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第5章
170話 ご褒美下さい!
「たっだいまー!あけおめー!」
「ア、ハッピー、ニューイヤー!イエーイ!」
王宮から帰って来たカイトとカレンは、バーンと僕の部屋の扉を開けると、そんな意味の分からない事を叫びながら飛び込んで来た。
あー…またうるさいのが、更に拍車を掛けて帰って来た。
「はぁ…さよなら、僕の静寂。」
明後日の方向を向いて呟く僕に、二人はキャッキャと纏わりついて来る。
「ちょっと、ちょっとぉ!シリルが寂しがってると思って、一目散に戻って来たのにー」
「そぉよぉ~!折角イイお土産持って帰って来たのにぃ~」
ふにゃふにゃしながら言って来る二人に、僕は溜息をついた。
「それより二人ともシャンとしろっ」
そう言って、僕は二人の頬に1個ずつ氷を作って当ててやった。
「うひゃっ!冷たっ」
「つーめーたーいー」
「ちょっとは目が覚めただろ。」
恐らく長時間のパーティーで、気疲れして変なテンションになっていたのだろう。
僕に氷を押し当てられた事で、二人はようやく目をパッチリさせた。
「んもう!新年パーティー疲れた!」
「あんな挨拶回りばっかりのパーティーより、もっと楽しい事したいよ!ね!シリルもそう思うでしょ?!」
カレンとカイトに喰い気味に絡まれて、僕はげんなりした顔をした。
「仕方ないだろう。懸案の幻惑の虜の中毒患者の治癒までしてみせた巫子達への恩賞をどうしようかと、王家はうずうずしていたんだから。」
「そうなの!ご褒美に宝石とか領地とかって言われたから、断っちゃった。」
あーあ、それはそれは。
中毒患者の治癒への恩賞をきっかけにエウリルス王は、宝石はともかく、領地を与える事で巫子達をこの国へ縛り付けたかった様だが、生憎、彼女らにその手は通用しなかったらしい。
さぞガッカリされた事だろう。
僕はしょんぼりされた陛下のご尊顔を想像してしまって、苦笑した。
そんな僕に、カレンがシャーロットの様な元気一杯の勢いとキラキラした目付きで言って来た。
「その代わりね、ユリウス殿下にお願いしたのよ!」
私達、救済めちゃくちゃ頑張りましたよね?ね!だから、私達のお願い、それぞれ1つずつ、ご褒美として下さい!って。
そしたら、ユリウス殿下は何をねだられるのかって、表情を硬くしたんだけど。
「私、言っちゃったー♡『お疲れ様パーティーしたいんです!学友のみんなで!無礼講の仮装パーティーがしたいの!きっと良い思い出になるわ』って!そしたら、いいよって言ってくれたの!やったー!楽しみ♡」
カレンは、キャーキャーはしゃいで滅茶苦茶喜んでいる。
何で仮装パーティーがそんなに嬉しいのか、僕には分からなかったが。
横からカイトが苦笑しながら教えてくれた。
「カレンってば、ゲームの話の人物に、自分好みの衣装を着せたいんだよ。」
なるほど?
好きなキャラクターを愛で回したいとか言っていたが、そういう事か。
僕は、リチャードとシャーロットがどんどん成長して新しい服が必要になって、色々試着をさせては、これも似合う、あれも可愛い、と悶絶している叔母を思い出し、あんな感じか、と納得した。
もちろん、僕も一緒になって可愛い可愛い言って、ロバートに盛大に呆れられているのは毎度の事である。
「あれ?じゃあ、カイトは何をお願いしたんだ?」
「俺?考え中~。卒業パーティーまでには決めなきゃなんだけど、もうちょいゆっくり考えてから決めよっかな~って。」
両腕を頭の後ろで組んであっけらかんと笑うカイトに、僕はそうか、と微笑んだら。
「ま、そういう訳だから、シリルもよく考えといてね。」
そう、カイトに言われて。
「え、何を?」
「お願い事だよ。もちろんシリルの分も宜しくって言っといたからさ、殿下に。」
「え“っ……」
当たり前の様に言うカイトに、僕は唖然とした。
「お前達二人は救済を頑張っていたから分かるけど、僕は駄目だろ。」
二人に付いて2ヶ国へ出向いたのは、まぁ確かに大変だったが。
でも、ただの付き添いでしかないし。
戸惑う僕に、カイトがあっけらかんと笑った。
「何言ってんだよ。俺達を受け入れて、いつも支えてくれたのは、他でもないシリルじゃんか。……言っただろ?ハッピーエンド目指して頑張るぞー!って。どうせなら最高のハッピーエンドを目指さないとね。」
「最高の…ハッピーエンドか…」
それって、どんな結末なんだろう?
