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続編 開き直った公爵令息のやらかし
13話 その頃サフィル達は…
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一方、その頃。
そんな事など露知らず。
今日も娼館フルールにて、潜入中のこちらでは—————…。
「……はぁ。」
「………」
「………あぁぁぁ…」
「……うるせぇぞ、サフィル。」
狭い一室を借り切って、調査対象者が来店するまで、実にダラダラと過ごしていたが。
私……サフィル・アルベリーニの絶えない溜息に、遂にはロレンツォ殿下に文句を言われるけれども。
「うぅぅ……」
構わず私は呻いていた。
その様子に、殿下もまた溜息をつく。
「はぁあ。あの変態野郎、さっさと尻尾出せってんだ、ったく。」
「あぅ……シリルぅ……」
私は置いて来たシリルが気になって気になって、ただただ溜息を付くばかりで。
「あのなぁ……俺だって、シリルには悪いと思ってるよ。……嫌われたくねーしさ。」
せっかくあんな素直で可愛げのある彼に対して、悲しませたり、恨まれる様な事はしたくない。
そう、殿下は仰るが。
「いえ、殿下はもっと嫌われてもいい筈なんですけどね。」
前世であんだけやらかしまくった癖に。
なんて、自分の事は盛大に棚に上げて、実にそう思うから、口にしたら。
「うぐぅ……っ。ジーノ、ジーノォ!サフィルが酷い事言う!」
ざっくりとは言え前世の己の所業を知らされたというのもあって、何も言い返せずに言葉を詰まらせた殿下は。
本心か只の演技かは知らないが。
涙目になって、お付のジーノにがばっと抱き付いた。
対するジーノは嬉しそうに殿下の頭を撫でている。
「かわいそうに…殿下。あんな色ボケの言う事など、どうかお気になさらず。」
「おい、ジーノ!何言…っ」
そうだった。
この殿下至上主義は。
殿下をとことん甘やかす奴だった。
ジーノは私を色ボケだなんて酷い言い方をするから、言い返そうと口を開いたが。
そんな私の反論など無視して、殿下がジーノに縋り付いていた。
「なぁ!俺だって挽回の機会あるよなぁ?!」
「そんな事、気になさらなくていいのに。…サフィル!お前が酷いこと言うからっ」
え。
何で私が悪いみたいになってるんだ。
納得出来ないんだけど。
「ジーノ、お前は殿下に甘すぎなんだよ。ちょっとは自覚しろっ」
「はーん?アンタがソレ言う?」
「…うっ」
「わーい!いいぞぉジーノ♪」
……とまぁ、こんな感じで。
大体いっつもジーノが殿下の側について、私が悪者にされる。
はぁ、早くシリルに会いたい……。
…でも。
「あぁ……シリル…。今日こそ言わなきゃ……」
娼館に潜入中である事。
正直に言わないと……と、ずっとずっと思いながらも。
もし愛想をつかされたら……と思うと、怖くて怖くて。
どうしても口に出来ずに。
昨日も、エウリルスからの長旅でお疲れのところを、長々と話した挙句、いざとなったら言えなくて。
逃げる様にキスをしたら。
久しぶりの本物の彼に触れられて。
……つい、舞い上がってしまった。
お疲れだろうからと、彼にはゆっくりして頂き、ひたすら奉仕させてもらって、彼を味わい尽くしていたら……やり過ぎて泣かれてしまった……。
でも、やっぱり。
どんなに妄想のシリルを思って独り自分を慰めてみても、やっぱり本物の彼には全く敵わない。
はぁ……早く帰って、また彼に触れたくて仕方が無い。
と、シリルの事で頭がいっぱいになっていると、ロレンツォ殿下が。
「……え。サフィル、もしかしてお前…シリルにまだ娼館(ここ)の事、言ってねぇのか?」
「………言えませんでした。」
呆れた様子で尋ねて来る殿下に、不貞腐れた顔で返答すると、殿下は更に呆れられて。
「何でさっさと言っとかねーんだよ。知らねーぞ?ソフィア達から聞かされる羽目になっても。」
「……あ。」
「馬鹿だコイツ……。当の本人からより、周りから知らされた方が、嫌に思うに決まってんのに。」
「あ“あ”ぁぁぁ————!しまったぁ!」
私は殿下にそう言われて、頭を抱えて項垂れたが。
