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プロローグ
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それから春になり、進級したばかりのある日のこと。登校すると、校門の前で風紀委員による服装チェックが行われていた。
その中に莉里架がいることに気付き、俺は少しだけ動揺した。相変わらず可愛い──そう思いながら横を通過しようとした時だった。
「安東くん、ちょっと待って」
あの可愛い声が俺の名前を呼んだのだ。
驚いて体が硬直した俺のもとへ、莉里架がぴょこぴょことまるでウサギのように飛び跳ねながらやってくると、急に正面に立ちはだかって、俺の顔を見上げた。
なんだ、この絶妙な角度は──恥ずかしくて思わず目を逸らしてしまう。
「な、なんですか? 別に違反はしてないと思いますけど」
「もちろん。安東くんが違反しないことは知ってるよ。そうじゃなくて……」
そう言って莉里架は背伸びをして手を伸ばしたかと思うと、俺のネクタイの位置を直したのだ。
「ほら、ネクタイが曲がっていたら、せっかくのカッコいい顔が台無しだもんね」
初めて自分に向けられた笑顔に、心臓が止まりそうになるくらいの衝撃を受ける。
「俺の名前……知ってたんですか?」
「もちろん。っていうか、うちの学校で安東くんを知らない人の方が珍しいと思うけどなぁ」
生徒全員が知っているより、彼女に知ってもらえていることの方が何倍も嬉しかった。
「じゃあ今日も頑張ってね」
「どうも……」
緊張してしまい、なんで返事を返せばいいのかわからなくて、ぶっきらぼうな答え方になってしまう。
彼女と話したのはこれが最初で最後。
卒業式の後に、どうして自分からもっと声をかけなかったのかと何度も後悔した。
俺は彼女とどうなりたかったのかなーーもう一度あの可愛い声で名前を呼ばれたら、気付くことが出来るかもしれないのに……でもそうするにはもう遅過ぎた。
その中に莉里架がいることに気付き、俺は少しだけ動揺した。相変わらず可愛い──そう思いながら横を通過しようとした時だった。
「安東くん、ちょっと待って」
あの可愛い声が俺の名前を呼んだのだ。
驚いて体が硬直した俺のもとへ、莉里架がぴょこぴょことまるでウサギのように飛び跳ねながらやってくると、急に正面に立ちはだかって、俺の顔を見上げた。
なんだ、この絶妙な角度は──恥ずかしくて思わず目を逸らしてしまう。
「な、なんですか? 別に違反はしてないと思いますけど」
「もちろん。安東くんが違反しないことは知ってるよ。そうじゃなくて……」
そう言って莉里架は背伸びをして手を伸ばしたかと思うと、俺のネクタイの位置を直したのだ。
「ほら、ネクタイが曲がっていたら、せっかくのカッコいい顔が台無しだもんね」
初めて自分に向けられた笑顔に、心臓が止まりそうになるくらいの衝撃を受ける。
「俺の名前……知ってたんですか?」
「もちろん。っていうか、うちの学校で安東くんを知らない人の方が珍しいと思うけどなぁ」
生徒全員が知っているより、彼女に知ってもらえていることの方が何倍も嬉しかった。
「じゃあ今日も頑張ってね」
「どうも……」
緊張してしまい、なんで返事を返せばいいのかわからなくて、ぶっきらぼうな答え方になってしまう。
彼女と話したのはこれが最初で最後。
卒業式の後に、どうして自分からもっと声をかけなかったのかと何度も後悔した。
俺は彼女とどうなりたかったのかなーーもう一度あの可愛い声で名前を呼ばれたら、気付くことが出来るかもしれないのに……でもそうするにはもう遅過ぎた。
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