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来世も約束しちゃうくらい俺のこと大好きだから
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昔から同じ夢をよく見る。
そういう日は大体、朝泣いている。
夢の内容は細かく覚えていないけど夢の中で俺は決まって同じことを言われる。
「来世でも、一緒にいて」
場面は毎回違うけど、言われることは一緒だ。
そう言われるとすごく幸せで、でも切なくて起きたら必ず泣いている。感情がぐちゃぐちゃになって涙が止まらない。その夢を見るたびに会いたいと思う。
顔も声も覚えてないけどきっと会ったら分かるはずだ。名前は葉月、夢で俺が一度そう呼んでた。
小学生の時は会えなかった。中学生の時も会えなかった。
小学生の時より探せる範囲が広くなったけどそれでも会えなかった。
もし、会えたとして相手には恋人がいるかもしれないし、そもそも怪しまれる可能性が高い。
出歩きすぎて親に怪しまれてたけど、高校生になって写真部に入った。それからは写真を撮るということで家に居なくても親に怪しまれることは少なくなった。
とにかくたくさん出歩いた。
会えるかもしれないという希望を胸に抱いて色々なとこに行った。
夢に出て来た場所にとにかく行った。桜が咲く綺麗な公園。年に一度大きな花火が上がる丘。何とか検索アプリで特徴を並べて必死に見つけた。既視感はあったけど結局会えない。
ある日、海に行った。
夢の中で海で言われたことがあったのを思い出して来てみた。夢でも、夕方で夢と現実の景色がすごく似ていた。
まあ、誰もいなかったけど、よく考えたら、冬に海に行く人はあまりいないだろう。せっかく海に来たんだから、それらしいことをしよう。
夕陽が海に沈みかかって、海が夕陽色に染まっていた。
「冬の海は寒いですよ」
後ろから声が聞こえた。夢の声によく似てる声だった。振り向いたら涙が出そうな気がした。
「さすがに入りませんよ」
「冬に海に来るなんて珍しいですね」
「何となく来たかったんです。誰かに会えそうだと思って」
「誰に会いたかったの?」
「分からないです。ずっと前から会いたい人がいるけど、誰か分からないんです」
「へー。ねぇ、名前聞いてもいい?」
「白川 優雨です」
振り向いて名前を言う。夕焼けに照らされているその姿は酷く懐かしい気がして鼻がツンとした。
「知らない人に名前教えて良いの?悪い人かもしれないのに」
「悪い人じゃない気がしたから」
「悪い人だよ。だって君、高校生でしょ」
「そうだけど」
「未成年に手を出そうとしてる人は悪い人でしょ?」
「相手が合意なら良いんじゃないんですか」
「君は合意してくれるの?」
「前にここで来世も一緒にいるって約束した気がするから」
「覚えてたの?すっごい昔なのに」
「夢で見ただけだから覚えてる訳じゃないけど」
「嬉しいなぁ」
「ねぇ、名前教えて」
「須田 葉月。葉月って呼んで」
「葉月さんはずっと会いたかった人っていますか?」
「もう、いないかな。優雨がその人だから」
「俺も今日、やっと会えました」
「二十歳になるまでちゃんと待てるかな」
「葉月さんなら待てるよ」
そういう日は大体、朝泣いている。
夢の内容は細かく覚えていないけど夢の中で俺は決まって同じことを言われる。
「来世でも、一緒にいて」
場面は毎回違うけど、言われることは一緒だ。
そう言われるとすごく幸せで、でも切なくて起きたら必ず泣いている。感情がぐちゃぐちゃになって涙が止まらない。その夢を見るたびに会いたいと思う。
顔も声も覚えてないけどきっと会ったら分かるはずだ。名前は葉月、夢で俺が一度そう呼んでた。
小学生の時は会えなかった。中学生の時も会えなかった。
小学生の時より探せる範囲が広くなったけどそれでも会えなかった。
もし、会えたとして相手には恋人がいるかもしれないし、そもそも怪しまれる可能性が高い。
出歩きすぎて親に怪しまれてたけど、高校生になって写真部に入った。それからは写真を撮るということで家に居なくても親に怪しまれることは少なくなった。
とにかくたくさん出歩いた。
会えるかもしれないという希望を胸に抱いて色々なとこに行った。
夢に出て来た場所にとにかく行った。桜が咲く綺麗な公園。年に一度大きな花火が上がる丘。何とか検索アプリで特徴を並べて必死に見つけた。既視感はあったけど結局会えない。
ある日、海に行った。
夢の中で海で言われたことがあったのを思い出して来てみた。夢でも、夕方で夢と現実の景色がすごく似ていた。
まあ、誰もいなかったけど、よく考えたら、冬に海に行く人はあまりいないだろう。せっかく海に来たんだから、それらしいことをしよう。
夕陽が海に沈みかかって、海が夕陽色に染まっていた。
「冬の海は寒いですよ」
後ろから声が聞こえた。夢の声によく似てる声だった。振り向いたら涙が出そうな気がした。
「さすがに入りませんよ」
「冬に海に来るなんて珍しいですね」
「何となく来たかったんです。誰かに会えそうだと思って」
「誰に会いたかったの?」
「分からないです。ずっと前から会いたい人がいるけど、誰か分からないんです」
「へー。ねぇ、名前聞いてもいい?」
「白川 優雨です」
振り向いて名前を言う。夕焼けに照らされているその姿は酷く懐かしい気がして鼻がツンとした。
「知らない人に名前教えて良いの?悪い人かもしれないのに」
「悪い人じゃない気がしたから」
「悪い人だよ。だって君、高校生でしょ」
「そうだけど」
「未成年に手を出そうとしてる人は悪い人でしょ?」
「相手が合意なら良いんじゃないんですか」
「君は合意してくれるの?」
「前にここで来世も一緒にいるって約束した気がするから」
「覚えてたの?すっごい昔なのに」
「夢で見ただけだから覚えてる訳じゃないけど」
「嬉しいなぁ」
「ねぇ、名前教えて」
「須田 葉月。葉月って呼んで」
「葉月さんはずっと会いたかった人っていますか?」
「もう、いないかな。優雨がその人だから」
「俺も今日、やっと会えました」
「二十歳になるまでちゃんと待てるかな」
「葉月さんなら待てるよ」
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