愛させてよΩ様

ななな

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1章

17

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あの後意識を失った僕は、気づいたらベッドにいた。
アル様はワイシャツを数枚置いていってくれた。
お医者様から、発情期ヒートは1週間程度続くと言われたので学校はしばらくお休みだ。
抑制剤が効いている間は、普通に過ごせるけど、ずっと飲み続けるのも副作用が出るため、何度も飲めない。
これが本当に辛くて、でも、はしたない事はしたくなかった。
体は欲しがるけど、心はその欲を拒絶していた。
どんなに触りたくても、我慢して耐えた。
苦しくて、寂しくて、熱くて、頭がおかしくなりそうだった。
アル様が置いていったワイシャツを抱きしめると寂しさが紛れる。
寂しさが紛れる代わりに体がもっと欲しがってしまってどうしていいのか分からない。
耐えて、耐えて、気づいたら寝ている。
そんな日々だった。
これが3ヶ月に1回もあるという。
母上も、このような思いをしたのだろうか。
母上は、1ヶ月に1回発情期ヒートになっている。
僕より、もっと大変だ。
個人差があるが、多くても1ヶ月に1回。
一般的に3ヶ月に1回程度。
軽い人だと、αのフェロモンに当てられないと発情期ヒートにならない人もいるらしい。
今回、僕はアル様のフェロモンに当てられたため、発情期が軽い可能性もある。
まだ希望は残っている。
薬が効いている間は本を読んで過ごしたり、アル様に手紙を書いたりしていた。
薬が効いているとはいえ、発情期ヒートだったからか、手紙もいつもより大胆な内容になっていた。
早く会いたいだなんて、初めて言った。
アル様からの手紙には、沢山の甘い言葉が綴られていて、その時は嬉しかった。
発情期が終わった今見ると、少し気まずい。
アル様からの手紙からはアル様の匂いがして、余計に頭を混乱させ、バカ正直に手紙の返信をしてしまった。
僕達は好きという気持ちでどうにかなるような立場じゃないのに。
それに散々拒否したのに。
どんなに心が広くても呆れられちゃうよ。
明日からどんな顔をしてアル様と会えば良いのだろう。
また、悩みすぎて眠れなくなるかと思ったけど、発情期ヒートの疲れからかすぐに寝てしまった。
支度をして、アル様を待つ。
今日は少し、遅い気がした。
少しホッとしたような、ガッカリしたようななんとも言えない気持ちで窓の外を見る。
「お兄様!予備の抑制剤入れましたか?念の為、もう一度体温を測ってください」
「エドは心配症だなぁ。お医者様が大丈夫と言っていただろう?」
「心配症なくらいがちょうどいいんですよ。こういう事は」
「いい子に育ったね。自慢の弟だよ」
「もう......。他人事なんだから」
「あ、アル様が来た。行ってくるね」
「いってらっしゃい!体調が悪くなったら、すぐアル様に言うんだよ!」
体調が悪くなりませんように。
そして、アル様がいつも通りでありますように。
心の中で願ってから、玄関をくぐった。






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