魔法世界の幼女に転生した僕は拗らせ百合少女達に溺愛されています!?

十一屋 翠

文字の大きさ
5 / 22

第5話 お友達の家に行こう

しおりを挟む
「デ、デカい……」

 放課後燐瑚りんごちゃんに連れられて彼女の家にやって来た僕は、その常識外れの大きさに驚愕していた。
 噛呪院かじゅいん家が凄い家だっていうのはクラスメイトから聞いていたけど、まさかここまでの豪邸だったなんて……
 だってこれもう家ってサイズじゃないよ! 遊園地とかそういう商業施設なみの広さなんだけど!?
 門から家の玄関までこんなに移動する事になるとは思ってなかったよ!

「こんな豪邸に住んでる人が現実にいるんだなぁ……」

 まさに別世界。異世界に来て更に異世界に来てしまうとは……

「咲良ちゃん。いらっしゃい!」

 燐瑚ちゃんは玄関の前でくるりと回ってこちらを向くと、改めて僕を出迎えてくれる。

「燐瑚ちゃん、お邪魔します」

「さっ、どうぞ!」

 燐瑚ちゃんに手を取られて屋敷の中に入ると、そこにはズラリと並んだメイドさん達が居た。

「「「おかえりなさいませお嬢様」」」

「ふわっ!?」

「ただいま」

 驚く僕を尻目に、燐瑚ちゃんはごく普通に返事をする。

「私の部屋に行こ、咲良ちゃん」

「う、うん」

 長い廊下をてくてくと歩いて燐瑚ちゃんの部屋に向かう。
 というか、家の中ってこんなに歩くものなんだ……

「燐瑚ちゃんの家って、凄く大きいんだね……」

 正直大きいってレベルじゃないけど。

「大きいだけだよ」

 けれど燐瑚ちゃんは全然に大したことじゃないと返す。
 うーん、小さいころからずっとこの家で暮らしてるから、感覚が麻痺してるんだろうなぁ。

「ここが私の部屋だよ!」

「うわっ、広っ!!」

 案内された燐瑚ちゃんの部屋は驚く程広かった。
 というかこの部屋、僕の家が何軒も入る広さなんですけど……
 ただそれにしては……

「何もない」

 そう、燐瑚ちゃんの部屋は驚く程何もなかった。
 ベッドとテーブル、それに机と本棚があるだけで、あとは何もない。
 まるで体育館をそのまま部屋にしているかのような光景だ。

「こちらへどうぞ」

「う、うん」

 燐瑚ちゃんに促されてテーブルに座ると、そこには温かいお茶とお菓子が用意されていた。
 一体いつの間に……

「どうぞ召し上がれ」

「あっ、うん、頂きます」

 いかにも高価そうなカップを手に取り、僕はお茶を口にする。

「……美味しい」

 ビックリだ。僕はお茶の事なんて全然分からないけど、それでも美味しいと分かるお茶だ。

「良かった。こちらのお菓子もどうぞ」

「うん!」

 促されるままに僕は燐瑚ちゃんの勧めるお菓子を口にする。

「これも美味しい!」

 凄い凄い! スーパーで売ってるセールのケーキとは比べ物にならない美味しさだ!
 クリームが凄く滑らかで、スポンジもしっとりしていてパサパサしてない。何よりケーキ全体が甘過ぎないのが良い!!

