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第3話 戦闘・開始
タカヤの返事も聞かずアリシアはタカヤの手を引っ張って歩き出す。
「戦争って、一体何処に行くつもりなんだよ!?」
アリシアは振り返り笑顔で答えた。
「屋敷の外です!」
「外?」
◆
アリシアに引きずられる様に連れられて屋敷の外にでるタカヤ。
そこに見えたものは。
「原っぱ?」
そこは見渡すばかりの平原だった。
周囲には木もなく、河も無い。本当に何も無い平原だった。
後ろを振り返るとそこには今まで自分達の居た屋敷がある。
「この屋敷がタカヤ様の城です!」
「これが、城?」
確かに目の前の屋敷はそこそこ良い家だと理解できるが、それはあくまで屋敷として見ればだ。とてもではないが城とはいえない。
「そしてこの屋敷こそが我等の唯一の領土なのです!」
「…………なに?」
さすがに聞き逃せない言葉だった。アリシアはこの屋敷、いや城が唯一の領土だといったのだ。
「先代陛下が崩御された後、何故か隣国はこの城を狙わず、わが国の領地を少しずつ囲む様に占領して来ました。そしてついに先日残された最後の領地が隣国に支配されたのです。残ったのは城であるこの屋敷と土地のみです」
タカヤは絶句した。
「それ……完全な舐めプじゃねぇか」
「舐めプ?」
舐めプの意味を理解できず首をかしげるアリシア。正直そのリアクションは可愛いと思ったが今はそれ所ではないと焦るタカヤ。
(察するに敵は王様が居なくなってアリシアだけになったこの国を侵略するなんていつでも出来るとタカをくくっている。っていうか実際そうだ。だからステージクリアの条件である敵の城をあえて無視して、それ以外の領地を全部攻略してから最後にゆっくりとこの屋敷を支配するつもりなんじゃねぇのか?)
実際その通りだった。王を失ったファーコミン国に抵抗する力は無く、圧倒的な力による完全な勝利を演出する為にあえて城を狙わなかったのだ。
いくつものゲームを飽きるほど繰り返してきたカズマだからこそ理解できる理由であった。
「ですが大丈夫です! カズマ様と契約した事で私は再び騎士として戦える様になりました。戦える様にさえなればピーシェンの騎士などに後れを取る事などありません!!」
全く説得力の無い言葉だった。目の前で自信満々に語るアリシアの姿はどう見ても可憐な美少女でしかない。その腕も足も華奢で筋肉の欠片も見当たらない。とてもではないが戦争で戦えるような体とは思えなかった。
「あ、あのさアリシア」
「はい!」
元気良く返事をするアリシアに対しタカヤはいかにして血気にはやる少女を説得するかに思考を巡らせる。
「アリシアが戦いたいのは良いんだけどさ、けどやっぱり一人で戦うのは無謀だろ。せめて味方と合流してからとかさ。そう! 国って言う位だから他の国民もいるんだろ?」
咄嗟に思いついた理由を我ながら名案と内心賞賛するタカヤ。だが次の瞬間タカヤは地獄の底に突き落とされる。
「居ませんよ」
「へ?」
「ですから、ファーコミンには私達以外に国民は居ません。騎士の大半は先の戦で戦死しましたし、生き残った者達は陛下が崩御された後、隣国に投降するか他国に逃亡しました。民も隣国の軍隊に町ごと支配されわが国の為に動く者はもはや私しか残っておりません」
予想以上に酷い状況にタカヤはめまいを覚えた。
(完全に詰みじゃん。この状況から逆転するなんてソレこそ漫画の主人公位だろ!)
周囲をすべて敵国に侵略され、戦力は少女が一人。援軍は期待できない。
どうあがいても敗北は必死だった。
(考えろ、考えろ俺! せっかく異世界に来て何でも言う事を聞いてくれる女の子に出会ったんだ。こんな所で勝ち目の無い戦いに突入するなんて絶対駄目だ。何か良い案は……そうだ!)
「アリシア、俺に良い考えがあるんだ」
なるべく平静を装いながらアリシアに語りかけるタカヤ。
「いいかいアリシア。戦争は一人では勝てない。どれだけ個人が強くても一人じゃ限界がある。相手は何千、何万と居るんだからこちらも味方が必要だ」
タカヤの言葉にアリシアも頷いて同意を示す。
「確かにタカヤ様の言う通りです。ですが先程も言った通り、わが国の兵力は私一人、援軍を期待する事はできません」
「分かっているさ。今は居ない。そう今は、だ!」
タカヤは事更語気を強めて語りだす。
「居ないのなら増やせば良い。仲間を求めて旅に出るんだ。そうして十分な戦力を集めたら侵略者である隣国と戦えば良い!」
(完璧だ。非の打ち所の無い理論武装。アリシアも戦力不足を認めたしいざとなれば王として命令すれば良い。アリシアは俺の言う事を何でも聞くと言った。まずはアリシアを連れ出してどこか安全な町へ逃げ出す。そこで一緒に暮らして親睦を深めた後、時間をかけて仲間を探す。勿論見つからなくても良い。一緒に暮らせば色々とチャンスはあるし、今より深い仲になれば危険を冒してまで侵略者と戦おうとはしなくなる筈だ。……多分。まずはここから逃げ出す事が先決だ!)