ジーノに鼻で嗤われただけだった。
「だから色ボケだって言ってんだよ。」
……と。
そんな事など露知らず。
今日も娼館フルールにて、潜入中のこちらでは—————…。
「……はぁ。」
「………」
「………あぁぁぁ…」
「……うるせぇぞ、サフィル。」
狭い一室を借り切って、調査対象者が来店するまで、実にダラダラと過ごしていたが。
私……サフィル・アルベリーニの絶えない溜息に、遂にはロレンツォ殿下に文句を言われるけれども。
「うぅぅ……」
構わず私は呻いていた。
その様子に、殿下もまた溜息をつく。
「はぁあ。あの変態野郎、さっさと尻尾出せってんだ、ったく。」
「あぅ……シリルぅ……」
私は置いて来たシリルが気になって気になって、ただただ溜息を付くばかりで。
「あのなぁ……俺だって、シリルには悪いと思ってるよ。……嫌われたくねーしさ。」
せっかくあんな素直で可愛げのある彼に対して、悲しませたり、恨まれる様な事はしたくない。
そう、殿下は仰るが。
「いえ、殿下はもっと嫌われてもいい筈なんですけどね。」
前世であんだけやらかしまくった癖に。
なんて、自分の事は盛大に棚に上げて、実にそう思うから、口にしたら。
「うぐぅ……っ。ジーノ、ジーノォ!サフィルが酷い事言う!」
ざっくりとは言え前世の己の所業を知らされたというのもあって、何も言い返せずに言葉を詰まらせた殿下は。
本心か只の演技かは知らないが。
涙目になって、お付のジーノにがばっと抱き付いた。
対するジーノは嬉しそうに殿下の頭を撫でている。
「かわいそうに…殿下。あんな色ボケの言う事など、どうかお気になさらず。」
「おい、ジーノ!何言…っ」
そうだった。
この殿下至上主義は。
殿下をとことん甘やかす奴だった。
ジーノは私を色ボケだなんて酷い言い方をするから、言い返そうと口を開いたが。
そんな私の反論など無視して、殿下がジーノに縋り付いていた。
「なぁ!俺だって挽回の機会あるよなぁ?!」
「そんな事、気になさらなくていいのに。…サフィル!お前が酷いこと言うからっ」
え。
何で私が悪いみたいになってるんだ。
納得出来ないんだけど。
「ジーノ、お前は殿下に甘すぎなんだよ。ちょっとは自覚しろっ」
「はーん?アンタがソレ言う?」
「…うっ」
「わーい!いいぞぉジーノ♪」
……とまぁ、こんな感じで。
大体いっつもジーノが殿下の側について、私が悪者にされる。
はぁ、早くシリルに会いたい……。
…でも。
「あぁ……シリル…。今日こそ言わなきゃ……」
娼館に潜入中である事。
正直に言わないと……と、ずっとずっと思いながらも。
もし愛想をつかされたら……と思うと、怖くて怖くて。
どうしても口に出来ずに。
昨日も、エウリルスからの長旅でお疲れのところを、長々と話した挙句、いざとなったら言えなくて。
逃げる様にキスをしたら。
久しぶりの本物の彼に触れられて。
……つい、舞い上がってしまった。
お疲れだろうからと、彼にはゆっくりして頂き、ひたすら奉仕させてもらって、彼を味わい尽くしていたら……やり過ぎて泣かれてしまった……。
でも、やっぱり。
どんなに妄想のシリルを思って独り自分を慰めてみても、やっぱり本物の彼には全く敵わない。
はぁ……早く帰って、また彼に触れたくて仕方が無い。
と、シリルの事で頭がいっぱいになっていると、ロレンツォ殿下が。
「……え。サフィル、もしかしてお前…シリルにまだ娼館(ここ)の事、言ってねぇのか?」
「………言えませんでした。」
呆れた様子で尋ねて来る殿下に、不貞腐れた顔で返答すると、殿下は更に呆れられて。
「何でさっさと言っとかねーんだよ。知らねーぞ?ソフィア達から聞かされる羽目になっても。」
「……あ。」
「馬鹿だコイツ……。当の本人からより、周りから知らされた方が、嫌に思うに決まってんのに。」
「あ“あ”ぁぁぁ————!しまったぁ!」
私は殿下にそう言われて、頭を抱えて項垂れたが。
ジーノに鼻で嗤われただけだった。
「だから色ボケだって言ってんだよ。」
……と。
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