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スキルの活用に気付く
第22話 ギルドで依頼を受ける
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「この腰ベルト物凄くいい感じ! 剣を差しているのに全く違和感がない。バランスがいいんだろうな。ドワイトさんと知り合ったのはラッキーだったなー。女将さんに感謝感謝」
機嫌よく鍛冶屋からギルドに向かいながユーフェが楽しそうに呟いていた。今のユーフェは冒険者が休日で身軽な格好をして外出してる感じなのだが、ユーフェの可愛らしさと楽しそうな表情が全てを台無しにしていた。
剣を持っていながらも全く威圧感を放っておらず、冒険者に憧れている貴族の令嬢が単に真似をしているようにしか見えなった。
「ふんふふーん。防具の出来上がりが楽しみだなー。そうだ! 何着か防具をドワイトさんに貸してあげたら参考になるよな。きっといい物のを作ってくれるだろうなー」
楽しそうにしているユーフェがギルドの扉を開けると、視線が自分に一斉に向いたのを感じた。
何事かと周囲を確認すると、そこには可愛いユーフェを愛でるように見ている冒険者や、スライムの魔石取得方法を提供した事に興味津々としているギルド職員。その他にも、自分のパーティーに勧誘しようとする視線も複数あった。
どうやらユーフェを世間知らずな貴族の娘と勘違いしている冒険者達が一定数いるようで、お近づきになり貴族からの指名依頼を受けようと考えているようであった。そんな視線に気付いていないユーフェは、お気楽な感じで掲示板に近付くと内容を眺める。
「うーん。これはマグナアルカナのクエスト受注と同じだなー。ただ……。レベル1で受けられる依頼となるとなー。簡単なのは薬草採取だろうけど、ドワイトさんと街の外には出ないと約束したからなー」
あまり好みの依頼がないと悩んでいるユーフェに受付嬢が話しかけてきた。
「どうかされましたか?」
「いえ、ちょっと依頼を探していて……」
声を掛けてきた受付嬢にユーフェが街の中で受けられる依頼がないと尋ねると、受付嬢はユーフェにこの場で待つように伝え、カウンターに入り何やら紙の束を持って戻ってきた。
「えっと、街の中での依頼ならある程度ありますよ。どうしますか? こちらとして溜まっている依頼ですので、受けてもらえると助かります」
「ちょっと見せてもらっていいですか?」
「ええ。もちろん。決まったら声を掛けてくださいね」
受付嬢から紙の束を受け取ったユーフェはテーブルに並べて確認する。周囲の冒険者達がチラチラと視線を向けていたが、近付こうとする男達は女性冒険者達によってつまみ出されていた。
そんな援護を受けているとは思いもよらないユーフェは、アイテムボックスからジュースとクッキーを取り出すと、ゆったりとした気分で依頼書を眺めるのだった。
◇□ ◇□ ◇□
「うーん。どれにしようかなー。ん? これならいいかも。ちょうど依頼期間も1週間だし。これなら、この依頼だけで時間潰しにはなるかな? すいませーん。これを受けます!」
「はい。こちらですね。私どもとしては助かりますが、本当によろしかったんですか? 依頼料もかなり低いですが」
「ええ、大丈夫ですよ。これが受けたいです。身寄りのいない子供達のお手伝いでですよね?」
ユーフェの問い掛けに受付嬢が小さく頷く。ギルドでも受注者がおらず困っている案件であり、慈善事業に近い依頼であった。それを受けてくれるユーフェはありがたい存在で、受付場は嬉しそうに自分が持っている情報を伝える。
「ありがとうございます! その通りです。こちらは施設お手伝いが中心になります。担当しているシスターが寄付集めをする間に、子供達の面倒や掃除洗濯などをしてもらう事になります。あ、依頼料が少ないですが、食事は出ますし宿泊は施設内で用意してくれますよ。受注されますか?」
「あ、はい、受けます。防具が出来上がるまで1週間掛かるって聞いていたので、街中での活動は私も助かります」
「いえいえ。こちらも本当に助かりますよ。依頼料が安いので、誰も受けない場合は受付嬢が手伝いに行っていましたからね」
