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2章
狂気
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無数のバリスタは、トロールの群れを捉えて有無を言わさず屠っていった。
一匹を残して"通常"のトロールを倒した。
「おい…なんで一匹立ってやがる…」
兵士が絶望するかの様に呟く。
そう、普通ではない亜種型のトロールが、無数のバリスタの雨を通常のトロールより一回り以上大きな身体で生き残っていたのだ。
「あのトロール何か持っているな…」
ルインズは、腰から折り畳み式の望遠鏡を覗き込んだ。
「な…仲間を盾がわりにしているだと…」
亜種型のトロールは、両手に近くに居た仲間のトロールの頭を鷲掴みにして盾がわりにしていたのだ。
まだ生きのあるトロールは、身体をピクピクと痙攣させながら亜種型のトロールに頭を掴まれている。
その光景を目の当たりにしたルインズの顔から、血の気が引いて青ざめている。
「ルインズ…」
「レキ君か、先程は助かった。 だが、あの亜種型だが生きた味方を盾にして、バリスタから逃れたみたいだ」
「それだけの知能が有るって事だろうけど、そうなってくると、このトロールの死骸が転がってるこの状況で戦うのは距離を詰めさせてしまう可能性があるな…」
「レキ様と私で、バリスタ射程内で致命傷までいかなくとも、足を止めさせそこをバリスタにて叩くのはいかがですか?」
「レキ君とレイナも少し落ち着くんだ。 危険な事に違わないだろ? 迂闊に接近するのは賛成しかねるよ」
ルインズは、レイナの提案に対して否定の意思を示した。
「でも、一般の兵士には厳しいぞ。 無駄死にをさせる事だけはしたくない」
「それは分かっているのだが、あの大きさに対していくら放流者の君でも、どれだけの攻撃が有効なのか…」
その時だった、一瞬辺りが暗くなると共に市場の建物が吹き飛んだのだ。
「今度は何が起こったんだ!!」
ルインズが兵士へと叫んぶと同時に、また別の箇所で爆発に等しい轟音と共に砂埃が舞う。
「トロールです!! 無数のバリスタが打ち込まれたトロールが降ってきました!!」
兵士が必死に叫び、立て続けに最悪が降りかかる。
「ルインズ様!! 放り込まれたトロールにしがみ付きゴブリンが複数侵入しました!!」
「一体どうすれば…」
ルインズは途方に暮れ、今にも絶望の中へと沈んでしまいそうに思えた。
「全兵士よ聞いてくれ!!!!」
混乱する市場中に響く程の大声で、レキは叫んだ。
「敵将は、俺とレイナで仕留める!! だから…だからみんな!! ルインズと共に街の中は任せる!! もう少しで良いから、兵士一人一人の命を俺に預けて欲しい!!」
全身の力を振り絞って叫ぶと、兵士達は互いの顔を見合わせて武器を掲げて、内臓を揺さぶられるかの様な雄叫びを上げたのだ。
その迫力にゴブリンが気圧されて立ち止まる。
「ルインズ、亜種型は任せてくれ!! だから街の中は任せるから。 行くぞレイナ!!」
「無茶はしないでくれよ…」
二人はルインズに背を向け、再び戦場へと駆け出した。
「まずは亜種型の足を止めよう」
「わかりました。 レキ様は左側面をお願い致します!!」
亜種型を目の前にて二手に別れた。
「シルフィード!!」
「属性憑依発展・モード剣聖!!」
二人は自分のスキルを発動し、亜種型トロールの足元へと攻撃を仕掛けた。
「はああああ!!!!」
「うおおおお!!!!」
レイナは亜種型トロールの右足を中心に五芒星を描く様に斬撃を加えていき、レキは自分が作り出した剣を次々と突き刺していった。
「これでどうだ!!!!」
レキは巨大な大剣を作り出し、亜種型トロールの左足の脛を両断しようと斬撃を加えた。
「硬っ!!!!」
だが、やらかい肉は簡単に裂けて血を吹き出したが、その奥にある骨があまりの硬さに弾かれてしまい、レキは後方へと大剣諸共弾き返されてしまった。
「レキ様!! 大丈夫ですか?」
「ああ…だが傷は作れ…う…そ…だろ?」
足に刺さった筈の剣が、次々と抜け落ちていく。 傷はどんどん回復していき、ほぼ無傷の状態になっていった。
