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第10話 幕間:大人達の会話
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◆鈴木◆
「いっただきまーす!」
施設内の食堂にやって来た私と咲良さんの前にあらかじめ準備されていた昼食が差し出されます。
メニューは咲良さんの健康を考慮して作られた焼き魚定食サラダ付きです。
「んっ! 美味しい!!」
咲良さんが美味しそうに料理を頬張る姿に思わず心が温かくなります。
「それは良かった。ここは職員が仕事を頑張れるように、食事にも力を入れているんですよ」
「へー、研究施設なのに食べ物に力を入れるなんて、ここってお金持ちなんですね!」
「はははっ、確かにそうかもしれませんね」
子供らしいストレートな物言いですが、悪意も他意もないので不快な気持ちにはなりません。
他愛ない会話を楽しみつつ、頬が膨らむまで料理を詰め込んでリスのような顔になった咲良さんを愛でます。
はぁ、あの方と血がつながっているとは思えない愛らしさですね。
本当にあの方とは似ても似つきません。
先ほども……
「馬鹿な! 何故料理人を呼んではいかんのだ!?」
咲良さんの検査に合わせて昼食を手配していると、春野先生ことお館様が食事の内容に口出しをしてきました。
「駄目に決まっているでしょう。我々は教育委員会から派遣された教員という事になっているのですよ? それが料理人に高級料理を作らせてどうするんですか」
「学校にも料理人くらいおるであろう?」
「居ませんよ。どこの高級ホテルですか」
まったく頭が痛くなります。
お館様は感性が金持ちのそれなので、こういうやらかしをされることが度々あるのです。
普段なら金持ち特有のもの知らずがあっても問題ないのですが、今回は咲良さんに我々の素性を知られる訳にはいきません。
具体的には、咲良さんのお母上である陽乃季お嬢様にですが。
「陽乃季お嬢様にバレると大変ですよ」
「むぅ……しかしのう。咲良も育ちざかりなんじゃから、栄養のある美味しい物を食べさせてやりたいんじゃがのう」
孫に甘いお爺さんですか! いやその通りなのですが。
「はぁ……ここの食堂は下手な大衆レストランより美味しいですから、咲良さんもお喜びになりますよ」
「そうかのう……?」
「寧ろ子供にとって待ち時間の長い高級料理は退屈でしょう。それなら気軽に食べられる食堂の方が良いと思いますよ」
事実、咲良さんは魔法の勉強に興味津々のようですから、食事に時間をかけたくはないでしょうね。
「むぅ、そういうものか……」
などという面倒な一幕は記憶の奥にしまっておきましょう。
◆
「常人の1000倍だと!?」
咲良さんの魔力をお館様に報告すると、予想通りの反応が返ってきました。
「はい、成人の1000倍です」
「信じられん。まだ子供だというのに、なんという才能だ」
まったくです。そしてだからこそ問題でもあります。
「あくまで測定できた魔力量はです。宝玉が虹色になったのを見た職員が慌てて止めさせたそうですので」
「虹色だと!? 魔力崩壊を起こす寸前ではないか!?」
宝玉には魔力を吸収する性質があります。
この性質を利用して魔力の量を調べるのですが、宝玉にも吸収できる魔力の限界があります。
これを超えてしまうと、宝玉は虹色に輝いて自壊してしまうのです。
最悪魔力が暴走して爆発を起こす危険もあります。
まぁ普通ならそんな事にはならないのですけどね。
「魔力の量に関してはまだ我々しか知りませんが、有象無象が咲良さんに群がるのは時間の問題でしょうね」
「むぅ」
やれやれ、頭の痛い話ですね。
しかし咲良さんの才能を考えれば、どれだけ警戒しても考えすぎという事は無いでしょう。
それほどの才能の持ち主なのですから。
「だからこそあたし達を咲良様の教師兼護衛にしたんでしょ?」
と、咲良さんの教師達が会話に加わってきます。
この件は咲良さんの護衛でもある彼女達にとって共有しないといけない情報ですからね。
「魔力に関してはまだ隠すことが出来るでしょうから、今のうちに魔法の制御技術を学ばせるべきでしょうね。あの膨大な魔力は一刻も早く完全な制御を出来るようにした方が良いです」
「呪術対策も本格的に行うべきでしょうね」
「空間魔法もな。転移魔法を使えるようになればいざという時の選択肢が増える。お嬢の魔力なら空間魔法対策を強引に魔力でねじ伏せる事が出来るだろ」
彼等は咲良さんの護衛だけでなく、彼女が自力で問題を対処できるように教育内容を調整する方向で対処するつもりの様ですね。
事実、咲良さんに魔法を教えるのはお館様の我が儘であるところが大きいですから、教科書通りの進行をする必要はないでしょう。
それに彼等も意外に楽しそうです。
それもまた咲良さんが原因でしょうね。
何せ彼女は世界唯一の全属性の使い手にして、常識はずれの魔力の持ち主なのですから。
いち魔法使いとして、どこまで育つか見てみたいという好奇心が湧くのも無理からぬ話です。
「となると、残る問題はあと一つか」
あと一つ? 他に問題があったでしょうか?
