナラはそう前置きをしてから要望をあげていった。
◇◇◇
「――とりあえずポーションの状態を確認するわ」
私はたった一日で作り上げたとされる追加の五十本のポーションの品質が気になっていた。
「ロイル、薬品鑑定装置を準備してちょうだい」
「わかりました」
ロイルはそう返事をすると鑑定装置と父親の作ったポーションの準備をしてくれた。
「だいたい予想はつくんだけどね」
私はそう呟きながら装置にポーションを一滴垂らして結果を確認する。
【風邪の特効薬:中品質】
「あれ? 品質が中になってるわ。てっきり高品質だと思ってたんだけど違うのね」
「それは今回の依頼に求められていた品種が中品質以上だったからです。品質を上げると使う精神力も多く必要になりますし、高品質だからといって報酬が上がることもありませんから」
「そういうことなのね」
ロイルの説明を聞いて私は父の作ったポーションを手にそう言った。
「いろいろ思うところはあるけど依頼はちゃんと報告して完了だからね。明日はギルドに納品を行くわ」
「私も同席いたしましょうか? お嬢様が倒れられていた情報はお父様がギルドに報告しているでしょうから報酬の配分などの話があるかもしれませんので」
「うーん。まあ、私ひとりでも大丈夫よ。きちんと説明して半分は父に渡すように伝えるから」
「そうですね。それがよろしいかと思います。お嬢様も新人とはいえ一人前の調薬師なのですから父親とはいえ他人の調薬したもので報酬を受け取るのはお嬢様のためになりませんから」
ロイルはそう私に言って微笑みかけてくれた。
クナラは受付嬢にそう言ってギルドマスターを呼び出そうとする。
「え? クナラさん。いつこちらの街に帰って来られたのですか?」
「二日前だが、そんな事はどうでもいい。俺の娘に無理な量のポーション調薬の依頼を出した理由を聞きたいと思ってな、返答しだいではこの街から錬金調薬師がひとり減ることになるが」
「少々お待ちください。すぐにギルドマスターに聞いて来ます」
受付嬢はそう言ってから慌ててギルドマスターの執務室へと走った。
数分後、先ほどの受付嬢が戻ってきて結果を話す。
「ギルドマスターがお会いになられるそうです。申し訳ありませんが執務室へお願い出来ますでしょうか?」
「わかった」
クナラはそう言うとギルドマスターの執務室へと向かう。
「クナラ様をお連れしました」
先導した受付嬢がギルドマスター室の前で声をかけると中から入るように返事が返ってきた。
「失礼する」
クナラはそう言ってドアを開けるとためらいも無く部屋へと入って行った。
「久しぶりだな。街を出たと聞いていたが元気だったか?」
ギルドマスターはクナラの姿を見るとそう話しかける。
「世間話をしに来たわけでは無いことはわかっているよな?」
クナラはそう言いながらギルドマスターの前に立つ。
「まあ、少し落ち着いて話そうではないか。まず座ってくれ」
ギルドマスターはクナラにそう言ってから職員に香茶を出すように指示をする。
「茶など飲んでいる暇はないのだがな。まあいい、理由を聞かせてもらおうか」
部屋に入って来た時から今にも襲いかかりそうな圧を出しながらクナラがそう問う。
「まず、厳しい納期での依頼を出した事に関してはすまないと思っている。だが、こちらの立場も理解して欲しいのだ。今年は例年より早くに流行り風邪が蔓延しそうな気配がある。そこに初期とはいえ抑え込める可能性のあるポーションがあれば皆殺到するのは仕方ないと思わないか?」
「それにしてもサクラはまだ未熟な調薬師だ。無理をさせれば倒れる可能性もあるのはわかっていたはずだ」
「それは理解している。だから一応の納期は設定したが遅れたとてペナルティを課すつもりは無かった」
「それはサクラには言ったのか?」
「いや、出来るだけ早くに頼むと依頼をした」
「ならば、やはりギルドの……いやアンタの落ち度になるな」
クナラはさらに圧をかけながらギルドマスターに凄む。
「わかった、わかった。本当にすまなかったと思っている。現状で出来ている数だけで今回は依頼の達成とするから怒りを抑えてくれ」
クナラの圧にギルドマスターが慌てて条件を変えた。
「ポーションは全て揃っている。百で間違いないな?」
「あ、ああ。間違いないが本当に出来ているのか? いったいどうやって間に合わせたんだ?」
「ああ。俺が少しばかり手伝っただけだ。だが、報酬は娘にやってくれ。それと今後は無茶な数の依頼を出さないようにしてくれればいい」
「それは構わないがアンタはそれで良いのか?」
「娘が頑張って受けた依頼だからな。それよりも俺からひとつ頼みがあるんだがもちろん聞いてくれるよな?」
ポーションの話が一段落した事でクナラが少し落ち着きを取り戻したところに頼み事を話し始める。
「なんだ? 昔からアンタのお願いはとんでもないものが多かったからな。今度はなんだ? 久しぶりに帰って来た事に関係してるのか?」
ギルドマスターは苦笑いをしながらそう問いかける。
「実はな……」
クナラはそう前置きをしてから要望をあげていった。
◇◇◇
「――とりあえずポーションの状態を確認するわ」
私はたった一日で作り上げたとされる追加の五十本のポーションの品質が気になっていた。
「ロイル、薬品鑑定装置を準備してちょうだい」
「わかりました」
ロイルはそう返事をすると鑑定装置と父親の作ったポーションの準備をしてくれた。
「だいたい予想はつくんだけどね」
私はそう呟きながら装置にポーションを一滴垂らして結果を確認する。
【風邪の特効薬:中品質】
「あれ? 品質が中になってるわ。てっきり高品質だと思ってたんだけど違うのね」
「それは今回の依頼に求められていた品種が中品質以上だったからです。品質を上げると使う精神力も多く必要になりますし、高品質だからといって報酬が上がることもありませんから」
「そういうことなのね」
ロイルの説明を聞いて私は父の作ったポーションを手にそう言った。
「いろいろ思うところはあるけど依頼はちゃんと報告して完了だからね。明日はギルドに納品を行くわ」
「私も同席いたしましょうか? お嬢様が倒れられていた情報はお父様がギルドに報告しているでしょうから報酬の配分などの話があるかもしれませんので」
「うーん。まあ、私ひとりでも大丈夫よ。きちんと説明して半分は父に渡すように伝えるから」
「そうですね。それがよろしいかと思います。お嬢様も新人とはいえ一人前の調薬師なのですから父親とはいえ他人の調薬したもので報酬を受け取るのはお嬢様のためになりませんから」
ロイルはそう私に言って微笑みかけてくれた。
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