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お気に召したようで安心しましたわ
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「おい!お前たち!飲み過ぎるなよ。明日も仕事があるんだぞ!」
キリウスが声を張り上げた。
「まあ、お疲れですのに明日もお仕事がおありになりますの?」
「仕事というか訓練ですね。明日は全員参加にするつもりです。今日の奴らは少し気を抜きすぎです。辛い野営のはずが屋内で眠れるだけでも浮かれるのでしょうが、この歓待ですからね」
「そう言っていただけると少し安心いたしますが、ベッドさえも無いことが本当に申し訳なくって・・・」
ティナは涙を浮かべて見せた。
「とっ・・・とんでもございません!私たちは冬の屋外でも眠れるほどの装備を持っておりますのでどうぞお気遣いなく」
キリウスが慌てて言い訳をした。
「そうですよ・・・雨水が浸み込んでこないだけでも天国のように感じます。改めてありがとう・・・レディティナ」ハーベストが続ける。
目をウルウルさせたままでティナはハーベストの顔を見た。
ものすごい勢いで好感度が上がっているのが手に取るようにわかる。
ハーベストがティナの手を取り優しい声で言った。
「レディティナ・・・お美しい・・・」
(よっしゃ!ゲット!)
ティナは上品な微笑を浮かべながら心の中で渾身のガッツポーズを決めた。
あくる朝は皇子も二日酔いだったらしく、朝練は中止と通達された。
それを受けて用意したブランチは胃に優しい野菜のスープと甘くないパンケーキだ。
「おはようございます」
騎士たちがヨレッとした顔でロビーに下りてくる。
「おはようございます。あらあら・・・皆さまお疲れが出てしまったご様子ですこと」
ティナは明るく笑いかけた。
皆が揃った頃にキリウスとハーベストも姿を見せた。
この二人はさすがにキリっとした姿だ。
「おはようレディティナ。昨日はさすがに羽目を外し過ぎました・・・面目ない」
「あら、ハーベスト様。それにレーベン卿もおはようございます。少しはお休みになれまして?」
「勿論です。こんなにゆっくり眠れたのは国を出発してから初めてですよ。本当に心より感謝いたします」
キリウスが恭しく胸に手を当てて礼をした。
「さあ、ブランチをご用意しておりますので・・・今日の紅茶は胃にも優しいハイビスカスを少し入れてみたのですが如何でしょう?ミルクがおすすめですわ」
「レディティナ・・・何から何まで本当にありがとう・・・」
「お役に立てるだけで光栄ですわ、ハーベスト様」
そんな会話を楽しんでいたがふと振り向くとビスタとリアが慌ただしく厨房とロビーを往復していた。
思っていたより料理の売れ行きが良いようだ。
ティナも手伝いに向かうことにした。
「どうぞ今日くらいはゆっくりなさって下さいね。私は厨房を見て参りますので」
そういうと貴族令嬢らしい礼をしてティナは厨房に向かった。
騎士たちから見えない位置まで優雅に歩くと厨房に駆け込む。
「手伝うわ!何をすればよいかしら?」
ビスタが手を止めずに振返った。
「いえ、そろそろ落ち着きました。あっ・・・それではお嬢様お茶の追加をお願いできますか?リアが奮闘しているのですが追いつかず・・・」
「わかったわ」
大鍋でグラグラと湧いている湯を柄杓で掬い並べたティーポットに注いでいく。
ふわっと茶葉が香り、それを追い越すようにハイビスカスの酸味を感じるような香りが流れた。
リアが次々にミルクポットと一緒にロビーに運んでいる。
やはり3人で30人の配膳は大仕事だったがここからが本当の勝負だ。
ティナは柄杓を握った手に力を込めた。
食事を終えた騎士たちはそれぞれの仕事に向かった。
明日からは本格的に始動するらしい。
ティナも食材のストックの確認や、追加発注の指示を出したりと忙しい時間を過ごし夜になった。
「じゃあ行ってくるわ。なんとか誤魔化してね」
キリウスが声を張り上げた。
「まあ、お疲れですのに明日もお仕事がおありになりますの?」
「仕事というか訓練ですね。明日は全員参加にするつもりです。今日の奴らは少し気を抜きすぎです。辛い野営のはずが屋内で眠れるだけでも浮かれるのでしょうが、この歓待ですからね」
「そう言っていただけると少し安心いたしますが、ベッドさえも無いことが本当に申し訳なくって・・・」
ティナは涙を浮かべて見せた。
「とっ・・・とんでもございません!私たちは冬の屋外でも眠れるほどの装備を持っておりますのでどうぞお気遣いなく」
キリウスが慌てて言い訳をした。
「そうですよ・・・雨水が浸み込んでこないだけでも天国のように感じます。改めてありがとう・・・レディティナ」ハーベストが続ける。
目をウルウルさせたままでティナはハーベストの顔を見た。
ものすごい勢いで好感度が上がっているのが手に取るようにわかる。
ハーベストがティナの手を取り優しい声で言った。
「レディティナ・・・お美しい・・・」
(よっしゃ!ゲット!)