「ふふ……」

 ケーキに夢中になっていたら燐瑚ちゃんの笑い声が聞こえた。
 顔を上げると、燐瑚ちゃんはこちらを見ながら凄く嬉しそうに笑っていたんだ。

「可愛い」

「えっ!?」

 つい口から言葉が漏れてしまうと、燐瑚ちゃんがビックリした顔になる。

「燐瑚ちゃん今の顔凄く可愛いよ! やっぱり燐瑚ちゃんは素材が良いんだなぁ。無表情でいるよりも笑っている方が絶対可愛いよ!!」

「か、かわっ!?」

 あっ、今度は照れて真っ赤になってる。
 やっぱり燐瑚ちゃんは可愛いなぁ。

「えと、あの、その……お。お勉強! お勉強しよう!」

 そう言うと燐瑚ちゃんは机から一冊の本を持ってくる。
 本には噛呪院家呪術大全というタイトルが書かれていた。

「これ! ウチの教科書! 私もこれで呪術の勉強をしたから!」

「え? でも良いの? これ噛呪院家の秘密なんじゃ?」

「だ、大丈夫だよ。これは普通に売ってる本だから」

 この世界、呪術の本が普通に売ってるのかぁ。
 まぁ呪術も魔法属性の一つだから、不思議じゃないのかな。

「ウチではまず最初にこの本で呪術の基礎を学んで、それから本格的な呪術を覚えていくの。魔法ってね、基本はどこも同じで応用の段階でそれぞれの魔法使い独自の内容になっていくんだって」

 へぇ、それは知らなかったなぁ。

「ウチだけじゃなくて、他の大きな魔法大家も、自分達が独自に作った魔法参考書を売ってるよ」

「そ、そうなんだ」

 魔法参考書って、受験勉強の参考書みたいだなぁ。
 あ、いや、この世界の魔法は授業にあるし、受験で魔法を習ってもおかしくないのか。

「最初はね、呪術の仕組みについて説明するね」

 そう言って燐瑚ちゃんはページをペラペラとめくって、呪術の仕組みについて書かれたページを開く。
 そこに書かれていたのは……

「あっ、これ教科書に載ってるのと同じだね」

 そう、呪術大全に書かれていたのは、学校の教科書に書かれていた呪術のページと同じないようだった。

「え? でもここはまだ習ってない筈だよ」

「うん。でも僕魔法の教科書は全部読み終わったから」

「全部!?」

 何故か燐瑚ちゃんは僕が教科書を読み終えたと聞くとビックリとしていた。

「うん。全部読んだよ。あと一年生の魔法は全部使えるようになった」

 そうなんだよね。学校を休んでいる一週間、ひたすら魔法の教科書を読み漁っていたから、一年の魔法授業の内容は全部マスターしちゃったんだ。
 一年生に教える内容だから、元中学生の読解力なら簡単だし、内容も簡単なものばかりだったからね。

「す……凄い! 凄いよ咲良ちゃん!!」

 燐瑚ちゃんが頬を紅潮させながら凄い凄いと連呼する。

「私、一年生の分の呪術を覚えるのに2か月もかかったよ!」

「え? ホント!?」

 っていうか、リアル小学一年生で一年分の勉強を呪術だけとはいえ2ヶ月で終わらせるの凄くない?
 いや実際にはそれ以前の年齢でだよね、多分。
 
「ま、魔法だけだから。他の勉強は普通だから」

 実際には遊び半分で読んでたからなぁ。

「じゃあここは?」

 燐瑚ちゃんは呪術大全のページをめくっていき、僕がどこまで学んだのかを確認する。

「これも読んだ」

「ここも?」

「うん、これもだね」

「凄い! 丁度一年生で学ぶ呪術ピッタリ!」

 燐瑚ちゃんが学校とは別人のようにキャッキャとはしゃいでいる。

「じゃあ咲良ちゃんには二年生からの分を教えれば良いんだね」

「うん、よろしくね!」

 やったー! 教科書には載ってない範囲が勉強できるぞ!
 何せ一年生の分を読み終えたらもう読むものが無くてこまってたんだよね。
 でも燐瑚ちゃんは呪術の大家である噛呪院のお嬢さんだから、もっと先の学年の分まで進んでいる筈。
 呪術だけとは言え、魔法の勉強ができるぞー!