ユーフェに依頼内容を説明しながら手続きを進めていく受付嬢。そして孤児院の場所を教えてもらったユーフェは足取り軽く向かうのだった。
機嫌よく鍛冶屋からギルドに向かいながユーフェが楽しそうに呟いていた。今のユーフェは冒険者が休日で身軽な格好をして外出してる感じなのだが、ユーフェの可愛らしさと楽しそうな表情が全てを台無しにしていた。
剣を持っていながらも全く威圧感を放っておらず、冒険者に憧れている貴族の令嬢が単に真似をしているようにしか見えなった。
「ふんふふーん。防具の出来上がりが楽しみだなー。そうだ! 何着か防具をドワイトさんに貸してあげたら参考になるよな。きっといい物のを作ってくれるだろうなー」
楽しそうにしているユーフェがギルドの扉を開けると、視線が自分に一斉に向いたのを感じた。
何事かと周囲を確認すると、そこには可愛いユーフェを愛でるように見ている冒険者や、スライムの魔石取得方法を提供した事に興味津々としているギルド職員。その他にも、自分のパーティーに勧誘しようとする視線も複数あった。
どうやらユーフェを世間知らずな貴族の娘と勘違いしている冒険者達が一定数いるようで、お近づきになり貴族からの指名依頼を受けようと考えているようであった。そんな視線に気付いていないユーフェは、お気楽な感じで掲示板に近付くと内容を眺める。
「うーん。これはマグナアルカナのクエスト受注と同じだなー。ただ……。レベル1で受けられる依頼となるとなー。簡単なのは薬草採取だろうけど、ドワイトさんと街の外には出ないと約束したからなー」
あまり好みの依頼がないと悩んでいるユーフェに受付嬢が話しかけてきた。
「どうかされましたか?」
「いえ、ちょっと依頼を探していて……」
声を掛けてきた受付嬢にユーフェが街の中で受けられる依頼がないと尋ねると、受付嬢はユーフェにこの場で待つように伝え、カウンターに入り何やら紙の束を持って戻ってきた。
「えっと、街の中での依頼ならある程度ありますよ。どうしますか? こちらとして溜まっている依頼ですので、受けてもらえると助かります」
「ちょっと見せてもらっていいですか?」
「ええ。もちろん。決まったら声を掛けてくださいね」
受付嬢から紙の束を受け取ったユーフェはテーブルに並べて確認する。周囲の冒険者達がチラチラと視線を向けていたが、近付こうとする男達は女性冒険者達によってつまみ出されていた。
そんな援護を受けているとは思いもよらないユーフェは、アイテムボックスからジュースとクッキーを取り出すと、ゆったりとした気分で依頼書を眺めるのだった。
◇□ ◇□ ◇□
「うーん。どれにしようかなー。ん? これならいいかも。ちょうど依頼期間も1週間だし。これなら、この依頼だけで時間潰しにはなるかな? すいませーん。これを受けます!」
「はい。こちらですね。私どもとしては助かりますが、本当によろしかったんですか? 依頼料もかなり低いですが」
「ええ、大丈夫ですよ。これが受けたいです。身寄りのいない子供達のお手伝いでですよね?」
ユーフェの問い掛けに受付嬢が小さく頷く。ギルドでも受注者がおらず困っている案件であり、慈善事業に近い依頼であった。それを受けてくれるユーフェはありがたい存在で、受付場は嬉しそうに自分が持っている情報を伝える。
「ありがとうございます! その通りです。こちらは施設お手伝いが中心になります。担当しているシスターが寄付集めをする間に、子供達の面倒や掃除洗濯などをしてもらう事になります。あ、依頼料が少ないですが、食事は出ますし宿泊は施設内で用意してくれますよ。受注されますか?」
「あ、はい、受けます。防具が出来上がるまで1週間掛かるって聞いていたので、街中での活動は私も助かります」
「いえいえ。こちらも本当に助かりますよ。依頼料が安いので、誰も受けない場合は受付嬢が手伝いに行っていましたからね」
ユーフェに依頼内容を説明しながら手続きを進めていく受付嬢。そして孤児院の場所を教えてもらったユーフェは足取り軽く向かうのだった。
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