Ring a bell〜冷然専務の裏の顔は独占欲強めな極甘系〜

白山小梅

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 体に力が入らない--ベッドで目を覚ました杏奈は、視線だけ動かしながら部屋の中を見渡す。

 窓から差し込む朝日に目を細めると、その先に広い海が広がり、水面がキラキラと輝き光を放っている。

 自分の部屋でないことに一瞬驚いたものの、昨夜の記憶を辿り、ようやく現状を理解した。

 あぁ、そうよ。由利高臣と再会して、私のことがバレて、何故か彼に求められてセックスをしてしまった。

 杏奈は現実から目を背けるように、再び目を閉じる。何故こうなった? 大嫌いだった男じゃない。そんな簡単に気持ちなんて変わるわけがない。

 あぁ、どうしよう。どんな顔をして起きればいいの? キスが良すぎたから? 甘い言葉にその気になった?

 考えても考えても何故そういう流れになったのかはよく分からない。だが一体何回果てたのか記憶にないほど、彼は杏奈を求めて離そうとはしなかった。

 こんなに激しく抱き合ったのは、初めての経験だった。

 というのも杏奈が今までに付き合った男性は一人だけで、大学の先輩だった。ただ彼が社会人になってから連絡がほとんどなくなり、二ヶ月ぶりにメッセージが来たと思ったら、『別れよう』の一言だけが打ち込まれていた。

 別れた時は大学四年。それ以来、誰かと付き合うことはなかったため、セックス自体が六年ぶりだった。

 身持ちは固い方だと思っていたのに--絶対に流されない自信だってあった。どこから来る自信かと言われれば、返答に困るけど。

 それが久しぶりに会った、しかもずっと嫌いだった相手からの誘惑に負けてしてしまっただなんて、未だに信じられない。

 それに前に付き合っていた人とは感じたことのないような絶頂を何度も迎え、自分自身が野獣にでもなったかのように、行為そのものに没頭してしまった。

 だから振り返りと反省が、正気を取り戻した朝になってしまったのだけど--後悔の波が押し寄せ、杏奈は頭を抱えた。

 元カレはどちらかというと淡白なタイプで、だからセックスに対してもこんなものなのかと思っていた。しかしまるで正反対の高臣との行為に、驚きつつも心も体も満たされてしまった。

 私ってば、激しいのが好きだったのね--自分が意外とエッチな人間だったことに気付いて苦笑する。体の相性って、確かに存在するのかもしれない。

 だが杏奈は未だに高臣の言葉を信用していなかった。私を好きだなんて、やっぱりどう考えてもおかしい。きっと一夜だけの関係で、これっきりに違いない。だって由利高臣が私に対して、あんなに甘い言葉を吐くなんて絶対にあり得ないもの。昔の冷たい表情と声を思い出せば、更に説得力が増した。

 その時、背後から伸びてきた腕に強く抱きしめられ、杏奈の体は緊張感のあまり硬直した。
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