それがタカヤの考えた完璧なプランだった。
実際タカヤの考えは間違ってはいなかった。タカヤが王として強権を発動させていればアリシアも多少の抵抗こそあれ従った事だろう。
あともう少し行動が早かったならの話だが。
それを証明する様にアリシアは少し悲しそうな顔をしながら首を横に振る。
「タカヤ様、己を過信せず十分な力を集めようとするそのお考えは大変素晴らしいものです。……ですが少々遅かった様です」
「え? 何が?」
アリシアが彼方を指指す。
タカヤはアリシアの白く美しい指に視線を奪われそうになるのを堪え、アリシアが指差した方角に視線を移す。
平原の彼方、屋敷から遠く離れた場所になにやら蠢くものが見える。
「……煙? にしては上に登らないな……」
タカヤは目を凝らしながらその正体が何か観察する。
そしてその何かがこちらに近づいて来ている事に気付いた時、ようやくその正体が分かった。
それは土煙を上げながらやって来る甲冑姿の集団であった。
土煙は彼等の乗る馬が起こしていたのだ。
「何だありゃ!?」
「ピーシェンの騎士団です。周辺の土地をすべて占領した事でようやくここを制圧する気になったのでしょう」
「じゃあすぐに逃げないと! あんな人数が相手じゃ勝てっこないって!!」
冷静に説明するアリシアにタカヤは慌てて逃亡を提案する。
「いえ、彼等は馬に乗っています。そしてこの城には私達を乗せて逃亡する事のできる乗り物はありません。ですのでたとえ逃げ出したとしてもすぐに追いつかれる事でしょう」
そうこう言い合っている内にピーシェンの騎士団は屋敷の前に到着する。
数はおおよそ50名といった所か。軍隊として考えれば少ない数だが、大規模な合戦ではなく残党狩りの為の部隊だと考えれば納得がいく。
何しろタカヤの居るファーコミンの国は自分とアリシアだけが国民で、唯一残った領地は後ろの屋敷だけなのだから寧ろ50人でも多すぎるくらいだ。
ピーシェンの騎士達の中から一人の騎士が出てくる。恐らくは部隊の隊長なのだろう。
彼はアリシアに降伏勧告を始めた。
「お初にお目にかかる、ファーコミンの最後の騎士アリシア=ディクスシス嬢。お会いできて光栄だ。我が名はクークス=ヒューカー、誇り高きピーシェンの騎士である。既に貴様等の王は死に領地もこの小さな屋敷一つ。もはや抵抗は無意味だ。大人しく投降しろ。さすれば我が王の慈悲によって貴様も我がピーシェンの騎士の末席に加えてやろう。さぁ選べ!!」
言いたい事を一方的に喋ったクークスは拒否を許さぬと言わんばかりの口調でアリシアに答えを求める。
するとそれまで黙ってクークスの言葉を聞いていたアリシアが、無言でクークスの前に歩み寄る。
かすかな微笑をクークスに向けるアリシア。
それを恭順の証と受け取ったのか、クークスは下卑た笑顔をアリシアに見せる。
「ふふ、そうだ、それで良い。お前ほどの器量の娘なら陛下もさぞお喜びになられる事だろう。運が良ければ側室になれるかもな」
「なっ!?」
クークスの言葉に思わず声を出して反応してしまうタカヤ。何処の馬の骨とも知れない只の小年、普通ならタカヤの存在など無視されるのだが今回は状況が悪かった。
斥候の偵察によって既にアリシア一人しか住民が居ないはずのファーコミンに人が居たのだ。クークスの任務はファーコミンの完全支配。その為には住民の最後の一人までピーシェンに恭順させる必要がある。
「この屋敷の下男か? まぁ良い。貴様も帝国に服従するのなら特別に奴隷として生かしてやろう」
アリシアが無抵抗で恭順の意を示した事で、クークスは手間をかけずに済むどころか美しいアリシアを王に差し出せば更なる出世を望めると夢想したのだ。
その結果、本来なら命乞いをさせた後で無慈悲に切り捨てたであろうタカヤの命も助かった。
クークスとしては破格の高待遇であったが、逆にそれがアリシアの逆鱗に触れる事となったのを彼は気付かなかった。
「無礼者」
アリシアの口から低い声が漏れる。
「……何?」
最初クークスはその言葉がアリシアから漏れた事に気付かなかった。
だが部下には女が居ない為、消去法的にアリシアの言葉だと気が付いたのだ。
「あのお方は我が主。このファーコミンの国の王スメラギ=タカヤ様です。わが主への侮辱は許しません!」
最初クークスはアリシアの言葉を何かの冗談かと思った。
あのさえない子供が王? このたった一つの屋敷だけが唯一の領地である国の王?