「コイツも高速治癒を持っているのか…」
目の前が真っ暗になりそうになった。
「レキ様しっかりして下さい!! 私達が何とかしなければ、私達の国イストは滅びます!!」
レキは、この状況でも揺るがずに手を差し伸べるレイナの顔を見上げた。
「レイナ危ない!!」
だが、そこへ亜種型トロールが仲間の死骸を全力でスイングしてくるのが見え、咄嗟にレイナとトロールの死骸の間に身体を入れてレイナを抱きしめた。
身体中の骨が砕かれ、激痛が走り空中へと投げ出され地面へと叩きつけられた。
あまりの痛みに意識が飛びそうになりながら、唇から血が出るほど噛みながら意識保つ。
レイナは、庇った事もあり意識を失っただけの様だった。
「糞!! マジで痛えな!!」
傷は治るが治る際に、骨や神経が動く為再度激痛に襲われる。
「風よ我が身に纏え!!」
レキは、立てるのを確認し、レイナを抱えて中央広場へと向かった。
亜種型トロールは、再び周りの死骸を砲弾の様に投げ始めた。
「ルインズ!!」
中央広場に再度陣を立て、ルインズ達はゴブリンを討伐していた。
「レキ君どうした? 何があったのだ?」
「すまない、俺がヘマしてしまって庇ったがレイナが気絶したんだ。 すまないがレイナを頼む!!」
レキはそれだけを伝え、レイナを引き渡し再度亜種型トロールへ向けて飛んでいった。
「身体強化…強化…強化…強化…強化!!」
身体がミシミシの軋むのを感じる。
過剰な強化で、身体がバラバラになりそうになるのを高速治癒にて保っている。
「くっ…結構辛いな…だけど…やれない程ではない!!」
亜種型トロールが見えてくるが、敵も此方を確認し、近くに転がっていたトロールを投げ始めた。
魔鉱剣を引き抜き、紙一重のところで軌道をそらしながらトロールの死骸を交わす。
「叛逆の炎よ!!」
再び魔鉱剣が黒く輝きを放つ、そして覆う様に黒炎が発生する。
「よくもレイナを!! これでも喰らえ!!」
亜種型トロールが、トロールの死骸を投げて隙が出来た瞬間距離を詰めて右腕を斬りつけた。
「グオオオオ!!!!」
斬りつけた箇所から黒炎が上がって、徐々に燃え広がっていく。
亜種型トロールが、まさかの行動をとるのであった。
自分の右腕を引き千切ったのだ。
「なんの躊躇もなく千切るって有りかよ…」
黒炎は千切られた腕を焼き続け、千切られた箇所からは新たな腕が生えてくるのであった。
「上等だお前の高速治癒が早いか、俺の黒炎が焼き尽くすのが早いか勝負だ!!」
再度レキが斬りかかるが、亜種型トロールはその斬撃をトロールの死骸でガードし、そのまま攻撃に転じてくる。
「これならどうだ!!」
上空へと跳躍し、渾身の力で魔鉱剣を振り散弾の様に黒炎が亜種型トロールへと降り注ぐ。
だが、バリスタの時と同様にトロールの死骸に防がれる。
「これも駄目か…」
一瞬だった、黒炎を放った際に僅かな時間動きを止めてしまったのだ。
「……え?」
左肩に痛みを感じ、視線を肩にやるとそこに矢が刺さっていた。 近くに潜んでいたゴブリンが放った矢が当たった様だった。
そして、再び全身に激痛が走った。
その隙を逃さずに、亜種型トロールはトロールの死骸を投げつけてレキを吹き飛ばしたのだ。
「チッ!!痛えよ」
レキは、自分の意識が何か、別の何かに塗り潰される様な感覚を感じた。
「属性憑依発展・モードデスサイズッ!!!!」
左右六本づつの鎌が翼の様に纏われ、魔鉱剣の形状が変化し、一回り大きな鎌が手に持たれ合計十三本の鎌を作り出した。
「風よ我が身に纏え」
レキの身体は、空中へと再び浮かび上がる。
「叛逆の炎よ!!」
レキの掛け声に合わせ、全ての鎌から黒炎が上がる。
亜種型トロールは危険を察知したのか、慌ててトロールの死骸を投げつける。
「いい加減見飽きたぞ」
少し高度を下げ、鎌の刃だけを元の位置で構えてトロールの死骸を頭から両断した。
「今度はこちらからいくぞ!!」
一気に距離を詰めて、鎌を振り下ろす。
だが、斬撃は死骸に阻まれ亜種型トロールが笑みを浮かべる。
「何を笑っていやがる? お前にそんな余裕があるのか?」