「咲良に送る魔法の杖はどんな色が良いかのう?」
……好きにしてください。
「いっただきまーす!」
施設内の食堂にやって来た私と咲良さんの前にあらかじめ準備されていた昼食が差し出されます。
メニューは咲良さんの健康を考慮して作られた焼き魚定食サラダ付きです。
「んっ! 美味しい!!」
咲良さんが美味しそうに料理を頬張る姿に思わず心が温かくなります。
「それは良かった。ここは職員が仕事を頑張れるように、食事にも力を入れているんですよ」
「へー、研究施設なのに食べ物に力を入れるなんて、ここってお金持ちなんですね!」
「はははっ、確かにそうかもしれませんね」
子供らしいストレートな物言いですが、悪意も他意もないので不快な気持ちにはなりません。
他愛ない会話を楽しみつつ、頬が膨らむまで料理を詰め込んでリスのような顔になった咲良さんを愛でます。
はぁ、あの方と血がつながっているとは思えない愛らしさですね。
本当にあの方とは似ても似つきません。
先ほども……
「馬鹿な! 何故料理人を呼んではいかんのだ!?」
咲良さんの検査に合わせて昼食を手配していると、春野先生ことお館様が食事の内容に口出しをしてきました。
「駄目に決まっているでしょう。我々は教育委員会から派遣された教員という事になっているのですよ? それが料理人に高級料理を作らせてどうするんですか」
「学校にも料理人くらいおるであろう?」
「居ませんよ。どこの高級ホテルですか」
まったく頭が痛くなります。
お館様は感性が金持ちのそれなので、こういうやらかしをされることが度々あるのです。
普段なら金持ち特有のもの知らずがあっても問題ないのですが、今回は咲良さんに我々の素性を知られる訳にはいきません。
具体的には、咲良さんのお母上である陽乃季お嬢様にですが。
「陽乃季お嬢様にバレると大変ですよ」
「むぅ……しかしのう。咲良も育ちざかりなんじゃから、栄養のある美味しい物を食べさせてやりたいんじゃがのう」
孫に甘いお爺さんですか! いやその通りなのですが。
「はぁ……ここの食堂は下手な大衆レストランより美味しいですから、咲良さんもお喜びになりますよ」
「そうかのう……?」
「寧ろ子供にとって待ち時間の長い高級料理は退屈でしょう。それなら気軽に食べられる食堂の方が良いと思いますよ」
事実、咲良さんは魔法の勉強に興味津々のようですから、食事に時間をかけたくはないでしょうね。
「むぅ、そういうものか……」
などという面倒な一幕は記憶の奥にしまっておきましょう。
◆
「常人の1000倍だと!?」
咲良さんの魔力をお館様に報告すると、予想通りの反応が返ってきました。
「はい、成人の1000倍です」
「信じられん。まだ子供だというのに、なんという才能だ」
まったくです。そしてだからこそ問題でもあります。
「あくまで測定できた魔力量はです。宝玉が虹色になったのを見た職員が慌てて止めさせたそうですので」
「虹色だと!? 魔力崩壊を起こす寸前ではないか!?」
宝玉には魔力を吸収する性質があります。
この性質を利用して魔力の量を調べるのですが、宝玉にも吸収できる魔力の限界があります。
これを超えてしまうと、宝玉は虹色に輝いて自壊してしまうのです。
最悪魔力が暴走して爆発を起こす危険もあります。
まぁ普通ならそんな事にはならないのですけどね。
「魔力の量に関してはまだ我々しか知りませんが、有象無象が咲良さんに群がるのは時間の問題でしょうね」
「むぅ」
やれやれ、頭の痛い話ですね。
しかし咲良さんの才能を考えれば、どれだけ警戒しても考えすぎという事は無いでしょう。
それほどの才能の持ち主なのですから。
「だからこそあたし達を咲良様の教師兼護衛にしたんでしょ?」
と、咲良さんの教師達が会話に加わってきます。
この件は咲良さんの護衛でもある彼女達にとって共有しないといけない情報ですからね。
「魔力に関してはまだ隠すことが出来るでしょうから、今のうちに魔法の制御技術を学ばせるべきでしょうね。あの膨大な魔力は一刻も早く完全な制御を出来るようにした方が良いです」
「呪術対策も本格的に行うべきでしょうね」
「空間魔法もな。転移魔法を使えるようになればいざという時の選択肢が増える。お嬢の魔力なら空間魔法対策を強引に魔力でねじ伏せる事が出来るだろ」
彼等は咲良さんの護衛だけでなく、彼女が自力で問題を対処できるように教育内容を調整する方向で対処するつもりの様ですね。
事実、咲良さんに魔法を教えるのはお館様の我が儘であるところが大きいですから、教科書通りの進行をする必要はないでしょう。
それに彼等も意外に楽しそうです。
それもまた咲良さんが原因でしょうね。
何せ彼女は世界唯一の全属性の使い手にして、常識はずれの魔力の持ち主なのですから。
いち魔法使いとして、どこまで育つか見てみたいという好奇心が湧くのも無理からぬ話です。
「となると、残る問題はあと一つか」
あと一つ? 他に問題があったでしょうか?
「咲良に送る魔法の杖はどんな色が良いかのう?」
……好きにしてください。
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