だがアリシアの瞳は本心を物語っていた。騎士として己が主を侮辱され怒りに燃えているのだ。故に同じ騎士であるクークスはその言葉が真実だと理解した。
そして真実を理解したが故にクークスは堪えきれずに笑い出す。
「は、ははははは、はははははははははっ!! この小僧が王? こんなチンケな領地に王だと? いやいやいや、そうかそうか、だがくくくっ、しかしくくく、お似合いじゃないか。チンケな領地にチンケな小僧。成る程成る程」
クークスの笑い声が部下達にも伝染していく。
程なくしてタカヤの周りでは嘲笑の笑い声が蝉の如く合唱を始めていた。
「手っ前ぇ!!」
怒りのあまりクークスを殴り飛ばそうと踏み出したしたタカヤだったが、その間に割って入った兵士達の剣を見てすんでの所で踏みとどまる。
剣を構えた兵士達はニヤニヤとしながらこちらを見ている。
近づいたら殺す、彼等はそう剣で語っていた。
タカヤは動けなかった。相手は戦闘訓練を受け武器と防具で身を固めた戦闘集団。何よりも彼等からは実戦を経験した者が持つ特有の凄みがあった。
それは人を殺す事に対する慣れである。
皮肉にもゲームで鍛えた判断力が冷静に目の前の男達と自分達との戦力差を教えてくれた。勿論それは目の前に突き出された刃物がきっかけであったからだが。
クークスの部下達は手を剣の柄に乗せていた。タカヤが激昂し殴りかかって来たらいつでも切り捨てられる様にだ。それにタカヤが気付いていた訳ではない。タカヤは単純に只の学生の自分では職業軍人には勝てないという常識的判断をしていたから動けないでいたのだ。
格闘技を習っていれば、この男達を煙に巻ける話術と知識があればこんな風にバカにされずに済んだかも知れない。
だがそれは無いものねだりだ。
どれだけ妄想しても、勝てない事実はひっくり返らない。
だからタカヤは突然振って沸いた理不尽をどうやったら回避できるか、それだけを必死で考え続けていた。
タカヤが反論して来ない事で調子に乗ったクークス達はさらにタカヤを煽り立てる。
「悪いなぁ王様。貴方様の騎士は我が王に献上させて貰いますよ。なに、貴方様の騎士が我が王のお気に入りになれば命位は助けてくれると思いますよ」
「隊長、せっかくだからこの嬢ちゃんに楽しませて貰いましょうよ」
「そうっスよ。こんな辺鄙な所まで来させられたんだからその位の楽しみはあってもいいじゃないスか」
調子に乗ったクークスの部下がアリシアを下卑た目で見始める。
「ふむ……そうだな」
クークスはタカヤとアリシアを交互に見つめるとニヤリと笑みをこぼす。
「良いだろう。だが傷は付けるなよ。その娘は陛下に献上するのだからな」
「わっかりましたー!」
部下に許可を出したクークスは後ろに下がり用意された簡易椅子に座る。
部下に襲われようとしているアリシア完全に見世物として見ている態度だ。
クークスの部下達が好色な目付きでアリシアに近づいていく。
「や、止めろ!!」
これからアリシアが受けるであろう行いを想像したタカヤは、半ば無意識にクークスの部下に殴りかかる。
だが素人のタカヤの攻撃など彼等にとってはテレフォンパンチ同然であった。
タカヤに殴りかかられたクークスの部下は、慌てる事無く剣を抜き放ち無造作にタカヤを切り付ける。
クークスは大人しく恭順の意志を示したアリシアがこちらを油断させる為に大人しくしているのだと考えていた。圧倒的戦力差と足の速さの違いを考えたからだろう。だからこちらを油断させておいて馬を奪いタカヤと共に逃げ出すつもりなのだと。
故に部下達の自由にさせる事でタカヤを挑発し傷を負わせる、治療と引き換えにアリシアを拘束した後でゆっくりとタカヤを殺すつもりでいた。
只の下男なら問題なかったのだがタカヤはアリシアの王。この世界において敵国の王を殺すのは戦略として当然の行為だからだ。
だが、致命傷を負った筈だったタカヤの拳はクークスの部下の顔面に直撃する。
「ぶぇぁっ!?」
まさかの事態にバランスを崩し、もんどりうって倒れるクークスの部下。
「なっ??」
クークスは驚愕していた。確かに部下はタカヤを切り捨てた筈だと。なのに何故かタカヤは無傷であまつさえ部下を殴り倒した。
そしてクークスの部下もまた困惑していた。切り殺したと思ったタカヤから攻撃を受けたからである。男の口の中に鉄の味が広がる。
「貴様ぁぁぁぁ!!」
たかが子供に殴られた怒りに彼は震えた。
「殺す!!」
だがタカヤに攻撃が当たらない。何度振りかぶってもだ。
「オラァァァ!!」
攻撃を外した自分に対し再びタカヤの拳がめり込む。
「ぐはぁ!!」
何故当たらないのかと己の手に収まる剣を見るクークスの部下。