亜種型トロールは気づく、レキの後ろに有った筈の十二本の鎌が無いことに。
「もう終わりだ…あの世に落ちな」
十二本の鎌が、亜種型トロールの全身に刃を突き立て傷口からは黒炎が燃え広がる。
「ギュオオオオオオ!!!!」
ジタバタと亜種型トロールが、炎を振り払おうと暴れるが、一箇所ではなく十二箇所同時に燃え広がった為間に合わず、五分程苦しんだ後絶命したのだった。
そして、レキは自分の意識を塗り潰された様な感覚が無くなり、全身を倦怠感が襲い地面へと着地し膝を着くのであった。
「レキ様!!」
「レキ君!!」
聞き慣れた二人の声が背後から聴こえ、振り向くとレイナとルインズが走って向かって来るのが見えた。
「レキ様なんて無茶をするんですか!!」
「全くだ少しは君自身の事を考えたまえ!!」
二人からの説教に、少し安心する自分がいる事に気がついて笑みがこぼれる。
「レキ様!!何を笑っているんですか!!」
「あぁごめん、今度は気をつけるよ。 だけど、少し待ってくれないか? まだやる事が残ってるんだ」
「え?」
レイナとルインズは、何を言ってるのか検討がついていない様子だった。
レキは、フラつきながらそっと立ち上がる。
「近くで見ているんだろ!! 堕神出て来いよ!!」
「我を察知するのか? レキとやら」
空間が割れ中から、森で出くわした堕神が現れた。
「これが堕神なのか?」
ルインズは、開いた口が塞がらず固まっている。
「まだ、戦うのか?」
「今はやめておこう、直ぐに楽しみを味わってしまうとつまらんからな。 今回の戦いはそちらの勝ちという事にしておくとしよう」
そう告げると堕神は、また空間を歪ませた。
「あんたの名前はなんだ?」
「神である事を捨てた際に捨てたが…そうだなアレスと呼ばれていたとだけ言っておこうか」
「戦を司る神か…その内あんたに届かせてもらうから首を洗って待っていろよな」
堕神アレスは、立ち止まり少し振り替えり笑みを浮かべた。
「楽しみにしておこう。」
空間の歪みが消えていき、辺りが静まり返った。
「レイナごめん、そろそろ限界みたいだから帰ろうか」
「はい、レキ様!!」
ルインズは、少し呆れた様な顔でレキに肩を貸して三人でイストへとゆっくり帰っていった。
一匹を残して"通常"のトロールを倒した。
「おい…なんで一匹立ってやがる…」
兵士が絶望するかの様に呟く。
そう、普通ではない亜種型のトロールが、無数のバリスタの雨を通常のトロールより一回り以上大きな身体で生き残っていたのだ。
「あのトロール何か持っているな…」
ルインズは、腰から折り畳み式の望遠鏡を覗き込んだ。
「な…仲間を盾がわりにしているだと…」
亜種型のトロールは、両手に近くに居た仲間のトロールの頭を鷲掴みにして盾がわりにしていたのだ。
まだ生きのあるトロールは、身体をピクピクと痙攣させながら亜種型のトロールに頭を掴まれている。
その光景を目の当たりにしたルインズの顔から、血の気が引いて青ざめている。
「ルインズ…」
「レキ君か、先程は助かった。 だが、あの亜種型だが生きた味方を盾にして、バリスタから逃れたみたいだ」
「それだけの知能が有るって事だろうけど、そうなってくると、このトロールの死骸が転がってるこの状況で戦うのは距離を詰めさせてしまう可能性があるな…」
「レキ様と私で、バリスタ射程内で致命傷までいかなくとも、足を止めさせそこをバリスタにて叩くのはいかがですか?」
「レキ君とレイナも少し落ち着くんだ。 危険な事に違わないだろ? 迂闊に接近するのは賛成しかねるよ」
ルインズは、レイナの提案に対して否定の意思を示した。
「でも、一般の兵士には厳しいぞ。 無駄死にをさせる事だけはしたくない」
「それは分かっているのだが、あの大きさに対していくら放流者の君でも、どれだけの攻撃が有効なのか…」
その時だった、一瞬辺りが暗くなると共に市場の建物が吹き飛んだのだ。
「今度は何が起こったんだ!!」
ルインズが兵士へと叫んぶと同時に、また別の箇所で爆発に等しい轟音と共に砂埃が舞う。
「トロールです!! 無数のバリスタが打ち込まれたトロールが降ってきました!!」
兵士が必死に叫び、立て続けに最悪が降りかかる。