当たり前の様に言われたが、僕にはよく分からない。
取り敢えず、巫子達二人にとってのハッピーエンドは、最高に楽しい卒業パーティー……になるんだろうけれど。
考え込む僕に、カイトはまた笑った。
「難しい事は置いといてさ。シリル的にはどうなるのが一番嬉しい?」
「僕は……」
口ごもる僕に、それでもカイトは笑って気長に待ってくれた…。
「ア、ハッピー、ニューイヤー!イエーイ!」
王宮から帰って来たカイトとカレンは、バーンと僕の部屋の扉を開けると、そんな意味の分からない事を叫びながら飛び込んで来た。
あー…またうるさいのが、更に拍車を掛けて帰って来た。
「はぁ…さよなら、僕の静寂。」
明後日の方向を向いて呟く僕に、二人はキャッキャと纏わりついて来る。
「ちょっと、ちょっとぉ!シリルが寂しがってると思って、一目散に戻って来たのにー」
「そぉよぉ~!折角イイお土産持って帰って来たのにぃ~」
ふにゃふにゃしながら言って来る二人に、僕は溜息をついた。
「それより二人ともシャンとしろっ」
そう言って、僕は二人の頬に1個ずつ氷を作って当ててやった。
「うひゃっ!冷たっ」
「つーめーたーいー」
「ちょっとは目が覚めただろ。」
恐らく長時間のパーティーで、気疲れして変なテンションになっていたのだろう。
僕に氷を押し当てられた事で、二人はようやく目をパッチリさせた。
「んもう!新年パーティー疲れた!」
「あんな挨拶回りばっかりのパーティーより、もっと楽しい事したいよ!ね!シリルもそう思うでしょ?!」
カレンとカイトに喰い気味に絡まれて、僕はげんなりした顔をした。
「仕方ないだろう。懸案の幻惑の虜の中毒患者の治癒までしてみせた巫子達への恩賞をどうしようかと、王家はうずうずしていたんだから。」
「そうなの!ご褒美に宝石とか領地とかって言われたから、断っちゃった。」
あーあ、それはそれは。
中毒患者の治癒への恩賞をきっかけにエウリルス王は、宝石はともかく、領地を与える事で巫子達をこの国へ縛り付けたかった様だが、生憎、彼女らにその手は通用しなかったらしい。
さぞガッカリされた事だろう。
僕はしょんぼりされた陛下のご尊顔を想像してしまって、苦笑した。
そんな僕に、カレンがシャーロットの様な元気一杯の勢いとキラキラした目付きで言って来た。
「その代わりね、ユリウス殿下にお願いしたのよ!」
私達、救済めちゃくちゃ頑張りましたよね?ね!だから、私達のお願い、それぞれ1つずつ、ご褒美として下さい!って。
そしたら、ユリウス殿下は何をねだられるのかって、表情を硬くしたんだけど。
「私、言っちゃったー♡『お疲れ様パーティーしたいんです!学友のみんなで!無礼講の仮装パーティーがしたいの!きっと良い思い出になるわ』って!そしたら、いいよって言ってくれたの!やったー!楽しみ♡」
カレンは、キャーキャーはしゃいで滅茶苦茶喜んでいる。
何で仮装パーティーがそんなに嬉しいのか、僕には分からなかったが。
横からカイトが苦笑しながら教えてくれた。
「カレンってば、ゲームの話の人物に、自分好みの衣装を着せたいんだよ。」
なるほど?
好きなキャラクターを愛で回したいとか言っていたが、そういう事か。
僕は、リチャードとシャーロットがどんどん成長して新しい服が必要になって、色々試着をさせては、これも似合う、あれも可愛い、と悶絶している叔母を思い出し、あんな感じか、と納得した。
もちろん、僕も一緒になって可愛い可愛い言って、ロバートに盛大に呆れられているのは毎度の事である。
「あれ?じゃあ、カイトは何をお願いしたんだ?」
「俺?考え中~。卒業パーティーまでには決めなきゃなんだけど、もうちょいゆっくり考えてから決めよっかな~って。」
両腕を頭の後ろで組んであっけらかんと笑うカイトに、僕はそうか、と微笑んだら。
「ま、そういう訳だから、シリルもよく考えといてね。」
そう、カイトに言われて。
「え、何を?」
「お願い事だよ。もちろんシリルの分も宜しくって言っといたからさ、殿下に。」
「え“っ……」
当たり前の様に言うカイトに、僕は唖然とした。
「お前達二人は救済を頑張っていたから分かるけど、僕は駄目だろ。」
二人に付いて2ヶ国へ出向いたのは、まぁ確かに大変だったが。
でも、ただの付き添いでしかないし。
戸惑う僕に、カイトがあっけらかんと笑った。
「何言ってんだよ。俺達を受け入れて、いつも支えてくれたのは、他でもないシリルじゃんか。……言っただろ?ハッピーエンド目指して頑張るぞー!って。どうせなら最高のハッピーエンドを目指さないとね。」
「最高の…ハッピーエンドか…」
それって、どんな結末なんだろう?
当たり前の様に言われたが、僕にはよく分からない。
取り敢えず、巫子達二人にとってのハッピーエンドは、最高に楽しい卒業パーティー……になるんだろうけれど。
考え込む僕に、カイトはまた笑った。
「難しい事は置いといてさ。シリル的にはどうなるのが一番嬉しい?」
「僕は……」
口ごもる僕に、それでもカイトは笑って気長に待ってくれた…。
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