しかしそこに愛刀の姿は無かった。それ所か剣を握っている筈の手すらなかったのだ。
「なぁぁぁぁぁ!?」
手の無くなった腕から大量の血が流れる。慌てて血を止めようともう片方の手で塞ごうとしたらその手もまた無くなっている事に気付く。
「お。俺の手がぁぁぁぁ」
両手が無くなっている事にパニックを起こすクークスの部下。
「せいやぁぁぁぁぁ!!」
次の瞬間タカヤからトドメの一撃を受けたクークスの部下は地面に叩きつけられた後、数回ほど痙攣した後動きを止めた。
◆
タカヤによってクークスの部下が倒される直前。
クークス達は目の前で突然部下の両手が落ちた事に驚き言葉を失っていた。
そしてその直後、タカヤに殴られた部下が意識を失ったのを見て、ようやく我に返ったクークスは部下に命令を飛ばす。
「な、何をしておる、さっさとその小僧を斬れ!」
しかしそこに純白の影が立ちはだかる。
「これより先は我が王の戦場。何人たりともこの先には通しません」
その影はアリシアだった。
一瞬クークス達はアリシアをアリシアと認識できなかった。
何故なら今のアリシアの姿は腰まで伸びる長く光る純白の髪に胸元に桜色の宝石の付いた純白の鎧を纏い、足には金属と宝石で出来た羽根のような飾りが、そして左腕にはシールドを兼ねたガントレット、右手には武器を取り回しやすい小型の小手と宝石のあしらわれた剣が握られていた。なにより目を引いたのはアリシアの両側頭部から生えた太く曲がった角だった。そしてメカクレのままだった。
「き……騎士」
クークスの部下達は思わず後ずさる。
それは絶対に勝てない捕食者に出会った非捕食者の反応だった。
「我が国に侵略を行なった罪、先王を殺害した罪、何より我が王を侮辱した罪。償って頂きます!!」
アリシアが剣を構えた。
怯える様に剣を構えだすクークスの部下達だったが、彼等が剣を構える前にその首は飛んでいた。
「まず3人」
アリシアは事も無げに言うと視線の先に居るクークスの部下達に狙いを定める。
「ひぃっ!」
クークスの部下達が悲鳴を上げて逃げ出す。
アリシアは足鎧の羽根から純白の光を噴出させる。光はまるでジェット機の様にアリシアに加速を与え、瞬く間にクークスの部下の飛び越えて正面に回りこみクークスの部下達の首を切り落とす。
「せめてもの慈悲です、苦しみは与えません」
そう言い放つアリシアの剣には血油一つ付いていなかった。
◆
タカヤは見惚れていた。
戦うアリシアの姿をだ。
相手が認識出来ない程早く動き、相手が動いた時には既に敵を切り終えている。
それはまるで戦場を駆ける戦乙女のようだった。
メカクレの戦乙女、新ジャンルのヒロインだとタカヤは心から感動した。
「はっ!」
アリシアが敵の間を通り抜けるとその後ろに立っていた兵士達が倒れ地面に赤い華を咲かせる。
それだけの血を撒き散らしてもアリシアの純白の鎧には一点の赤いシミも付かずにいた。
その幻想的な光景に見蕩れる事でタカヤは戦場の悲惨さを、その下に転がる死体の存在を直視しないで済んでいたといえる。
気が付けば敵の半数はアリシアの剣によって倒されていた。
そんなアリシアを労う様にパンパンと拍手が聞える。
「いやーお見事。さすがはファーコミンの騎士殿。雑兵共では相手にもなりませんな」
引きつった笑顔でクークスはアリシアを賞賛すると部下達を見る。
「それに比べて貴様等の不甲斐ない事。もう良い、貴様等は下がっていろ。後は我々がやる!」
その声に続く様にクークスの後ろから3人の騎士が現われる。
騎士達の姿を見た兵士達が我先にと後方に逃げ出す。
兵士達の突然の反応に困惑するタカヤ。
「あいつ等なんで逃げ出したんだ?」
普通に考えれば騎士達と連携して戦う事の方が理に適っている。
にも関わらずクークスは兵士達を後方にさげた。
「タカヤ様、少々危険ですので後ろにお下がり下さい」
アリシアの声には先程までと違い緊張の堅さが含まれていた。
「タカヤ様」
「わ、分かった」
アリシアの再度の警告に従い、タカヤが後ろに下がったのと同時にそれは起きた。
クークスの部下達の全身が紫色のオーラに包まれ、オーラはそのまま上方に噴出し広がりだす。
騎士達の全身がオーラの中に消えるとオーラは人型の輪郭をとり始め、その中から巨大な剣が現れた。
次に巨大な腕が、巨大な足が現れた。
更には巨大な胴が現れ、最後に巨大な頭が現れた。
「な……んだ……これ?」
それは巨大な騎士だった。
「戦争って、一体何処に行くつもりなんだよ!?」
アリシアは振り返り笑顔で答えた。
「屋敷の外です!」
「外?」
◆
アリシアに引きずられる様に連れられて屋敷の外にでるタカヤ。