「ルインズ様!! 放り込まれたトロールにしがみ付きゴブリンが複数侵入しました!!」
「一体どうすれば…」
ルインズは途方に暮れ、今にも絶望の中へと沈んでしまいそうに思えた。
「全兵士よ聞いてくれ!!!!」
混乱する市場中に響く程の大声で、レキは叫んだ。
「敵将は、俺とレイナで仕留める!! だから…だからみんな!! ルインズと共に街の中は任せる!! もう少しで良いから、兵士一人一人の命を俺に預けて欲しい!!」
全身の力を振り絞って叫ぶと、兵士達は互いの顔を見合わせて武器を掲げて、内臓を揺さぶられるかの様な雄叫びを上げたのだ。
その迫力にゴブリンが気圧されて立ち止まる。
「ルインズ、亜種型は任せてくれ!! だから街の中は任せるから。 行くぞレイナ!!」
「無茶はしないでくれよ…」
二人はルインズに背を向け、再び戦場へと駆け出した。
「まずは亜種型の足を止めよう」
「わかりました。 レキ様は左側面をお願い致します!!」
亜種型を目の前にて二手に別れた。
「シルフィード!!」
「属性憑依発展・モード剣聖!!」
二人は自分のスキルを発動し、亜種型トロールの足元へと攻撃を仕掛けた。
「はああああ!!!!」
「うおおおお!!!!」
レイナは亜種型トロールの右足を中心に五芒星を描く様に斬撃を加えていき、レキは自分が作り出した剣を次々と突き刺していった。
「これでどうだ!!!!」
レキは巨大な大剣を作り出し、亜種型トロールの左足の脛を両断しようと斬撃を加えた。
「硬っ!!!!」
だが、やらかい肉は簡単に裂けて血を吹き出したが、その奥にある骨があまりの硬さに弾かれてしまい、レキは後方へと大剣諸共弾き返されてしまった。
「レキ様!! 大丈夫ですか?」
「ああ…だが傷は作れ…う…そ…だろ?」
足に刺さった筈の剣が、次々と抜け落ちていく。 傷はどんどん回復していき、ほぼ無傷の状態になっていった。
「コイツも高速治癒を持っているのか…」
目の前が真っ暗になりそうになった。
「レキ様しっかりして下さい!! 私達が何とかしなければ、私達の国イストは滅びます!!」
レキは、この状況でも揺るがずに手を差し伸べるレイナの顔を見上げた。
「レイナ危ない!!」
だが、そこへ亜種型トロールが仲間の死骸を全力でスイングしてくるのが見え、咄嗟にレイナとトロールの死骸の間に身体を入れてレイナを抱きしめた。
身体中の骨が砕かれ、激痛が走り空中へと投げ出され地面へと叩きつけられた。
あまりの痛みに意識が飛びそうになりながら、唇から血が出るほど噛みながら意識保つ。
レイナは、庇った事もあり意識を失っただけの様だった。
「糞!! マジで痛えな!!」
傷は治るが治る際に、骨や神経が動く為再度激痛に襲われる。
「風よ我が身に纏え!!」
レキは、立てるのを確認し、レイナを抱えて中央広場へと向かった。
亜種型トロールは、再び周りの死骸を砲弾の様に投げ始めた。
「ルインズ!!」
中央広場に再度陣を立て、ルインズ達はゴブリンを討伐していた。
「レキ君どうした? 何があったのだ?」
「すまない、俺がヘマしてしまって庇ったがレイナが気絶したんだ。 すまないがレイナを頼む!!」
レキはそれだけを伝え、レイナを引き渡し再度亜種型トロールへ向けて飛んでいった。
「身体強化…強化…強化…強化…強化!!」
身体がミシミシの軋むのを感じる。
過剰な強化で、身体がバラバラになりそうになるのを高速治癒にて保っている。
「くっ…結構辛いな…だけど…やれない程ではない!!」
亜種型トロールが見えてくるが、敵も此方を確認し、近くに転がっていたトロールを投げ始めた。
魔鉱剣を引き抜き、紙一重のところで軌道をそらしながらトロールの死骸を交わす。
「叛逆の炎よ!!」
再び魔鉱剣が黒く輝きを放つ、そして覆う様に黒炎が発生する。
「よくもレイナを!! これでも喰らえ!!」
亜種型トロールが、トロールの死骸を投げて隙が出来た瞬間距離を詰めて右腕を斬りつけた。
「グオオオオ!!!!」
斬りつけた箇所から黒炎が上がって、徐々に燃え広がっていく。
亜種型トロールが、まさかの行動をとるのであった。
自分の右腕を引き千切ったのだ。
