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プロローグ
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「オリオン座は知ってる?」
「うん、授業でやったし、それくらいは知ってる」
「オリオンってね、実はかなりのイケメンだったんだって。でも恋愛運がすごく悪かったみたい。好きになった人がいろいろ問題ありでさ、数多くの恋愛話が神話で残ってるんだ。でもそんなオリオンのことを好きになった女の人がいたんだ。だけど彼女の兄がその関係を疎ましく思って、妹に罠を仕掛けた。その罠に嵌って、彼女はオリオンを弓矢で殺してしまった」
「そんな……」
「そこで彼女は神に頼むんだ。オリオンを星にしてほしいと。そうすればいつでも会いに行けるからって」
少年の話を聞いた萌音は空を見上げた。あんなに綺麗に輝いている星に、そんな悲しい神話が残されていたなんて……。
「好きな人を殺しちゃうなんて、辛かったよね……」
「うん、そうだね……」
「彼女はオリオンに会いに行けたのかしら……」
「さぁ……それは本人のみぞ知るって感じかな」
「……神話について詳しいの?」
萌音が尋ねると、影の中で微かに首が横に振られるのが見えた。
「学校の後輩に星についてすごく詳しい奴がいてさ。すっごい問題児なんだけど、いろいろなことに興味を持ってて。そいつが教えてくれたんだ」
すると少年は腕時計を確認する。釣られて萌音も部屋の時計を見ると、針は十一時の少し手間だった、
「もうこんな時間。そろそろ寝ないとね」
少年の言葉に、萌音は少しだけ落ち込んだ。だって彼の話が楽しくて、もう少しお喋りがしたいと思い始めていたから。
「ねぇ、明日の夜もお喋りしない?」
萌音はドキッとした。彼女の心の内を察したのか、それとも彼も同じことを思ったのかはわからなかったが、その言葉に萌音は喜びを隠せなかった。
ただそれと同時に不安も沸き起こる。こんなところを誰かに見られたら大変だし、彼の家族だってこんな所でお喋りをしていること気づいたら大騒ぎになるのではないか……。
「だ、ダメよ……」
「どうして? スイちゃんは楽しくなかった? 僕は楽しかったよ」
「楽しかったけど……だって誰かに見られたら……」
「ただの子ども同士のお喋りだって。大丈夫」
そう言うと、少年は塀の上から飛び降りた。驚いた萌音は声を上げそうになるのをグッと堪える。
「じゃあまた明日の夜に」
走り去る背中は、確かに中学生のものだった。萌音は不安と期待が入り混じる不思議な感情を覚えながら、何故かドキドキが収まらない胸をぎゅっと掴んだ。
「うん、授業でやったし、それくらいは知ってる」
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「そんな……」
「そこで彼女は神に頼むんだ。オリオンを星にしてほしいと。そうすればいつでも会いに行けるからって」
少年の話を聞いた萌音は空を見上げた。あんなに綺麗に輝いている星に、そんな悲しい神話が残されていたなんて……。
「好きな人を殺しちゃうなんて、辛かったよね……」
「うん、そうだね……」
「彼女はオリオンに会いに行けたのかしら……」
「さぁ……それは本人のみぞ知るって感じかな」
「……神話について詳しいの?」
萌音が尋ねると、影の中で微かに首が横に振られるのが見えた。
「学校の後輩に星についてすごく詳しい奴がいてさ。すっごい問題児なんだけど、いろいろなことに興味を持ってて。そいつが教えてくれたんだ」
すると少年は腕時計を確認する。釣られて萌音も部屋の時計を見ると、針は十一時の少し手間だった、
「もうこんな時間。そろそろ寝ないとね」
少年の言葉に、萌音は少しだけ落ち込んだ。だって彼の話が楽しくて、もう少しお喋りがしたいと思い始めていたから。
「ねぇ、明日の夜もお喋りしない?」
萌音はドキッとした。彼女の心の内を察したのか、それとも彼も同じことを思ったのかはわからなかったが、その言葉に萌音は喜びを隠せなかった。
ただそれと同時に不安も沸き起こる。こんなところを誰かに見られたら大変だし、彼の家族だってこんな所でお喋りをしていること気づいたら大騒ぎになるのではないか……。
「だ、ダメよ……」
「どうして? スイちゃんは楽しくなかった? 僕は楽しかったよ」
「楽しかったけど……だって誰かに見られたら……」
「ただの子ども同士のお喋りだって。大丈夫」
そう言うと、少年は塀の上から飛び降りた。驚いた萌音は声を上げそうになるのをグッと堪える。
「じゃあまた明日の夜に」
走り去る背中は、確かに中学生のものだった。萌音は不安と期待が入り混じる不思議な感情を覚えながら、何故かドキドキが収まらない胸をぎゅっと掴んだ。
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