そこに見えたものは。
「原っぱ?」
そこは見渡すばかりの平原だった。
周囲には木もなく、河も無い。本当に何も無い平原だった。
後ろを振り返るとそこには今まで自分達の居た屋敷がある。
「この屋敷がタカヤ様の城です!」
「これが、城?」
確かに目の前の屋敷はそこそこ良い家だと理解できるが、それはあくまで屋敷として見ればだ。とてもではないが城とはいえない。
「そしてこの屋敷こそが我等の唯一の領土なのです!」
「…………なに?」
さすがに聞き逃せない言葉だった。アリシアはこの屋敷、いや城が唯一の領土だといったのだ。
「先代陛下が崩御された後、何故か隣国はこの城を狙わず、わが国の領地を少しずつ囲む様に占領して来ました。そしてついに先日残された最後の領地が隣国に支配されたのです。残ったのは城であるこの屋敷と土地のみです」
タカヤは絶句した。
「それ……完全な舐めプじゃねぇか」
「舐めプ?」
舐めプの意味を理解できず首をかしげるアリシア。正直そのリアクションは可愛いと思ったが今はそれ所ではないと焦るタカヤ。
(察するに敵は王様が居なくなってアリシアだけになったこの国を侵略するなんていつでも出来るとタカをくくっている。っていうか実際そうだ。だからステージクリアの条件である敵の城をあえて無視して、それ以外の領地を全部攻略してから最後にゆっくりとこの屋敷を支配するつもりなんじゃねぇのか?)
実際その通りだった。王を失ったファーコミン国に抵抗する力は無く、圧倒的な力による完全な勝利を演出する為にあえて城を狙わなかったのだ。
いくつものゲームを飽きるほど繰り返してきたカズマだからこそ理解できる理由であった。
「ですが大丈夫です! カズマ様と契約した事で私は再び騎士として戦える様になりました。戦える様にさえなればピーシェンの騎士などに後れを取る事などありません!!」
全く説得力の無い言葉だった。目の前で自信満々に語るアリシアの姿はどう見ても可憐な美少女でしかない。その腕も足も華奢で筋肉の欠片も見当たらない。とてもではないが戦争で戦えるような体とは思えなかった。
「あ、あのさアリシア」
「はい!」
元気良く返事をするアリシアに対しタカヤはいかにして血気にはやる少女を説得するかに思考を巡らせる。
「アリシアが戦いたいのは良いんだけどさ、けどやっぱり一人で戦うのは無謀だろ。せめて味方と合流してからとかさ。そう! 国って言う位だから他の国民もいるんだろ?」
咄嗟に思いついた理由を我ながら名案と内心賞賛するタカヤ。だが次の瞬間タカヤは地獄の底に突き落とされる。
「居ませんよ」
「へ?」
「ですから、ファーコミンには私達以外に国民は居ません。騎士の大半は先の戦で戦死しましたし、生き残った者達は陛下が崩御された後、隣国に投降するか他国に逃亡しました。民も隣国の軍隊に町ごと支配されわが国の為に動く者はもはや私しか残っておりません」
予想以上に酷い状況にタカヤはめまいを覚えた。
(完全に詰みじゃん。この状況から逆転するなんてソレこそ漫画の主人公位だろ!)
周囲をすべて敵国に侵略され、戦力は少女が一人。援軍は期待できない。
どうあがいても敗北は必死だった。
(考えろ、考えろ俺! せっかく異世界に来て何でも言う事を聞いてくれる女の子に出会ったんだ。こんな所で勝ち目の無い戦いに突入するなんて絶対駄目だ。何か良い案は……そうだ!)
「アリシア、俺に良い考えがあるんだ」
なるべく平静を装いながらアリシアに語りかけるタカヤ。
「いいかいアリシア。戦争は一人では勝てない。どれだけ個人が強くても一人じゃ限界がある。相手は何千、何万と居るんだからこちらも味方が必要だ」
タカヤの言葉にアリシアも頷いて同意を示す。
「確かにタカヤ様の言う通りです。ですが先程も言った通り、わが国の兵力は私一人、援軍を期待する事はできません」
「分かっているさ。今は居ない。そう今は、だ!」
タカヤは事更語気を強めて語りだす。
「居ないのなら増やせば良い。仲間を求めて旅に出るんだ。そうして十分な戦力を集めたら侵略者である隣国と戦えば良い!」
(完璧だ。非の打ち所の無い理論武装。アリシアも戦力不足を認めたしいざとなれば王として命令すれば良い。アリシアは俺の言う事を何でも聞くと言った。まずはアリシアを連れ出してどこか安全な町へ逃げ出す。そこで一緒に暮らして親睦を深めた後、時間をかけて仲間を探す。勿論見つからなくても良い。一緒に暮らせば色々とチャンスはあるし、今より深い仲になれば危険を冒してまで侵略者と戦おうとはしなくなる筈だ。……多分。まずはここから逃げ出す事が先決だ!)
