クロヴァンの探偵日記

高松 津狼

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第一章 はじまりの時

第5話 恐怖の牢獄

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私は、右側の道も気になったがそれ以上に牢獄がずっと並んでいる左側の通路に純粋に興味が湧いた。この罪人の中に緑樹人るしゅじんが混じっていれば、なにかしらの手掛かりが得られるかもしれないし、この牢獄が何のために使われているのかがわかるだろう。

私はT字路の左側の通路を進み、牢獄がずっと並んでいる大きなの通路へ出た。

「うぉ...干からびた死体だ。骨もある。」
「番号も...」

初めて見る光景に私は少し興奮も覚えたが、死体があるという事実が純粋に私の恐怖心を誘った。
牢獄の中には干からびた死体、骨だけの死体が多数転がっており、なぜかそのそれぞれに数字が付けられていた。最初はなんの意味か分からなかったが、すぐに意味がわかった。

「後ろに行けば行くほど死体の番号が増えていってるな..」

奥にいけばいくほど死体の番号が多くなっているのだ。この死体を調べればもしかするとここでなにが行われているか詳細にわかるかもしれない。

私は通路の横にある牢獄に転がる死体を一つ一つ調査することにした。

死体を時間をかけて調査していくと、奥に行けば行くほど死体の腐敗度が、道へ入ってきたときの死体の腐敗度と比べると新しくなっていることもわかった。もしかすると一番奥の方は数日前くらいのものかもしれない。

牢獄の中の死体を調べながら通路を1時間程進んでいると、道の終わりが見えてきた。ただ、それとともに強烈な腐敗臭と血の匂いも近づいてきた。

ふと視線を右に寄せると、大量の血痕が残っている牢屋があった。
死体が比較的新しい。数週間以内だろうか。肉が部分的に残っている。
私は死体に近づいて観察を試みようとしたが、死体を識別するにはもうちょっと腐敗が進んでいない死体でないと少し難しい。
私は諦めて通路を進んだ。

更に奥へ行くと肉がかなりついている死体をちらほら見かけるようになった。
もう少し先に進むと、道の終わりが近づいてきて牢屋の中の死体の腐敗度具合に大きな変化がない中、通路の一番最後の牢屋に参考にできそうなものが見つかった。

「これは... 明らかに最近の死体。どうやって殺されたんだろ?」

最近の死体だ。肉付きが比較的よく明らかに数日未満のものだ。
しかも通路側に死体の一部がはみ出ている、これは調査するにはとてもいい資料だ。
服は剝がされているものの、死体の頭の方には白い髪の毛が散乱しており緑樹人るしゅじんであることは明確だった。

「ひどい切り傷...それにこの腫れたあと...」
「間違えなく拷問がここで行われていたみたい...」

よく死体を観察してみると、鞭やナイフなので切り付けられた跡があった。
どうやらここで拷問が行われていたらしい。

「奥に行けば行くほど新しくなる死体、死体ごとに増え続ける番号...」
「最近の死体は緑樹人るしゅじんのもの...」
「殺された場所は牢屋...」

もしかすると、この通路ではなんらかの形で罪や規律違反を犯した緑樹人が順番に殺された、死刑執行所のようなものなのかもしれない。
私は死体を観察し終えた後、通路の出口へと向かった。

「うぉっ...またT字路」

通路の出口には、またT字路があった。
私は更に奥へ進もうとT字路の分かれ道の手前まで来たところで、すぐ右側の方で絶叫が聞こえた。


(え。なになに怖い怖い。なんで叫び声が聞こえるの?)


私は恐る恐るT字路から右側の通路を覗くとそこには牢獄に吊るされた死体があった。

「...!!」

白い髪。そして探偵のような服装。これは間違えなく緑樹人るしゅじんだ。
ただ、死体は少なくとも数時間以上経過しているように見えた。
どうやら絶叫が聞こえた場所はもうちょっと奥のようだ。

私は音を立てないようにそーっと歩いた。


ガシャン。ガシャン。ガシャン。


巡回兵が不気味に音をたてて歩いている。
しばらくすると、また絶叫が聞こえた。
かなり近い。
どうやらこの吊るされた死体の隣の通路あたりから聞こえてくる。
私はその音を鮮明に聞くために隣の通路側の壁に耳を当てた。
耳を澄ませるとなにやら金属の音がする


シャキン!


どうやら巡回兵がたった今死刑を執行したようだった。
金属の音の後に血が滴れる音がした。

(ひぃ!?、なんておぞましいところなんだ。)

私はその状況に戦慄しながらも恐る恐るその絶叫が聞こえた隣の通路へ、巡回兵に見つからないようにしゃがんで近づいた。

(うわぁ... 背中に寒気が。)

程なくしてまた、絶叫がまた聞こえた。
今度はもっと近い。一体何人の人がここで殺されたのだろうか。
どうやら更に隣の通路で一斉に殺害が行われているようだ。

なにやら女性が声を震わせながら大きな声で叫んだ。

「どうして、私が殺されなきゃいけないんですか!私はこのヒョウタン帝国の奴隷としての意味を果たすために、ずっと尽くしてきたんです!規律だって違反してませんし、ただ生まれつき、数学が周りより出来るだk...」

悲痛な絶叫と共に、血が吹き上げる音がした。きっと今彼女は処刑されたのだろう。
でもなぜだろうか。彼女は規律は違反してないと言っていた。

今殺された彼女は規律は違反していないと言っていたが、数学が産まれつき周りより出来ることが殺される理由になるらしい?
彼女の死に際の発言によればそうなる...
いや、待て思考が少しぶっ飛んでいる。正気を保つんだ私。


私は他に思い当たりそうな処刑理由を考えたが、今は検討が付かない。情報が少なすぎる。


すると男性の声がした。

緑樹人2「なぁ!あんた!助けてくれ。この俺をここから出してくれ!俺はこの後他のやつらと同じように殺されるんだ!助けてくれぇ!俺は能力者だから殺されるんだ!」

ー 能力者 ー

そうか。この牢獄は緑樹人るしゅじんの能力者らが殺されているのか。
つまり産まれつき周囲よりずば抜けた才能の持ち主が殺されていたのか。
でもなぜだろうか。

そういえば。私がまだ10歳の頃、母が”警察”に連れていかれたときも同じような理由だった気がする。母親は確かに周りとは少し変わっていて、昔から資料を比較したり情報を記憶する能力に関しては他人と桁違いだった気もする。
でも、なぜ能力者は殺されなければならないのだろうか。

私は通路の壁によっかかり、理由を考えた。

緑樹人2「おぉい!?なにやってるんだ!は...早く助けてくれぇ!早くしないと巡回兵が来るぞォ!」

私はそんな牢獄の中で叫んでいる人を助けることを忘れ、純粋に考え込んでいた。
なぜ能力者は殺されなければならないのだろうか。
本当に疑問だ。そんな規律や法律はなかったはず。となると、能力者であるとヒョウタン帝国軍人にとってなにが良くないのか。なにが不都合なのか。そもそも能力者はどんな定義で決められいて殺されるのだろうか。

緑樹人2「アァ!?兵隊長が来た!もう終わりだァ!」

しまった!ついうっかり考えすぎてしまった。
いや違う!今の私は正気ではない。多分目の前で起きてることが怖くて自分の思考に閉じこもっていたかっただけなのかもしれない。
とにかく、巡回兵が回ってきたようだ。
しかも兵隊長らしい、これは確実にマズイ...

巡回兵隊長「おい。そこの娘。なにをやっている。緑樹人ルシュじんが立ち入って良い場所ではないぞ。」
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