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もののけとの出会い
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「ええねん。ええねん。楓さんは颯爽と現れて、意味深げな発言をするだけして伏線すら回収されへんキャラやねん」
楓さんが部屋の隅でいじいじとしていた。どうも、私が軽く拘束術を溶かしたのがお気に召さなかったらしい。だって「消えて欲しいなあ」と思いながら触ったら消えたんだもの。仕方ないじゃない。不可抗力よ、不可抗力。
「また、変な事を考えておるのだろう」
なによ。そんな言い方しなくてもいいじゃない! ちょっと落ち込んでいる楓さんも萌えポイントだよね! とか思ってないわよ。
「もうええよ。葉子。美裕はんに、もののけの常識を求めるのは間違いなんよ」
酷い言われよう!
ちょっと待って。確かに私は「もののけの常識」なんて知らないけどさ。私が楓さんに抗議しようとすると、目の前に葉子ちゃんがやってきた。なんだろう?
「美裕には、これから常識を教えてやろうぞ。妾が直接教えてやるから安心するが良い!」
葉子ちゃんが胸を張ってふんぞり返ってる。もう、本当に可愛いよね。私がうんうんと頷きながら葉子ちゃんを眺めていると、なんとか立ち直ったのか楓さんも葉子ちゃんを見てうんうんと頷いていた。
可愛いと思う
「よいか、美裕。我らが使う術には強弱がある。そして強い術を使うには力が必要じゃ。我らは自らの力の他に、お主達人間が『お賽銭』として投げる銭に込められた『想い』を『念い』に変えて使っておる」
「ふんふん。それで?」
「よいか? 我らの力と『念い』の力。両方を使って術を使っておるのに、お主は自らの力のみで術を行使しておる。それも呪い文も使わずにな」
まじないぶん?
まじないは「呪い」で、ぶんは「分」かな? つまりは呪文? 葉子ちゃんが真言ぽいのを唱えていたやつだよね?
「その呪文は唱えないと術は使えないの?」
「いや、そうではないが精度が落ちる。それと呪文じゃない、呪い文じゃ」
どっちでも一緒だと思うけどなー。そんな私の心の内をよんだのか、葉子ちゃんがジト目で見てきた。可愛い。それと楓さんは一瞬こっちをチラッと見たけど、またいじけ始めた。
「ねえ。楓さんの機嫌は直らないの?」
「なにか美味しい物を与えたら、機嫌も直るじゃろう」
えー。そうなの? 確かに楓さんの耳がピクピクと動いてて、こっちの話を聞いてる気がする。仕方ないなー。ここはとっておきを出すとしようじゃないか。
「楓さん。こっちでお菓子を一緒に食べようよ。クッキーとチョコレートが一緒になっているラングドシャがあるよ」
「ふ、ふーん。葉子には緑寿庵清水の金平糖とか阿闍梨餅とかを渡すのに、私にはコンビニのお菓子なんだー。へー。ふーん」
わー。楓さんが面倒臭くなってる。仕方ないなー。葉子ちゃんに渡した以外のお菓子は用意してないのだよ。あれが虎の子だったからね。
「じゃあ、これから買いに行きます? 伏見稲荷なら色々と和菓子も洋菓子もあるよ」
「私の縄張りはここよ。むしろ私の方が詳しいわね。仕方ないなー。じゃあ、まずはお菓子食べてから出ようか――」
「姉さま! それよりも話をしないと」
そうだった。もののけの話を聞いとかないと、この状況が分からないよね。
「使役の話は私と葉子ちゃんが一蓮托生だと分かったけど、さっきの選別の儀とはなんですか? なにを選別するの?」
私の言葉に楓さんは目がキランと輝くと、勢いよく立ち上がって笑顔になった。
「ふふーん。知らんやろ? やっぱり知らんよね。仕方ないなー。ここは楓さん自ら教えてあげようやないの!」
良かった。機嫌が直ってくれた。
楓さんが部屋の隅でいじいじとしていた。どうも、私が軽く拘束術を溶かしたのがお気に召さなかったらしい。だって「消えて欲しいなあ」と思いながら触ったら消えたんだもの。仕方ないじゃない。不可抗力よ、不可抗力。
「また、変な事を考えておるのだろう」
なによ。そんな言い方しなくてもいいじゃない! ちょっと落ち込んでいる楓さんも萌えポイントだよね! とか思ってないわよ。
「もうええよ。葉子。美裕はんに、もののけの常識を求めるのは間違いなんよ」
酷い言われよう!
ちょっと待って。確かに私は「もののけの常識」なんて知らないけどさ。私が楓さんに抗議しようとすると、目の前に葉子ちゃんがやってきた。なんだろう?
「美裕には、これから常識を教えてやろうぞ。妾が直接教えてやるから安心するが良い!」
葉子ちゃんが胸を張ってふんぞり返ってる。もう、本当に可愛いよね。私がうんうんと頷きながら葉子ちゃんを眺めていると、なんとか立ち直ったのか楓さんも葉子ちゃんを見てうんうんと頷いていた。
可愛いと思う
「よいか、美裕。我らが使う術には強弱がある。そして強い術を使うには力が必要じゃ。我らは自らの力の他に、お主達人間が『お賽銭』として投げる銭に込められた『想い』を『念い』に変えて使っておる」
「ふんふん。それで?」
「よいか? 我らの力と『念い』の力。両方を使って術を使っておるのに、お主は自らの力のみで術を行使しておる。それも呪い文も使わずにな」
まじないぶん?
まじないは「呪い」で、ぶんは「分」かな? つまりは呪文? 葉子ちゃんが真言ぽいのを唱えていたやつだよね?
「その呪文は唱えないと術は使えないの?」
「いや、そうではないが精度が落ちる。それと呪文じゃない、呪い文じゃ」
どっちでも一緒だと思うけどなー。そんな私の心の内をよんだのか、葉子ちゃんがジト目で見てきた。可愛い。それと楓さんは一瞬こっちをチラッと見たけど、またいじけ始めた。
「ねえ。楓さんの機嫌は直らないの?」
「なにか美味しい物を与えたら、機嫌も直るじゃろう」
えー。そうなの? 確かに楓さんの耳がピクピクと動いてて、こっちの話を聞いてる気がする。仕方ないなー。ここはとっておきを出すとしようじゃないか。
「楓さん。こっちでお菓子を一緒に食べようよ。クッキーとチョコレートが一緒になっているラングドシャがあるよ」
「ふ、ふーん。葉子には緑寿庵清水の金平糖とか阿闍梨餅とかを渡すのに、私にはコンビニのお菓子なんだー。へー。ふーん」
わー。楓さんが面倒臭くなってる。仕方ないなー。葉子ちゃんに渡した以外のお菓子は用意してないのだよ。あれが虎の子だったからね。
「じゃあ、これから買いに行きます? 伏見稲荷なら色々と和菓子も洋菓子もあるよ」
「私の縄張りはここよ。むしろ私の方が詳しいわね。仕方ないなー。じゃあ、まずはお菓子食べてから出ようか――」
「姉さま! それよりも話をしないと」
そうだった。もののけの話を聞いとかないと、この状況が分からないよね。
「使役の話は私と葉子ちゃんが一蓮托生だと分かったけど、さっきの選別の儀とはなんですか? なにを選別するの?」
私の言葉に楓さんは目がキランと輝くと、勢いよく立ち上がって笑顔になった。
「ふふーん。知らんやろ? やっぱり知らんよね。仕方ないなー。ここは楓さん自ら教えてあげようやないの!」
良かった。機嫌が直ってくれた。
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