それがタカヤの考えた完璧なプランだった。
実際タカヤの考えは間違ってはいなかった。タカヤが王として強権を発動させていればアリシアも多少の抵抗こそあれ従った事だろう。
あともう少し行動が早かったならの話だが。
それを証明する様にアリシアは少し悲しそうな顔をしながら首を横に振る。
「タカヤ様、己を過信せず十分な力を集めようとするそのお考えは大変素晴らしいものです。……ですが少々遅かった様です」
「え? 何が?」
アリシアが彼方を指指す。
タカヤはアリシアの白く美しい指に視線を奪われそうになるのを堪え、アリシアが指差した方角に視線を移す。
平原の彼方、屋敷から遠く離れた場所になにやら蠢くものが見える。
「……煙? にしては上に登らないな……」
タカヤは目を凝らしながらその正体が何か観察する。
そしてその何かがこちらに近づいて来ている事に気付いた時、ようやくその正体が分かった。
それは土煙を上げながらやって来る甲冑姿の集団であった。
土煙は彼等の乗る馬が起こしていたのだ。
「何だありゃ!?」
「ピーシェンの騎士団です。周辺の土地をすべて占領した事でようやくここを制圧する気になったのでしょう」
「じゃあすぐに逃げないと! あんな人数が相手じゃ勝てっこないって!!」
冷静に説明するアリシアにタカヤは慌てて逃亡を提案する。
「いえ、彼等は馬に乗っています。そしてこの城には私達を乗せて逃亡する事のできる乗り物はありません。ですのでたとえ逃げ出したとしてもすぐに追いつかれる事でしょう」
そうこう言い合っている内にピーシェンの騎士団は屋敷の前に到着する。
数はおおよそ50名といった所か。軍隊として考えれば少ない数だが、大規模な合戦ではなく残党狩りの為の部隊だと考えれば納得がいく。
何しろタカヤの居るファーコミンの国は自分とアリシアだけが国民で、唯一残った領地は後ろの屋敷だけなのだから寧ろ50人でも多すぎるくらいだ。
ピーシェンの騎士達の中から一人の騎士が出てくる。恐らくは部隊の隊長なのだろう。
彼はアリシアに降伏勧告を始めた。
「お初にお目にかかる、ファーコミンの最後の騎士アリシア=ディクスシス嬢。お会いできて光栄だ。我が名はクークス=ヒューカー、誇り高きピーシェンの騎士である。既に貴様等の王は死に領地もこの小さな屋敷一つ。もはや抵抗は無意味だ。大人しく投降しろ。さすれば我が王の慈悲によって貴様も我がピーシェンの騎士の末席に加えてやろう。さぁ選べ!!」
言いたい事を一方的に喋ったクークスは拒否を許さぬと言わんばかりの口調でアリシアに答えを求める。
するとそれまで黙ってクークスの言葉を聞いていたアリシアが、無言でクークスの前に歩み寄る。
かすかな微笑をクークスに向けるアリシア。
それを恭順の証と受け取ったのか、クークスは下卑た笑顔をアリシアに見せる。
「ふふ、そうだ、それで良い。お前ほどの器量の娘なら陛下もさぞお喜びになられる事だろう。運が良ければ側室になれるかもな」
「なっ!?」
クークスの言葉に思わず声を出して反応してしまうタカヤ。何処の馬の骨とも知れない只の小年、普通ならタカヤの存在など無視されるのだが今回は状況が悪かった。
斥候の偵察によって既にアリシア一人しか住民が居ないはずのファーコミンに人が居たのだ。クークスの任務はファーコミンの完全支配。その為には住民の最後の一人までピーシェンに恭順させる必要がある。
「この屋敷の下男か? まぁ良い。貴様も帝国に服従するのなら特別に奴隷として生かしてやろう」
アリシアが無抵抗で恭順の意を示した事で、クークスは手間をかけずに済むどころか美しいアリシアを王に差し出せば更なる出世を望めると夢想したのだ。
その結果、本来なら命乞いをさせた後で無慈悲に切り捨てたであろうタカヤの命も助かった。
クークスとしては破格の高待遇であったが、逆にそれがアリシアの逆鱗に触れる事となったのを彼は気付かなかった。
「無礼者」
アリシアの口から低い声が漏れる。
「……何?」
最初クークスはその言葉がアリシアから漏れた事に気付かなかった。
だが部下には女が居ない為、消去法的にアリシアの言葉だと気が付いたのだ。
「あのお方は我が主。このファーコミンの国の王スメラギ=タカヤ様です。わが主への侮辱は許しません!」
最初クークスはアリシアの言葉を何かの冗談かと思った。
あのさえない子供が王? このたった一つの屋敷だけが唯一の領地である国の王?
