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1 いきなり婚約
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「そこなんです。私、父がそろそろ何かを企てているような気がしてならないんです。もしかしたら近いうちに結婚させられるんじゃないか……そんな気がしてならなくて……」
「池上さんは結婚したくないんですか?」
「……結婚はします。でも……私はまだやりたいこと、見たいものがたくさんあるのに、結婚に縛られるのは早いというか……」
「もっと自由でいたい?」
店長の顔を見ると、温かい目で萌音を見つめている。まるでお兄ちゃんがいるみたい……すごくホッとする。
「池上さんはどんなことを学びたいんですか? 今は服飾の大学ですよね?」
「……今までは舞台衣裳一本だったんですが、学校で学んでからドレスにすごく興味が湧いたんです。自分でデザインをして、パターンを作って、誰かに着てもらいたい」
こんなに熱弁したのはいつ以来だろう……自分がやりたいことを誰かに話すなんて、学校以外ではなかった。
店長はにこりと微笑むと、白いシャツの胸元に付けていたブローチを外す。それは蝶の形をしていて、鮮やかなブルーに輝いていた。
「私もね、フランスの大学を卒業したんです。それからしばらく向こうで仕事もしていたんですよ。まぁ父に呼び戻されましたけどね」
「えっ! 店長も⁉︎」
「ええ、いろいろ学びたいことがあって。とても良い経験でしたよ。今はそれらを活かすために準備中ですが」
「……いいなぁ。私もこの目でいろいろ見て学びたいなぁ……」
ブローチを眺めていると、店長は萌音の手にそれをそっとのせる。
「これはフランスの蚤の市で購入したものです。もう百年以上昔のものなのに、古さを感じず、今もこうして光り輝いている……すごくないですか? 見た時に感動してしまいました。たくさんの人の手を渡り、どんなに時間を経ても、それでも輝きを失わない。こんなふうに後世に繋がるものを僕も残せたらなって思うんです」
店長の言葉を聞きながら、萌音は心が躍るような感覚に陥る。
「また飛び出したらどうですか? あなたにはその度胸が座っているはずですよ」
その時、萌音は不思議そうに首を傾げる。
「また?」
一瞬店長が固まったように見えたが、すぐに笑顔になる。
「あ、いえ、やりたいことが見つかったのなら、きっとそれがあなたのタイミングですよ。池上さんならきっと多くのものを吸収して帰って来そうだ」
「……そうですね、うん、確かにそうかもしれません! 私やってみます!」
「頑張ってください。応援してますよ」
頭をそっと撫でる店長に、萌音の胸が高鳴る。
「ありがとうございます……」
なんだか不思議。店長と話していると、なんでも出来そうな気がしてくる。
「池上さんは結婚したくないんですか?」
「……結婚はします。でも……私はまだやりたいこと、見たいものがたくさんあるのに、結婚に縛られるのは早いというか……」
「もっと自由でいたい?」
店長の顔を見ると、温かい目で萌音を見つめている。まるでお兄ちゃんがいるみたい……すごくホッとする。
「池上さんはどんなことを学びたいんですか? 今は服飾の大学ですよね?」
「……今までは舞台衣裳一本だったんですが、学校で学んでからドレスにすごく興味が湧いたんです。自分でデザインをして、パターンを作って、誰かに着てもらいたい」
こんなに熱弁したのはいつ以来だろう……自分がやりたいことを誰かに話すなんて、学校以外ではなかった。
店長はにこりと微笑むと、白いシャツの胸元に付けていたブローチを外す。それは蝶の形をしていて、鮮やかなブルーに輝いていた。
「私もね、フランスの大学を卒業したんです。それからしばらく向こうで仕事もしていたんですよ。まぁ父に呼び戻されましたけどね」
「えっ! 店長も⁉︎」
「ええ、いろいろ学びたいことがあって。とても良い経験でしたよ。今はそれらを活かすために準備中ですが」
「……いいなぁ。私もこの目でいろいろ見て学びたいなぁ……」
ブローチを眺めていると、店長は萌音の手にそれをそっとのせる。
「これはフランスの蚤の市で購入したものです。もう百年以上昔のものなのに、古さを感じず、今もこうして光り輝いている……すごくないですか? 見た時に感動してしまいました。たくさんの人の手を渡り、どんなに時間を経ても、それでも輝きを失わない。こんなふうに後世に繋がるものを僕も残せたらなって思うんです」
店長の言葉を聞きながら、萌音は心が躍るような感覚に陥る。
「また飛び出したらどうですか? あなたにはその度胸が座っているはずですよ」
その時、萌音は不思議そうに首を傾げる。
「また?」
一瞬店長が固まったように見えたが、すぐに笑顔になる。
「あ、いえ、やりたいことが見つかったのなら、きっとそれがあなたのタイミングですよ。池上さんならきっと多くのものを吸収して帰って来そうだ」
「……そうですね、うん、確かにそうかもしれません! 私やってみます!」
「頑張ってください。応援してますよ」
頭をそっと撫でる店長に、萌音の胸が高鳴る。
「ありがとうございます……」
なんだか不思議。店長と話していると、なんでも出来そうな気がしてくる。
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