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初日のおもてなし
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「この度のご厚意、感謝に堪えません。ありがとうレディティナ」
「そんなっ・・・この程度のおもてなししかできず・・・申し訳無いことでございますわ」
ハーベストはにこっと笑ってワインを飲んだ。
キリウスは空腹なのだろう、さっさとパンに手を伸ばす。
「殿下、このパン美味しいですよ!焼きたてでふわふわです。野営で食べるカチカチのパンとはわけが違う!実に旨い!」
「そうか!有難くいただけ。あっ!自分ばかり食べるな!私にもひとつ寄越せ!」
幼馴染で乳兄弟というだけあって本当に気心が知れているのだろう。
二人の様子を見てまわりの騎士たちも笑っている。
場の雰囲気を壊さないようにそっとティナは厨房に向かった。
「どう?お料理は足りてるかしら?」
「ああ、お嬢様。お若い人達は召し上がるのも早いですなぁ・・・今ローストチキンが焼きあがりましたのでお出しするところです」
「ああ、ありがとう。苦労をかけるけどよろしくね」
「勿論です。なんだか楽しいですね。お嬢様がお生まれになった頃の華やかな活気が戻って来たようで嬉しいですよ」
「頑張りましょうね。ビスタ!」
リアが厨房に駆けこんできた。
「ああ、お嬢様。丁度良かった。ワインが無くなりそうです。新しい樽をお出ししてもよろしいですか?」
「勿論よ!手伝いましょう」
「いえ、お嬢様。あの方たちが運んでくださいますので」
リアの指さす方を見るとニコニコと笑って二人の騎士が立っていた。
「良かったわ。さあリア、すぐにお出ししてちょうだい。それも無くなったらどんどんお出しして構わないから」
「わかりました」
リアが二人の騎士を連れて地下の倉庫に向かった。
大皿に切り分けられた焼きたてのローストチキンが並んでいく。
ドレスを汚さないように気をつけながらティナは皿を持った。
「お嬢様・・・大丈夫ですか?」
「大丈夫よ!私が市場の食堂で働いていること忘れたの?」
「ああ、そうでした。それではよろしくお願い致します」
香ばしい焼き色が食欲をそそる皿を持ってティナはロビーに向かった。
かなり重いがなんとかハーベストのいるテーブルまで辿り着いく。
ハーベストよりキリウスの方が先にティナに気付いて皿を持ってくれた。
「あ・・・ありがとう・・・ございます・・・レーベン卿・・・重かったです」
「当たり前です!こんな・・・ご令嬢が運ぶような重さではありません!どうぞご指示ください。我々が運びますので」
ハーベストが驚いて振り向いた。
「レディ?レディティナが持ってこられたのですか?この皿を?」
「はい。大丈夫だと思ったのですが、さすがに少し重たかったようです。落とさなくて良かったですわ」
「当たり前です!おい!キリウス!お前もっと早く気付けよ」
「殿下なんて皿が置かれるまで気付かなかったじゃないですか?」
「そ・・・それは・・・」
まわりがどっと笑う。
ハーベストもキリウスもつられて笑った。
どうやらハーベストは気位が高いだけの王族ではないようだ。
ティナはホッと胸をなでおろした。
(よかった・・・王族然とした使えないお坊ちゃんだったら作戦変更しなきゃって思ってたけど、このままのシナリオでいけそうね)
「さあさあ、皆さま。私が無理をしたばかりにご心配をお掛けしてしまいましたわ。申し訳ございません。どうぞ熱いうちにお召し上がりくださいませ。ビスタの焼くローストチキンは我が家の自慢ですのよ」
一斉に食器の音がロビーに響き消えるようにチキンが無くなっていく。
すると階段付近でワッと歓声が上がった。
見ると先ほどの騎士たちが新しいワインの樽を運び込んだところだった。
(あと何樽あったけ・・・明日には全部の在庫を確認して買い足さなくちゃ)
「そんなっ・・・この程度のおもてなししかできず・・・申し訳無いことでございますわ」
ハーベストはにこっと笑ってワインを飲んだ。
キリウスは空腹なのだろう、さっさとパンに手を伸ばす。
「殿下、このパン美味しいですよ!焼きたてでふわふわです。野営で食べるカチカチのパンとはわけが違う!実に旨い!」
「そうか!有難くいただけ。あっ!自分ばかり食べるな!私にもひとつ寄越せ!」
幼馴染で乳兄弟というだけあって本当に気心が知れているのだろう。
二人の様子を見てまわりの騎士たちも笑っている。
場の雰囲気を壊さないようにそっとティナは厨房に向かった。
「どう?お料理は足りてるかしら?」
「ああ、お嬢様。お若い人達は召し上がるのも早いですなぁ・・・今ローストチキンが焼きあがりましたのでお出しするところです」
「ああ、ありがとう。苦労をかけるけどよろしくね」
「勿論です。なんだか楽しいですね。お嬢様がお生まれになった頃の華やかな活気が戻って来たようで嬉しいですよ」
「頑張りましょうね。ビスタ!」
リアが厨房に駆けこんできた。
「ああ、お嬢様。丁度良かった。ワインが無くなりそうです。新しい樽をお出ししてもよろしいですか?」
「勿論よ!手伝いましょう」
「いえ、お嬢様。あの方たちが運んでくださいますので」
リアの指さす方を見るとニコニコと笑って二人の騎士が立っていた。
「良かったわ。さあリア、すぐにお出ししてちょうだい。それも無くなったらどんどんお出しして構わないから」
「わかりました」
リアが二人の騎士を連れて地下の倉庫に向かった。
大皿に切り分けられた焼きたてのローストチキンが並んでいく。
ドレスを汚さないように気をつけながらティナは皿を持った。
「お嬢様・・・大丈夫ですか?」
「大丈夫よ!私が市場の食堂で働いていること忘れたの?」
「ああ、そうでした。それではよろしくお願い致します」
香ばしい焼き色が食欲をそそる皿を持ってティナはロビーに向かった。
かなり重いがなんとかハーベストのいるテーブルまで辿り着いく。
ハーベストよりキリウスの方が先にティナに気付いて皿を持ってくれた。
「あ・・・ありがとう・・・ございます・・・レーベン卿・・・重かったです」
「当たり前です!こんな・・・ご令嬢が運ぶような重さではありません!どうぞご指示ください。我々が運びますので」
ハーベストが驚いて振り向いた。
「レディ?レディティナが持ってこられたのですか?この皿を?」
「はい。大丈夫だと思ったのですが、さすがに少し重たかったようです。落とさなくて良かったですわ」
「当たり前です!おい!キリウス!お前もっと早く気付けよ」
「殿下なんて皿が置かれるまで気付かなかったじゃないですか?」
「そ・・・それは・・・」
まわりがどっと笑う。
ハーベストもキリウスもつられて笑った。
どうやらハーベストは気位が高いだけの王族ではないようだ。
ティナはホッと胸をなでおろした。
(よかった・・・王族然とした使えないお坊ちゃんだったら作戦変更しなきゃって思ってたけど、このままのシナリオでいけそうね)
「さあさあ、皆さま。私が無理をしたばかりにご心配をお掛けしてしまいましたわ。申し訳ございません。どうぞ熱いうちにお召し上がりくださいませ。ビスタの焼くローストチキンは我が家の自慢ですのよ」
一斉に食器の音がロビーに響き消えるようにチキンが無くなっていく。
すると階段付近でワッと歓声が上がった。
見ると先ほどの騎士たちが新しいワインの樽を運び込んだところだった。
(あと何樽あったけ・・・明日には全部の在庫を確認して買い足さなくちゃ)
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