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21 対決①
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竜神が三つ目の樽に首を動かそうとしていた時、胸の石が急に熱を帯びた。
「サーフェス?」
「奴が近寄ってきている。恐らく奴も逆鱗を狙っているのだろう」
「逆鱗を?」
「ああ、奴は丸腰だからな。オオクニヌシも砕きクサナギも手元にはない。まあどちらにも魂は入っていないから唯の脆い銅剣だから必要ないと思っているのだろう。奴は魔剣を手に入れようとしている」
僕はクサナギを握りしめた。
竜神はすでに酩酊状態だ。
今なら簡単に倒せるかもしれない。
僕は竜神にジリジリと近づいた。
ウサギ姫は兵に囲まれて安全な場所に退避しながらも、胸の前で手を合わて震えながらこちらを見ている。
「トオル!祠の上だ!飛べ!」
僕は祠の上に視線を移した。
黒い靄がゆらゆらと集まって人の形になっていく。
「あれがヤマトタケル?」
「ああ、魂半分の半端野郎だ。行くぞ!」
僕は飛べと自分に言い聞かせて黒い靄の方を凝視した。
ふわっと体が浮き、頭から黒い靄へ突っ込んでいく。
クサナギを両手で突き出したような格好で、僕は人の形をした靄の真ん中を切り裂いた。
手ごたえは…無い。
突き抜けたあと、慌てて振り返ると霧散したはずの靄が再び集合体になろうとしていた。
「落ち着いて。じっくりと見極めろ。一番闇が深いところに魂の欠片があるはずだ」
サーフェスの声に頷き、僕はホバーリング態勢をとった。
真っ黒なヤマトタケルがこちらを見てニヤッと笑った。
悪寒が走るが後には引けない。
ウサギ姫が涙目でこちらを見上げていた。
「かかってこい!」
僕は己を奮い立たせるために、わざと大きな声で挑発した。
するとヤマトタケルは僕に向かって突っ込んできた。
周りを黒い霧で囲まれ、視界を奪われた。
「霧を吸うな!」
慌てて息を止めたが、そう長いことも止めているのは無理だ。
僕は霧を払うために闇雲にクサナギを振り回した。
振り回した所の霧は霧散するが、すぐにまた集まってきて視界を遮ろうとする。
こんな事をして何が目的だ?攻撃もしてこないなんて。
何かから僕を引き離そうとしているだけのようだ。
「あっ!」
僕は切り裂いた霧の隙間から竜神のいる場所を確認し飛んだ。
黒い霧もついてくるが、僕の方がスピードが早かった。
「逃げろ!竜神!逃げてくれ!」
僕の声に酔って足元が覚束なくなっている竜神がよろよろと移動し始めた。
僕を通り越して黒い霧が竜神を取り囲む。
僕は慌てて竜神のもとに走り、必死で黒い霧を追い払った。
霧の隙間から何か光るものが見えた。
ウサギ兵の剣だ。
「やめろ!」
振り回していたクサナギを構えなおし、降り下ろされた剣を受け止めた。
剣を撥ね返した拍子に黒い霧に隙間ができて、僕は剣を握りしめるヤマトタケルの姿を確認した。
「竜神!早く逃げろ!森へ入れ!池はダメだ!」
僕は背中に庇った竜神に叫ぶが、竜神はのろのろと池に向かって行く。
「ダメだ!酔って水に入ったらダメなんだ!溺れてしまうぞ!止まれ!止めってくれ!」
僕は自分で殺そうとしていた竜神を守ろうとしていた。
ウサギ姫を生贄にしないために酒まで飲ませて殺そうとしていたはずなのに…
酒を勧める僕を見た竜神の目は邪気の欠片も無かった。
その澄んだ目の中にある怯えに僕は気づいていたんだ。
この竜神はまだ子供だと。
「やめろ!森へ行け!」
僕は迫りくる黒い霧を薙ぎ払いながら、必死で声を掛け続けた。
目の端で捉えた竜神は頭から池に入ろうとしている。
「ダメだ!」
僕は竜神に駆け寄ろうと黒い霧に背を向けた。
背中に鋭い痛みが走ったが、皮膚を裂かれただけだと判断した。
竜神の首に手を巻き付け、僕は池から引き離そうとした。
腕に力を入れるたびに、背中から血が吹き出すのがわかる。
感じた以上に傷が深いのかもしれない。
「ダメよ!行ってはダメですわ!こちらにおいでなさいまし」
僕の腕が柔らかいフワ毛に触れた。
ウサギ姫だ。
ウサギ兵達も全員で竜神を池から引き剝がそうとしていた。
全員がぶるぶると震えながらも竜神に取り付いている。