「なんの躊躇もなく千切るって有りかよ…」
黒炎は千切られた腕を焼き続け、千切られた箇所からは新たな腕が生えてくるのであった。
「上等だお前の高速治癒が早いか、俺の黒炎が焼き尽くすのが早いか勝負だ!!」
再度レキが斬りかかるが、亜種型トロールはその斬撃をトロールの死骸でガードし、そのまま攻撃に転じてくる。
「これならどうだ!!」
上空へと跳躍し、渾身の力で魔鉱剣を振り散弾の様に黒炎が亜種型トロールへと降り注ぐ。
だが、バリスタの時と同様にトロールの死骸に防がれる。
「これも駄目か…」
一瞬だった、黒炎を放った際に僅かな時間動きを止めてしまったのだ。
「……え?」
左肩に痛みを感じ、視線を肩にやるとそこに矢が刺さっていた。 近くに潜んでいたゴブリンが放った矢が当たった様だった。
そして、再び全身に激痛が走った。
その隙を逃さずに、亜種型トロールはトロールの死骸を投げつけてレキを吹き飛ばしたのだ。
「チッ!!痛えよ」
レキは、自分の意識が何か、別の何かに塗り潰される様な感覚を感じた。
「属性憑依発展・モードデスサイズッ!!!!」
左右六本づつの鎌が翼の様に纏われ、魔鉱剣の形状が変化し、一回り大きな鎌が手に持たれ合計十三本の鎌を作り出した。
「風よ我が身に纏え」
レキの身体は、空中へと再び浮かび上がる。
「叛逆の炎よ!!」
レキの掛け声に合わせ、全ての鎌から黒炎が上がる。
亜種型トロールは危険を察知したのか、慌ててトロールの死骸を投げつける。
「いい加減見飽きたぞ」
少し高度を下げ、鎌の刃だけを元の位置で構えてトロールの死骸を頭から両断した。
「今度はこちらからいくぞ!!」
一気に距離を詰めて、鎌を振り下ろす。
だが、斬撃は死骸に阻まれ亜種型トロールが笑みを浮かべる。
「何を笑っていやがる? お前にそんな余裕があるのか?」
亜種型トロールは気づく、レキの後ろに有った筈の十二本の鎌が無いことに。
「もう終わりだ…あの世に落ちな」
十二本の鎌が、亜種型トロールの全身に刃を突き立て傷口からは黒炎が燃え広がる。
「ギュオオオオオオ!!!!」
ジタバタと亜種型トロールが、炎を振り払おうと暴れるが、一箇所ではなく十二箇所同時に燃え広がった為間に合わず、五分程苦しんだ後絶命したのだった。
そして、レキは自分の意識を塗り潰された様な感覚が無くなり、全身を倦怠感が襲い地面へと着地し膝を着くのであった。
「レキ様!!」
「レキ君!!」
聞き慣れた二人の声が背後から聴こえ、振り向くとレイナとルインズが走って向かって来るのが見えた。
「レキ様なんて無茶をするんですか!!」
「全くだ少しは君自身の事を考えたまえ!!」
二人からの説教に、少し安心する自分がいる事に気がついて笑みがこぼれる。
「レキ様!!何を笑っているんですか!!」
「あぁごめん、今度は気をつけるよ。 だけど、少し待ってくれないか? まだやる事が残ってるんだ」
「え?」
レイナとルインズは、何を言ってるのか検討がついていない様子だった。
レキは、フラつきながらそっと立ち上がる。
「近くで見ているんだろ!! 堕神出て来いよ!!」
「我を察知するのか? レキとやら」
空間が割れ中から、森で出くわした堕神が現れた。
「これが堕神なのか?」
ルインズは、開いた口が塞がらず固まっている。
「まだ、戦うのか?」
「今はやめておこう、直ぐに楽しみを味わってしまうとつまらんからな。 今回の戦いはそちらの勝ちという事にしておくとしよう」
そう告げると堕神は、また空間を歪ませた。
「あんたの名前はなんだ?」
「神である事を捨てた際に捨てたが…そうだなアレスと呼ばれていたとだけ言っておこうか」
「戦を司る神か…その内あんたに届かせてもらうから首を洗って待っていろよな」
堕神アレスは、立ち止まり少し振り替えり笑みを浮かべた。
「楽しみにしておこう。」
空間の歪みが消えていき、辺りが静まり返った。
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「はい、レキ様!!」
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