だがアリシアの瞳は本心を物語っていた。騎士として己が主を侮辱され怒りに燃えているのだ。故に同じ騎士であるクークスはその言葉が真実だと理解した。
そして真実を理解したが故にクークスは堪えきれずに笑い出す。
「は、ははははは、はははははははははっ!! この小僧が王? こんなチンケな領地に王だと? いやいやいや、そうかそうか、だがくくくっ、しかしくくく、お似合いじゃないか。チンケな領地にチンケな小僧。成る程成る程」
クークスの笑い声が部下達にも伝染していく。
程なくしてタカヤの周りでは嘲笑の笑い声が蝉の如く合唱を始めていた。
「手っ前ぇ!!」
怒りのあまりクークスを殴り飛ばそうと踏み出したしたタカヤだったが、その間に割って入った兵士達の剣を見てすんでの所で踏みとどまる。
剣を構えた兵士達はニヤニヤとしながらこちらを見ている。
近づいたら殺す、彼等はそう剣で語っていた。
タカヤは動けなかった。相手は戦闘訓練を受け武器と防具で身を固めた戦闘集団。何よりも彼等からは実戦を経験した者が持つ特有の凄みがあった。
それは人を殺す事に対する慣れである。
皮肉にもゲームで鍛えた判断力が冷静に目の前の男達と自分達との戦力差を教えてくれた。勿論それは目の前に突き出された刃物がきっかけであったからだが。
クークスの部下達は手を剣の柄に乗せていた。タカヤが激昂し殴りかかって来たらいつでも切り捨てられる様にだ。それにタカヤが気付いていた訳ではない。タカヤは単純に只の学生の自分では職業軍人には勝てないという常識的判断をしていたから動けないでいたのだ。
格闘技を習っていれば、この男達を煙に巻ける話術と知識があればこんな風にバカにされずに済んだかも知れない。
だがそれは無いものねだりだ。
どれだけ妄想しても、勝てない事実はひっくり返らない。
だからタカヤは突然振って沸いた理不尽をどうやったら回避できるか、それだけを必死で考え続けていた。
タカヤが反論して来ない事で調子に乗ったクークス達はさらにタカヤを煽り立てる。
「悪いなぁ王様。貴方様の騎士は我が王に献上させて貰いますよ。なに、貴方様の騎士が我が王のお気に入りになれば命位は助けてくれると思いますよ」
「隊長、せっかくだからこの嬢ちゃんに楽しませて貰いましょうよ」
「そうっスよ。こんな辺鄙な所まで来させられたんだからその位の楽しみはあってもいいじゃないスか」
調子に乗ったクークスの部下がアリシアを下卑た目で見始める。
「ふむ……そうだな」
クークスはタカヤとアリシアを交互に見つめるとニヤリと笑みをこぼす。
「良いだろう。だが傷は付けるなよ。その娘は陛下に献上するのだからな」
「わっかりましたー!」
部下に許可を出したクークスは後ろに下がり用意された簡易椅子に座る。
部下に襲われようとしているアリシア完全に見世物として見ている態度だ。
クークスの部下達が好色な目付きでアリシアに近づいていく。
「や、止めろ!!」
これからアリシアが受けるであろう行いを想像したタカヤは、半ば無意識にクークスの部下に殴りかかる。
だが素人のタカヤの攻撃など彼等にとってはテレフォンパンチ同然であった。
タカヤに殴りかかられたクークスの部下は、慌てる事無く剣を抜き放ち無造作にタカヤを切り付ける。
クークスは大人しく恭順の意志を示したアリシアがこちらを油断させる為に大人しくしているのだと考えていた。圧倒的戦力差と足の速さの違いを考えたからだろう。だからこちらを油断させておいて馬を奪いタカヤと共に逃げ出すつもりなのだと。
故に部下達の自由にさせる事でタカヤを挑発し傷を負わせる、治療と引き換えにアリシアを拘束した後でゆっくりとタカヤを殺すつもりでいた。
只の下男なら問題なかったのだがタカヤはアリシアの王。この世界において敵国の王を殺すのは戦略として当然の行為だからだ。
だが、致命傷を負った筈だったタカヤの拳はクークスの部下の顔面に直撃する。
「ぶぇぁっ!?」
まさかの事態にバランスを崩し、もんどりうって倒れるクークスの部下。
「なっ??」
クークスは驚愕していた。確かに部下はタカヤを切り捨てた筈だと。なのに何故かタカヤは無傷であまつさえ部下を殴り倒した。
そしてクークスの部下もまた困惑していた。切り殺したと思ったタカヤから攻撃を受けたからである。男の口の中に鉄の味が広がる。
「貴様ぁぁぁぁ!!」
たかが子供に殴られた怒りに彼は震えた。
「殺す!!」
だがタカヤに攻撃が当たらない。何度振りかぶってもだ。
「オラァァァ!!」
攻撃を外した自分に対し再びタカヤの拳がめり込む。
「ぐはぁ!!」