「頼んだぞ」
「はい!」
僕は竜神から黒い霧を引きはがすために力をふり絞って立ち上がった。
「サーフェス?」
「奴が近寄ってきている。恐らく奴も逆鱗を狙っているのだろう」
「逆鱗を?」
「ああ、奴は丸腰だからな。オオクニヌシも砕きクサナギも手元にはない。まあどちらにも魂は入っていないから唯の脆い銅剣だから必要ないと思っているのだろう。奴は魔剣を手に入れようとしている」
僕はクサナギを握りしめた。
竜神はすでに酩酊状態だ。
今なら簡単に倒せるかもしれない。
僕は竜神にジリジリと近づいた。
ウサギ姫は兵に囲まれて安全な場所に退避しながらも、胸の前で手を合わて震えながらこちらを見ている。
「トオル!祠の上だ!飛べ!」
僕は祠の上に視線を移した。
黒い靄がゆらゆらと集まって人の形になっていく。
「あれがヤマトタケル?」
「ああ、魂半分の半端野郎だ。行くぞ!」
僕は飛べと自分に言い聞かせて黒い靄の方を凝視した。
ふわっと体が浮き、頭から黒い靄へ突っ込んでいく。
クサナギを両手で突き出したような格好で、僕は人の形をした靄の真ん中を切り裂いた。
手ごたえは…無い。
突き抜けたあと、慌てて振り返ると霧散したはずの靄が再び集合体になろうとしていた。
「落ち着いて。じっくりと見極めろ。一番闇が深いところに魂の欠片があるはずだ」
サーフェスの声に頷き、僕はホバーリング態勢をとった。
真っ黒なヤマトタケルがこちらを見てニヤッと笑った。
悪寒が走るが後には引けない。
ウサギ姫が涙目でこちらを見上げていた。
「かかってこい!」
僕は己を奮い立たせるために、わざと大きな声で挑発した。
するとヤマトタケルは僕に向かって突っ込んできた。
周りを黒い霧で囲まれ、視界を奪われた。
「霧を吸うな!」
慌てて息を止めたが、そう長いことも止めているのは無理だ。
僕は霧を払うために闇雲にクサナギを振り回した。
振り回した所の霧は霧散するが、すぐにまた集まってきて視界を遮ろうとする。
こんな事をして何が目的だ?攻撃もしてこないなんて。
何かから僕を引き離そうとしているだけのようだ。
「あっ!」
僕は切り裂いた霧の隙間から竜神のいる場所を確認し飛んだ。
黒い霧もついてくるが、僕の方がスピードが早かった。
「逃げろ!竜神!逃げてくれ!」
僕の声に酔って足元が覚束なくなっている竜神がよろよろと移動し始めた。
僕を通り越して黒い霧が竜神を取り囲む。
僕は慌てて竜神のもとに走り、必死で黒い霧を追い払った。
霧の隙間から何か光るものが見えた。
ウサギ兵の剣だ。
「やめろ!」
振り回していたクサナギを構えなおし、降り下ろされた剣を受け止めた。
剣を撥ね返した拍子に黒い霧に隙間ができて、僕は剣を握りしめるヤマトタケルの姿を確認した。
「竜神!早く逃げろ!森へ入れ!池はダメだ!」
僕は背中に庇った竜神に叫ぶが、竜神はのろのろと池に向かって行く。
「ダメだ!酔って水に入ったらダメなんだ!溺れてしまうぞ!止まれ!止めってくれ!」
僕は自分で殺そうとしていた竜神を守ろうとしていた。
ウサギ姫を生贄にしないために酒まで飲ませて殺そうとしていたはずなのに…
酒を勧める僕を見た竜神の目は邪気の欠片も無かった。
その澄んだ目の中にある怯えに僕は気づいていたんだ。
この竜神はまだ子供だと。
「やめろ!森へ行け!」
僕は迫りくる黒い霧を薙ぎ払いながら、必死で声を掛け続けた。
目の端で捉えた竜神は頭から池に入ろうとしている。
「ダメだ!」
僕は竜神に駆け寄ろうと黒い霧に背を向けた。
背中に鋭い痛みが走ったが、皮膚を裂かれただけだと判断した。
竜神の首に手を巻き付け、僕は池から引き離そうとした。
腕に力を入れるたびに、背中から血が吹き出すのがわかる。
感じた以上に傷が深いのかもしれない。
「ダメよ!行ってはダメですわ!こちらにおいでなさいまし」
僕の腕が柔らかいフワ毛に触れた。
ウサギ姫だ。
ウサギ兵達も全員で竜神を池から引き剝がそうとしていた。
全員がぶるぶると震えながらも竜神に取り付いている。
「頼んだぞ」
「はい!」
僕は竜神から黒い霧を引きはがすために力をふり絞って立ち上がった。
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