 ◆

「あっ、もうこんな時間だ」

 気が付けば窓の外は暗くなっていた。
 魔法の勉強が楽しくてついつい時間を忘れていたよ。

「そろそろ帰らないと」 

「もう帰るの?」

「うん、これ以上遅くなったら迷惑になるからね」

 さすがに初対面の相手の子の家に長居しすぎたよ。

「……全然迷惑じゃないのに」

「え? なに?」

「ううん、何でもない」

 僕はノートを鞄に仕舞うと、帰り支度を済ませる。

「ねぇ咲良ちゃん。今日はウチに泊まっていかない?」

「え?」

「え、えっとね! 変な意味はないの! でも咲良ちゃんに教えていた所が中途半端だったから、ちゃんと切りの良い所まで教えないと良くないかなって! 呪術って使い方を誤ると大変だから! 次にいつ咲良ちゃんが遊びに来るか分からないし! その間にもしも呪術を使わないといけない時が来るかもしれないし!」

 と、燐瑚ちゃんが一気にまくしたてる。
 でもそうか、確かに呪術、呪いだもんね。
 中途半端な知識で使うのは他の魔法よりも危険かもしれない。

「でも家の人に迷惑じゃない?」

「だ、大丈夫だよ! ウチの家族は滅多に顔を見せないから!」

「そうなんだ」

 小学一年生で親と滅多に遭えないって、寂しいんじゃないかなぁ。
 それに学校でのやり取りを見てると、仲の良い友達もいないだろうし……

「うーん、じゃあお母さんに電話してオッケー貰えたらね!」

「うん!」

 結果、母さんからはあっさりとOKが出た。
 どうも一週間入学が遅れた僕に友達が出来た事が嬉しかったみたいだ。
 心配させてごめんよ母さん。

 そんな訳で、今夜は燐瑚ちゃんの家でお泊りとなったのでした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。 敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。 この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。 「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」 無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。 正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。

異世界でぼっち生活をしてたら幼女×2を拾ったので養うことにした【改稿版】

きたーの(旧名:せんせい)
ファンタジー
【毎週火木土更新】 自身のクラスが勇者召喚として呼ばれたのに乗り遅れてお亡くなりになってしまった主人公。 その瞬間を偶然にも神が見ていたことでほぼ不老不死に近い能力を貰い異世界へ! 約2万年の時を、ぼっちで過ごしていたある日、いつも通り森を闊歩していると2人の子供(幼女)に遭遇し、そこから主人公の物語が始まって行く……。 ――― 当作品は過去作品の改稿版です。情景描写等を厚くしております。 なお、投稿規約に基づき既存作品に関しては非公開としておりますためご理解のほどよろしくお願いいたします。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【完結】転生したので悪役令嬢かと思ったらヒロインの妹でした

果実果音
恋愛
まあ、ラノベとかでよくある話、転生ですね。 そういう類のものは結構読んでたから嬉しいなーと思ったけど、 あれあれ??私ってもしかしても物語にあまり関係の無いというか、全くないモブでは??だって、一度もこんな子出てこなかったもの。 じゃあ、気楽にいきますか。 *『小説家になろう』様でも公開を始めましたが、修正してから公開しているため、こちらよりも遅いです。また、こちらでも、『小説家になろう』様の方で完結しましたら修正していこうと考えています。

【完結】モブ令嬢のわたしが、なぜか公爵閣下に目をつけられています

きゅちゃん
ファンタジー
男爵家の三女エリーゼは、前世の記憶を持つ元社畜OL。社交界デビューの夜、壁際でひとりジュースを飲んでいたところを、王国随一の権力者・ヴァルナ公爵カイルにスカウトされる。魔法省の研究員として採用されたエリーゼは、三年間誰も気づかなかった計算の誤りを着任三日で発見。着々と存在感を示していく。一方、公爵の婚約候補と噂されるクロード侯爵令嬢セラフィーヌは、エリーゼを目障りに思い妨害を仕掛けてくるが...

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

ハイエルフの幼女に転生しました。

レイ♪♪
ファンタジー
ネグレクトで、死んでしまったレイカは 神様に転生させてもらって新しい世界で たくさんの人や植物や精霊や獣に愛されていく 死んで、ハイエルフに転生した幼女の話し。 ゆっくり書いて行きます。 感想も待っています。 はげみになります。

処理中です...