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3人が店を出た時にはすでに王弟たちの馬車は王宮に向かっていた。
それを見送るアマデウスにアランが話しかけた。
「で、アマデウスは結局何をしていたんだ?」
恥ずかしそうな顔を向けるアマデウス。
「だって……何かあるんじゃないかって心配になって……」
マリオが吹き出した。
「それは無い。俺とアランが命を賭けて保証する。ルルーシア様と彼らはただの演劇ファン仲間だ。それこそただの友達だよ」
バシバシと背中を叩かれながらアマデウスがボソッと言った。
「その『ただの友達』っていうセリフが胸に痛いよ」
アマデウスは護衛騎士達と一緒に王宮に戻り、それを見送ったふたりはロックス侯爵邸に引き返した。
丁度夕食が始まるタイミングだったようで、食堂に通されたふたりにロックス侯爵が言う。
「せっかくだからお前たちも食べなさい」
ついさっき食べたばかりではあったが、二十歳前の男子の胃袋は底なしだ。
「ありがとうございます!」
「ああ、たくさん食べなさい。今日は我が家自慢のステーキだ」
一瞬だけ無表情になったふたりだったが、結局ペロッと平らげる。
その間にメリディアン侯爵とフェリシア侯爵へロックス家の使用人が走り、デザートが始まる前には三侯爵と三側近が顔をそろえた。
「殿下から直接確認が取れました。やはり宰相です」
ロックス侯爵が頷いた。
「アホばかりでかなわんな」
「ええ、キリウス殿下のお陰でルルーシア様の心は、殿下から離れたという印象も作れていますから、そろそろ売り込んでくるでしょう」
アランの返事に、父親であるフェリシア侯爵が顔を向けた。
「殿下につけたメイドの情報では、カレンに接触しているそうだが?」
アリアが声を出した。
「サマンサとは気付かずに接触しているみたいですわ。休暇明けから少しずつ隙を作って、現場を押さえて一気に捕縛する予定です」
アランが言う。
「そういう仕事は俺がやろう。一応殿下には釘をさしておいたし、俺たち三人は友人になったからね。遠慮なくいかせてもらう」
アランの男前な発言にマリオがひゅっと口笛を吹いた。
メリディアン侯爵が声を出す。
「狙いはやはり正妃の座か? 他国とのつながりやクーデターの気配は全くないが」
ロックスが言う。
「うん、たぶんただの親バカだ。アホくさい。まあ、あの殿下とあの娘が夫婦になれば、自分の天下が来るとでも夢見たんじゃね?」
マリオが聞く。
「宰相の娘って同じ学園のひとつ下だったカリス嬢ですよね? あれって可愛い枠ですか? 俺の美的センスが間違ってるのかな」
アランがゆっくりと首を振る。
「お前は間違っていない」
「安心したよ」
フェリシア侯爵が笑いを堪えながら続けた。
「しかし娘のためにここまでやるか? 一種の謀反だぞ? うちはむさ苦しい男しかいないから良く分からんが、娘のためならできるものなのだろうか」
ロックス侯爵とメリディアン侯爵が視線を逸らした。
アランが場を戻す。
「カレンと接触した時に押さえますか?」
ロックス侯爵が答えた。
「いや、まだだ。まずはゴミを片づけてから動く。そっちの段取りはどうなんだ?」
「すでに5億は回収済みだ。もうフロレンシアに金を貸すやつもおらんさ。時間の問題だな」
メリディアン侯爵の声にロックスが反応した。
「どうやったんだ?」
「なに、簡単だよ。昔の友達に誘われて行った闇カジノで、きれいなおねえちゃんが誘って来ただけさ。あぶく銭を掴んだから気が大きくなったのだろう。素人のくせにハイレートのテーブルについちゃってさぁ。勝てるわけ無いんだよ、いかさまなんだから。しかも勝ったらお姉ちゃんに貢がされ、負けたら相手にされなくなるからまた貢ぐ。実にチョロかった」
「相変わらずえげつないな……きれいなおねえちゃんってお前の知り合い?」
そう言いながらロックス侯爵が小指を立てて見せると、間髪入れず頭をはたかれた。
「お前も知っているよ。うちのキッチンメイドやってるルルだ。彼女はモネ公爵配下の影だった女性さ。ハニトラは専門外だと文句を言っていたが、ノリノリで楽しんでたよ」
「お前んちって凄いのが揃ってるよな……奴の妻と子供は?」
「とっくに実家に逃げ帰っているさ。逃走用の馬車は俺が段取りしたし」
フェリシア侯爵がニヤッと笑った。
「ワートルの方もあとひと月もつかな。奴の所有する鉱山から宝石が出なくなったんだ。いくら掘っても赤字だよ」
ロックス侯爵が同じ質問をした。
「どうやったんだ?」
「うちの人間を鉱山技師として送り込んだ。鉱山の職人も少しずつ入れ替えて見当違いの方向に掘らせているから、出るわけがない。奴が山を手放すのも時間の問題だ。それにメリディアンに払ってもらった金があるから、廃坑したら買いたたいてやろうと思ってる」
「本当にお前たちのやり方はえげつないなぁ。ピリッとくらい良心が痛まない? でもまあ早いに越したことはない。では来月の収穫祭のパーティー後までに片づけよう」