何故当たらないのかと己の手に収まる剣を見るクークスの部下。
しかしそこに愛刀の姿は無かった。それ所か剣を握っている筈の手すらなかったのだ。
「なぁぁぁぁぁ!?」
手の無くなった腕から大量の血が流れる。慌てて血を止めようともう片方の手で塞ごうとしたらその手もまた無くなっている事に気付く。
「お。俺の手がぁぁぁぁ」
両手が無くなっている事にパニックを起こすクークスの部下。
「せいやぁぁぁぁぁ!!」
次の瞬間タカヤからトドメの一撃を受けたクークスの部下は地面に叩きつけられた後、数回ほど痙攣した後動きを止めた。
◆
タカヤによってクークスの部下が倒される直前。
クークス達は目の前で突然部下の両手が落ちた事に驚き言葉を失っていた。
そしてその直後、タカヤに殴られた部下が意識を失ったのを見て、ようやく我に返ったクークスは部下に命令を飛ばす。
「な、何をしておる、さっさとその小僧を斬れ!」
しかしそこに純白の影が立ちはだかる。
「これより先は我が王の戦場。何人たりともこの先には通しません」
その影はアリシアだった。
一瞬クークス達はアリシアをアリシアと認識できなかった。
何故なら今のアリシアの姿は腰まで伸びる長く光る純白の髪に胸元に桜色の宝石の付いた純白の鎧を纏い、足には金属と宝石で出来た羽根のような飾りが、そして左腕にはシールドを兼ねたガントレット、右手には武器を取り回しやすい小型の小手と宝石のあしらわれた剣が握られていた。なにより目を引いたのはアリシアの両側頭部から生えた太く曲がった角だった。そしてメカクレのままだった。
「き……騎士」
クークスの部下達は思わず後ずさる。
それは絶対に勝てない捕食者に出会った非捕食者の反応だった。
「我が国に侵略を行なった罪、先王を殺害した罪、何より我が王を侮辱した罪。償って頂きます!!」
アリシアが剣を構えた。
怯える様に剣を構えだすクークスの部下達だったが、彼等が剣を構える前にその首は飛んでいた。
「まず3人」
アリシアは事も無げに言うと視線の先に居るクークスの部下達に狙いを定める。
「ひぃっ!」
クークスの部下達が悲鳴を上げて逃げ出す。
アリシアは足鎧の羽根から純白の光を噴出させる。光はまるでジェット機の様にアリシアに加速を与え、瞬く間にクークスの部下の飛び越えて正面に回りこみクークスの部下達の首を切り落とす。
「せめてもの慈悲です、苦しみは与えません」
そう言い放つアリシアの剣には血油一つ付いていなかった。
◆
タカヤは見惚れていた。
戦うアリシアの姿をだ。
相手が認識出来ない程早く動き、相手が動いた時には既に敵を切り終えている。
それはまるで戦場を駆ける戦乙女のようだった。
メカクレの戦乙女、新ジャンルのヒロインだとタカヤは心から感動した。
「はっ!」
アリシアが敵の間を通り抜けるとその後ろに立っていた兵士達が倒れ地面に赤い華を咲かせる。
それだけの血を撒き散らしてもアリシアの純白の鎧には一点の赤いシミも付かずにいた。
その幻想的な光景に見蕩れる事でタカヤは戦場の悲惨さを、その下に転がる死体の存在を直視しないで済んでいたといえる。
気が付けば敵の半数はアリシアの剣によって倒されていた。
そんなアリシアを労う様にパンパンと拍手が聞える。
「いやーお見事。さすがはファーコミンの騎士殿。雑兵共では相手にもなりませんな」
引きつった笑顔でクークスはアリシアを賞賛すると部下達を見る。
「それに比べて貴様等の不甲斐ない事。もう良い、貴様等は下がっていろ。後は我々がやる!」
その声に続く様にクークスの後ろから3人の騎士が現われる。
騎士達の姿を見た兵士達が我先にと後方に逃げ出す。
兵士達の突然の反応に困惑するタカヤ。
「あいつ等なんで逃げ出したんだ?」
普通に考えれば騎士達と連携して戦う事の方が理に適っている。
にも関わらずクークスは兵士達を後方にさげた。
「タカヤ様、少々危険ですので後ろにお下がり下さい」
アリシアの声には先程までと違い緊張の堅さが含まれていた。
「タカヤ様」
「わ、分かった」
アリシアの再度の警告に従い、タカヤが後ろに下がったのと同時にそれは起きた。
クークスの部下達の全身が紫色のオーラに包まれ、オーラはそのまま上方に噴出し広がりだす。
騎士達の全身がオーラの中に消えるとオーラは人型の輪郭をとり始め、その中から巨大な剣が現れた。
次に巨大な腕が、巨大な足が現れた。
更には巨大な胴が現れ、最後に巨大な頭が現れた。
「な……んだ……これ?」
それは巨大な騎士だった。
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