花形スタァの秘密事

和泉臨音

文字の大きさ
3 / 16

第三幕

しおりを挟む

 入団から3年目には俺は主役をするまでになった。凄く腹立たしいことに、男同士の恋愛ものばかりだが。
 5年目には俺の人気は不動になっていた。俺が演じる恋愛ものの演目は全て満員御礼。しかも王女様方も俺のファンだと公言したものだから、余計に俺の人気が出た。ありがたいことだ。

 稽古の都合があるから他の演目に出れないのは判る、だがそれが表向きなのも判っている。しゃぶるのを拒否しているから演出も脚本も嫌がるのを知っていて、わざと俺を男同士の恋愛演目にしか出さないのだ。くだらない。カイがこっそり俺の芝居を見て演出が自慰をしていたと恐ろしいことを教えてくれたが、俺はカイに死んだ目でそういことは言わなくていいと教えた。
 ちなみにこれはカイが悪いわけではなく、ララの馬鹿が俺がどんな反応をするか見たいがためにカイに言わせたことだと後で知った。とりあえずララの腹に蹴りを入れるだけで勘弁してやった。

「なーに今日も不機嫌な顔してるんだよ、シャクナ」

 俺の出番がないシーンの練習をしている舞台上を壁にもたれて眺めていれば、いつのまにかララが隣に立っていた。
 黒い髪に黒い瞳、俺よりも背が高く傍に立つと見下ろされるのが腹が立つ。さらにコイツは顔がいいから腹が立つ。ついでに今回の相手役もコイツなのが腹が立つ。

「勝手に触るな。またお前問題起こしたのか?」
「えー…どうだろ?」

 人の尻を揉み始めた手を乱暴にはたく。耳に顔を近づけてふーっと息を吹きかけてくるが無視だ。

「シャクナが抱かせてくれれば大人しくするんだけどなぁ」

 いつの間にか腰を抱き寄せられて、ララの硬くなったちんこを押し付けられる。

「お前には理性がないのか、稽古中だ。握りつぶしてやろうか」
「やだこわい。優しくお口で奉仕してよ」

 本気で握りつぶしてやろうかと思ったがコイツも第三歌劇団の花形だ、失うと困る。主にチケットの売り上げが。俺は理性を総動員してララの足を、小指だけを狙って思いっきり踏みつけるだけで我慢した。

「いたたたた、シャクナやめて、骨折れる!」
「折れてしまえ」
「や、やめてください。シャクナさん、ララさんが可哀想です」

 俺が無表情でララの足を踏んでいれば、ララの従者のニースが俺の足にしがみついてきた。そしてうるうるした瞳で俺を見上げてくる。ふわふわの金髪に青い大きな瞳が今にも零れ落ちそうで怖い。

「お、ニースお前優しいなぁ。よしちょっと付き合ってくれ」
「はい!」

 犬にでもするように乱暴にニースの頭をララが撫でても、ニースは嬉しそうに笑う。そのまま二人して連れだって稽古場を後にした。ニースに口で奉仕してもらうんだろう。自分の出番の練習までには戻ってくるだろうから黙認する。

 結局ララは誰が相手でも構わないんだ。

「だったら俺にかまうなよ……」

 うんざりした気持ちでつぶやいた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生エルフの天才エンジニア、静かに暮らしたいのに騎士団長に捕まる〜俺の鉄壁理論は彼の溺愛パッチでバグだらけです〜

たら昆布
BL
転生したらエルフだった社畜エンジニアがのんびり森で暮らす話 騎士団長とのじれったい不器用BL

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

【完結】ただの狼です?神の使いです??

野々宮なつの
BL
気が付いたら高い山の上にいた白狼のディン。気ままに狼暮らしを満喫かと思いきや、どうやら白い生き物は神の使いらしい? 司祭×白狼(人間の姿になります) 神の使いなんて壮大な話と思いきや、好きな人を救いに来ただけのお話です。 全15話+おまけ+番外編 !地震と津波表現がさらっとですがあります。ご注意ください! 番外編更新中です。土日に更新します。

俺の居場所を探して

夜野
BL
 小林響也は炎天下の中辿り着き、自宅のドアを開けた瞬間眩しい光に包まれお約束的に異世界にたどり着いてしまう。 そこには怪しい人達と自分と犬猿の仲の弟の姿があった。 そこで弟は聖女、自分は弟の付き人と決められ、、、 このお話しは響也と弟が対立し、こじれて決別してそれぞれお互い的に幸せを探す話しです。 シリアスで暗めなので読み手を選ぶかもしれません。 遅筆なので不定期に投稿します。 初投稿です。

聖獣召喚に巻き込まれた俺、モフモフの通訳をしてたら冷徹騎士団長に外堀を埋められました

たら昆布
BL
完璧っぽいエリート騎士×無自覚な愛され系

貴族軍人と聖夜の再会~ただ君の幸せだけを~

倉くらの
BL
「こんな姿であの人に会えるわけがない…」 大陸を2つに分けた戦争は終結した。 終戦間際に重症を負った軍人のルーカスは心から慕う上官のスノービル少佐と離れ離れになり、帝都の片隅で路上生活を送ることになる。 一方、少佐は屋敷の者の策略によってルーカスが死んだと知らされて…。 互いを思う2人が戦勝パレードが開催された聖夜祭の日に再会を果たす。 純愛のお話です。 主人公は顔の右半分に火傷を負っていて、右手が無いという状態です。 全3話完結。

聖者の愛はお前だけのもの

いちみりヒビキ
BL
スパダリ聖者とツンデレ王子の王道イチャラブファンタジー。 <あらすじ> ツンデレ王子”ユリウス”の元に、希少な男性聖者”レオンハルト”がやってきた。 ユリウスは、魔法が使えないレオンハルトを偽聖者と罵るが、心の中ではレオンハルトのことが気になって仕方ない。 意地悪なのにとても優しいレオンハルト。そして、圧倒的な拳の破壊力で、数々の難題を解決していく姿に、ユリウスは惹かれ、次第に心を許していく……。 全年齢対象。

【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。

桜月夜
BL
 前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。  思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。

処理中です...