ティナは上品な微笑を浮かべながら心の中で渾身のガッツポーズを決めた。
あくる朝は皇子も二日酔いだったらしく、朝練は中止と通達された。
それを受けて用意したブランチは胃に優しい野菜のスープと甘くないパンケーキだ。
「おはようございます」
騎士たちがヨレッとした顔でロビーに下りてくる。
「おはようございます。あらあら・・・皆さまお疲れが出てしまったご様子ですこと」
ティナは明るく笑いかけた。
皆が揃った頃にキリウスとハーベストも姿を見せた。
この二人はさすがにキリっとした姿だ。
「おはようレディティナ。昨日はさすがに羽目を外し過ぎました・・・面目ない」
「あら、ハーベスト様。それにレーベン卿もおはようございます。少しはお休みになれまして?」
「勿論です。こんなにゆっくり眠れたのは国を出発してから初めてですよ。本当に心より感謝いたします」
キリウスが恭しく胸に手を当てて礼をした。
「さあ、ブランチをご用意しておりますので・・・今日の紅茶は胃にも優しいハイビスカスを少し入れてみたのですが如何でしょう?ミルクがおすすめですわ」
「レディティナ・・・何から何まで本当にありがとう・・・」
「お役に立てるだけで光栄ですわ、ハーベスト様」
そんな会話を楽しんでいたがふと振り向くとビスタとリアが慌ただしく厨房とロビーを往復していた。
思っていたより料理の売れ行きが良いようだ。
ティナも手伝いに向かうことにした。
「どうぞ今日くらいはゆっくりなさって下さいね。私は厨房を見て参りますので」
そういうと貴族令嬢らしい礼をしてティナは厨房に向かった。
騎士たちから見えない位置まで優雅に歩くと厨房に駆け込む。
「手伝うわ!何をすればよいかしら?」
ビスタが手を止めずに振返った。
「いえ、そろそろ落ち着きました。あっ・・・それではお嬢様お茶の追加をお願いできますか?リアが奮闘しているのですが追いつかず・・・」
「わかったわ」
大鍋でグラグラと湧いている湯を柄杓で掬い並べたティーポットに注いでいく。
ふわっと茶葉が香り、それを追い越すようにハイビスカスの酸味を感じるような香りが流れた。
リアが次々にミルクポットと一緒にロビーに運んでいる。
やはり3人で30人の配膳は大仕事だったがここからが本当の勝負だ。
ティナは柄杓を握った手に力を込めた。
食事を終えた騎士たちはそれぞれの仕事に向かった。
明日からは本格的に始動するらしい。
ティナも食材のストックの確認や、追加発注の指示を出したりと忙しい時間を過ごし夜になった。
「じゃあ行ってくるわ。なんとか誤魔化してね」
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