泊っていけというロックス侯爵の誘いに首を振り、アランとマリオは官舎に戻って行った。
それを見送るアマデウスにアランが話しかけた。
「で、アマデウスは結局何をしていたんだ?」
恥ずかしそうな顔を向けるアマデウス。
「だって……何かあるんじゃないかって心配になって……」
マリオが吹き出した。
「それは無い。俺とアランが命を賭けて保証する。ルルーシア様と彼らはただの演劇ファン仲間だ。それこそただの友達だよ」
バシバシと背中を叩かれながらアマデウスがボソッと言った。
「その『ただの友達』っていうセリフが胸に痛いよ」
アマデウスは護衛騎士達と一緒に王宮に戻り、それを見送ったふたりはロックス侯爵邸に引き返した。
丁度夕食が始まるタイミングだったようで、食堂に通されたふたりにロックス侯爵が言う。
「せっかくだからお前たちも食べなさい」
ついさっき食べたばかりではあったが、二十歳前の男子の胃袋は底なしだ。
「ありがとうございます!」
「ああ、たくさん食べなさい。今日は我が家自慢のステーキだ」
一瞬だけ無表情になったふたりだったが、結局ペロッと平らげる。
その間にメリディアン侯爵とフェリシア侯爵へロックス家の使用人が走り、デザートが始まる前には三侯爵と三側近が顔をそろえた。
「殿下から直接確認が取れました。やはり宰相です」
ロックス侯爵が頷いた。
「アホばかりでかなわんな」
「ええ、キリウス殿下のお陰でルルーシア様の心は、殿下から離れたという印象も作れていますから、そろそろ売り込んでくるでしょう」
アランの返事に、父親であるフェリシア侯爵が顔を向けた。
「殿下につけたメイドの情報では、カレンに接触しているそうだが?」
アリアが声を出した。
「サマンサとは気付かずに接触しているみたいですわ。休暇明けから少しずつ隙を作って、現場を押さえて一気に捕縛する予定です」
アランが言う。
「そういう仕事は俺がやろう。一応殿下には釘をさしておいたし、俺たち三人は友人になったからね。遠慮なくいかせてもらう」
アランの男前な発言にマリオがひゅっと口笛を吹いた。
メリディアン侯爵が声を出す。
「狙いはやはり正妃の座か? 他国とのつながりやクーデターの気配は全くないが」
ロックスが言う。
「うん、たぶんただの親バカだ。アホくさい。まあ、あの殿下とあの娘が夫婦になれば、自分の天下が来るとでも夢見たんじゃね?」
マリオが聞く。
「宰相の娘って同じ学園のひとつ下だったカリス嬢ですよね? あれって可愛い枠ですか? 俺の美的センスが間違ってるのかな」
アランがゆっくりと首を振る。
「お前は間違っていない」
「安心したよ」
フェリシア侯爵が笑いを堪えながら続けた。
「しかし娘のためにここまでやるか? 一種の謀反だぞ? うちはむさ苦しい男しかいないから良く分からんが、娘のためならできるものなのだろうか」
ロックス侯爵とメリディアン侯爵が視線を逸らした。
アランが場を戻す。
「カレンと接触した時に押さえますか?」
ロックス侯爵が答えた。
「いや、まだだ。まずはゴミを片づけてから動く。そっちの段取りはどうなんだ?」
「すでに5億は回収済みだ。もうフロレンシアに金を貸すやつもおらんさ。時間の問題だな」
メリディアン侯爵の声にロックスが反応した。
「どうやったんだ?」
「なに、簡単だよ。昔の友達に誘われて行った闇カジノで、きれいなおねえちゃんが誘って来ただけさ。あぶく銭を掴んだから気が大きくなったのだろう。素人のくせにハイレートのテーブルについちゃってさぁ。勝てるわけ無いんだよ、いかさまなんだから。しかも勝ったらお姉ちゃんに貢がされ、負けたら相手にされなくなるからまた貢ぐ。実にチョロかった」
「相変わらずえげつないな……きれいなおねえちゃんってお前の知り合い?」
そう言いながらロックス侯爵が小指を立てて見せると、間髪入れず頭をはたかれた。
「お前も知っているよ。うちのキッチンメイドやってるルルだ。彼女はモネ公爵配下の影だった女性さ。ハニトラは専門外だと文句を言っていたが、ノリノリで楽しんでたよ」
「お前んちって凄いのが揃ってるよな……奴の妻と子供は?」
「とっくに実家に逃げ帰っているさ。逃走用の馬車は俺が段取りしたし」
フェリシア侯爵がニヤッと笑った。
「ワートルの方もあとひと月もつかな。奴の所有する鉱山から宝石が出なくなったんだ。いくら掘っても赤字だよ」
ロックス侯爵が同じ質問をした。
「どうやったんだ?」
「うちの人間を鉱山技師として送り込んだ。鉱山の職人も少しずつ入れ替えて見当違いの方向に掘らせているから、出るわけがない。奴が山を手放すのも時間の問題だ。それにメリディアンに払ってもらった金があるから、廃坑したら買いたたいてやろうと思ってる」
「本当にお前たちのやり方はえげつないなぁ。ピリッとくらい良心が痛まない? でもまあ早いに越したことはない。では来月の収穫祭のパーティー後までに片づけよう」
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