旦那様は今日も私を警護中〜聖人君子の裏の顔は愛に一途なヤンデレ系〜

白山小梅

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1 こんなところで何してるの?

1-1

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 月明かりで手元や足元までよく見えるほど、やけに月がきれいな夜だった。だからこそ人目につくような場所を避けたかった。

 未だに実家暮らしの莉里架りりかは、泣き腫らした顔を見られないように俯いたまま、一人になれる場所を探し求めて歩き続けていた。

 その時、実家近くの神社のことを思い出す。最近は前を通り過ぎるくらいで、お参りすることはなくなっていたが、小高い山の上に鎮座するように神社が建っていて、その麓にある小さな公園は、子供の頃毎日のように友だちと集まっては遊んでいた場所だ。

 そして神社の裏側にある展望台からは街が一望出来るとあり、隠れたデートスポットにもなっていた。

 だが今日は平日。人がいるとは思えないーー莉里架は道中にあったスーパーに入ると、お酒の缶を四本ほど手に取って、セルフレジで会計を済ませる。

 セルフレジがあって良かった……だって誰にも見られずに買い物ができるんだもの。今の私には必要不可欠な要素だわ──そしてその場から逃げるように、慌てて店を後にした。

 莉里架が早足で進んでいくと、缶と缶が激しくぶつかり合う音が聞こえる。

 なるべく早く歩きたいが、背が低いせいで歩幅が小さい莉里架の足では、走ったところで大して時間は短縮されない。

 それでも早くあの場所に行きたいという気持ちに引っ張られ、早足をやめようとはしなかった。

 住宅街を進み、小高い山が見えてくると、徐々に麓の公園も見えてきた。息を切らしながら、莉里架は公園の中へ足を踏み入れた。途端に懐かしい気分に陥り、激しい動悸と共に胸が苦しくなる。

 昔から変わらずにそこにある、少し高めの滑り台。正面にあるポプラの木に、爪先が届くような気がして漕いでいたブランコ。広々とした砂場に、藤棚の下にあるベンチ。まるで子供の頃に戻ったようだった。

 莉里架はそれらを懐かしく思いながら眺め、真っ直ぐ歩き続ける。すると公園の奥に、神社へ向かうための舗装された坂道が現れた。

 大きく深呼吸をした莉里架は、その坂をゆっくりと登り始めた。
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